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今週の【ほぼ百字小説】2022年11月28日~12月4日


 一週間のご無沙汰です。今週はやります。よろしくお願いします。
 まあ月にいちどくらいこうして止めるのがいいようです。そんなに無理している気はないのですが、それでも今週はお休みとなるとほっとします。そして週の半ばあたりからだんだん再開したくなってくるから、やりたい感じを保つのにはちょうどいいのでしょう。ということで、今週も気が向いたらおつきあいください。ひとつツイートしたら、それについてここにあれこれ書きます。
 あ、投げ銭は歓迎します。道端で演奏している奴に缶コーヒーとかおごってやるつもりで100円投げていただけると、とてもやる気が出ます。
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11月28日(月)

【ほぼ百字小説】(4187) こんなに怪獣が好きなのに、いや、好きだから、か。かっこいい怪獣を見せてもらっただけでは満たされない、そんな自分の怪獣欲が今さらながら怖くなる。そうなんだ。怪獣愛なんかじゃない。身勝手な怪獣欲なんだよ。

 (1626)の差し替えです。一週間のお休みのあいだ、これまでの【ほぼ百字小説】から、「亀」と「天使」でピックアップして並べたりしてたんですが、そこで(1626)が二つあるのを発見しました。たまにこういうことがある。ということで、ひとつ外して番号を振り直します。たぶんこれはあれですね、レジェンダリー版のゴジラを観たときに書いたやつですね。なんかね、不思議なんですよ。子供の頃からずっと怪獣が好きなのに、たぶん一回も満足したことがないんですね。もしかしたら怪獣が好きなんじゃないんじゃないか、とか思ったりする。たぶんこういうことなんだろうと思うんですけどね。あ、「亀」は並べ終えました。「天使」はまだこれから形を作っていくところ。他にも「猫」「狸」「SF」とかで並べてるんですが、紙の本にできるかどうかはまだわかりません。まあこういう形で切り出せる、ということがわかっただけで、やった価値はかなりあるとは思うし、何らかの形で発表することはできると思うんですが、どうせなら紙の本で見てほしいですから。

【ほぼ百字小説】(4188) ようやく並べ終えた亀たちなのに、今朝見たらもうばらばら。あんなに考えに考えて、これ以上ないとしか思えない形に並べたというのに。しかしまあ生き物だから仕方がないか。どうせ向こうのほうがずっと長生きだし。

 ということで、亀並べの話。まあこんな感じでやってます。ちゃんと生きたままの形で並べられたらいいんですけど。ちょっとくらい動くのは我慢するから。とりあえず、亀を中心に並べてます。亀的リアリティ。亀と亀の周辺ですから、主として物干しですね。物干しからの景色。月と星も見える。それと亀の中には季節が流れてます。さすがは爬虫類、というか、変温動物。亀の温度と気温は同じですからね。亀ごと春になって夏になって秋になって冬眠します。亀はおもしろい。

【ほぼ百字小説】(4189) 亀の中には亀時間が流れている。水温とシンクロするその時間は、真夏は速く、真冬は停止してるかのように遅くなる。いや、我々恒温動物のように無理に逆らって踏ん張ったりせず、季節の流れと共に流れているだけか。

 というわけで、亀を並べているとこんなふうに亀を見て亀のことを考えます。今は水の中で冬眠中です。コールドスリープです。すごいな、亀。

【ほぼ百字小説】(4190) かめたーいむ、冬眠するたーいむ。かめたーいむ、何も食わないたーいむ。かめたーいむ、石みたいなたーいむ。かーめかめかめ、かめのたーいむ。春を待ってるかめのたーいむ。死んでるみたいなたあああああああいむ。

 よく口ずさんでいる歌をそのまんま書きました。かあああめたあああああああああああああいむ。
 夏バージョンもあります。

【ほぼ百字小説】(2152) かめたーいむ、甲羅を干すたーいむ。かめたーいむ、煮干しを食うたーいむ。かめたーいむ、卵を産むたーいむ。かーめかめかめー、かめのたーいむ。わりと短いかめのたーいむ。長生きだけど短いたあああああああいむ。

 いろんな亀タイムに歌ってください。

11月29日(火)

【ほぼ百字小説】(4191) 獲物を捕らえるため網を広げて待つうちに、それが捕らえた風の力を利用して飛行できるようになったりする。広げて待っているって大事だよ。いつからか頭の中にいる誰かが喋っている。何かに利用されている気がする。

 空を飛ぶ、というか風に運ばれる蜘蛛、というのがいますよね。何かを延長してその先にそういう機能が発達するとかじゃなくて、全然違う目的のものでいつのまにかそんなことができるようになっている。いや、実際にそうなのかどうかはわかりませんが。しかし、あの網で空を飛べるなんてことは、なかなか目的とか考えると思いつかない。でもたしか空気を捕らえるわけだから、何かを捕らえるという点では同じなのか。で、そんな自分もまた自分では思いもつかないことに利用されているのかも、というサゲ。

11月30日(水)

【ほぼ百字小説】(4192) 歩道を埋めつくして亀が歩いている。先頭はあの笛吹きだ。ラッパを吹けば亀が来ることは知っていたが、笛にも反応するのか。亀の後ろには子供たちが続く。それは後に、カーメルンの笛吹き事件と呼ばれることになる。

 亀です。まだ亀を並べているのでどうしてもこうなります。そしてこうなって書いたのをその亀の中に並べようとするから今までの並びをまた変える必要が出てきて、それでまた亀のことを考えて、それでまた、ということになるのです。ラッパを吹けば亀が来る話ももちろんそこには入れてます。

【ほぼ百字小説】(2642) ラッパを吹くと亀が来る。物干しに隣接した部屋で吹いていると、ことことこと、甲羅がコンクリートにぶつかる音。戸を開けると亀がいる。この曲のときだけ。亀にとって思い出の曲なのか。カメモリーズ・オブ・ユー。

 こんなのとかね。

【ほぼ百字小説】(4193) 無人探査機が小惑星から持ち帰った。計画通りのサンプルリターンのはずが、なぜかこんなものが。何かが意図的に持たせたお土産なのか。そうだとしか思えない箱状の物体。開けても大丈夫か。あの昔話のことを考える。

 まあいちおう亀つながり。それとちょっと前にかぐや姫と桃太郎をやったので、亀が出てくるこれもやっとくか、ということで。小惑星の名前があれですからね。あと、ウルトラQの怪獣の中では私はナメゴンが大好きなんですが、「宇宙からの贈り物」というこのエピソードのツカミが、火星に送った無人探査機がなぜか(!)地球に戻ってきて、そこに小さな玉(もちろんこれがナメゴンの卵なのですが)が入っている、というやつ。なぜか戻ってくる、というのがいいですね。ちょっと夢っぽくもある。妙に理屈をつけるより、こういう強引さはいいですね。妙に理屈をつけるよりかえってリアルだと思うんです。

12月1日(木)

【ほぼ百字小説】(4194) こんなふうに空が低い日には天使が降りてくる、というより、天使を降ろすために空を低くしている、というべきかな。世界が巨大な舞台装置のようなものであることを教えてくれたのは、そんな天使たちのひとりだった。

 ということで、亀はいちおう並べ終えて今しばらく放置しているところで、今は天使。なんというか【ほぼ百字小説】の中に出てくる天使は、天使と言っても天使じゃない。でも天使としか言いようのないもの、みたいな感じで、けっこう怖かったりもする。私にとっては「天使」というのは、そういうもの、というのがどういうものなのかわからずに書いてますけど。で、天使でまとめてると天使のことを考えるのは亀と同じで、そして天使と言えばまず浮かぶのは私の場合はユーミンのベルベット・イースターで、こないだそういう天気がありました。天使が降りてきそうな天気。ということで、こうなりました。いつもと違う日曜日、じゃなかったですが。

【ほぼ百字小説】(4195) 四半世紀ほど使ってきた洗濯機がついに壊れた。今にも離陸しそうな音を立てていた脱水機構が沈黙したのだ。結局、空を飛ぶことはできなかったな。いつもよりだいぶ重い洗濯物を抱え物干しへ向かいながらつぶやいた。

 そうなんですよ。あの大暴れしてた洗濯機がついに寿命のようです。よくがんぱってくれました。洗濯機の話は、最初期に書いてます。
 これです。

【ほぼ百字小説】(29) 洗濯機が次々に空へ舞い上がる。脱水槽を回転させる力をすべて、飛行に向けたのだ。たっぷりと水を含んだまま地上に置き去りにされた洗濯物たちは、空を見上げて乾きの時を待つしかないが、そこへ雨季がやってくる。

 ということで、今までありがとう、洗濯機。

12月2日(金)

【ほぼ百字小説】(4196) 月と木星が寄り添うように並んでいるから、あの木星が満月の五十倍の明るさになっているところもイメージしやすくて、そんな風景の中に自分がいるような気にもなれるが、あのSFの未来はもうひと昔以上前なんだな。

 最近こうなってます。月と木星が近い。今夜はほとんど寄り添ってました。ということで、木星と言えばこれなんですね。「2010年宇宙の旅」。それと「さよならジュピター」です。いいですねえ、木星。「2001年宇宙の旅」の小説版では土星だったんですが、「2010年」では、そっちに合わせて木星になってる、というちょっと不思議な時空のねじれとかパラレルワールドみたいなことになってるところもおもしろい。そういうのもあって、私の中では木星はちょっと特別な星になってます。「かめくん」に木星を出したのももちろんそうです。しかし2010年も遠くなりにけり、ですね。それもまたSFだなあ。

【ほぼ百字小説】 (4197) ガチャを回すとき思い出すのは、昔のSF映画。締め出された宇宙船の中に入るため、手動でエアロックを開けるのだ。船外作業用ポッドの機械の手で操作していた。がちっと掴んで回したあの未来は、2001年だった。

 ということで、こっちも。これ、あるあるだと思うんですけどねえ。いつも思います。これならスペースポッドでもガチャを回せるな、とか。しかし2001年って、ほんと遠い未来だったんですけどね。リバイバル上映であの映画を始めて観た高校生のときでもそうでしたよ。

12月3日(土)

【ほぼ百字小説】(4198) 海岸で、ほどよい小石を拾う。自分の骨として使用されるらしい。まあ骨といっても遺骨だから骨としての機能など必要なくて、ほどよい大きさならばそれでいい。このまま骨の無い蛸としてでも生きていたいんだけどな。

【ほぼ百字小説】(4199) 遺骨が入っていたはずなのに、開けてみたらあら不思議、小さな石ころではありませんか。シュレディンガーの骨壺と呼ばれる現象で、開けなければ骨と石の重ね合わせ状態が保たれたのに。教訓は、余計な観測はするな。

 文芸ムック【ことばと】に「戦争の夢」という短編を書きました。戦争の夢の話です。ということで、戦争の夢をずらずらずらっとつなげたようなものにしようと思って、戦争の夢っぽい【ほぼ百字小説】をいくつか書いて、それを膨らませながら繋いだり混ぜたり踏み潰したりする、というやりかたでいくことにして、何か月かのあいだにいくつか書いた(かなり締め切りまで時間があったので)その中のふたつ。
 こないだの犬街ラジオでその冒頭のあたりを朗読したんですが、なんとなくたどたどしく読むくらいがいいだろうと思ってとくに準備せずにぶっつけで読んでみたら、これが改行なし、ということもあって朗読が大変でした。途中で、うわあ大変だなあしんどいなあどんどん苦しくなってきたなあ、とか思いながら読んでました。かなりよれよれな朗読になってます。まあそれでいいと思ってやったことではありますが。35分あたりから。

犬街ラジオ #123 - 犬と街灯 (@inutogaito) - ツイキャス (twitcasting.tv)


【ほぼ百字小説】(4200) しばらく走るのをさぼっていたのは、コロナのせいもあるか。でも、また走り出した理由は単純で、久々に芝居に出ることが決まったから。せめて体力くらいはね。嘘の世界のためなら走るんだな、と他人事みたいに思う。

 走るのはけっこう好きです。そして今こんな感じ。そう言えば始めたのも劇団で飲んでてマラソンの話になって、負けたやつが飲み代をおごる、という賭けをしてマラソンに出たことがきっかけでした。それが三十過ぎくらいかな。まさか三時間とか自分が走り続けられるなんて思わないじゃないですか。でも走れるようになる、そんなに速くはないにしても。なんか自分の体に自分の知らないスイッチがついてるみたいで、それがおもしろくて一時期、わりと熱心に走ってました。でもここ数年あんまり走らなくなってしまってました。
 で、今ココ。


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