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才能を認めるところからイノベーションは始まっていく(オンラインサロン朝コラムから)

最近、プロジェクトがいつくか具現化し始めるせいかより秘密性が増している気がするので偶には朝のコラムを公開していきますね。

こんな記事を毎朝投稿しています。



おはようございます。


歴史を変えることには「この人でなくてはあり得なかった」という瞬間を何度も目撃することがあります。
例えば宮本茂さんと岩田聡さんがいなければ任天堂は京都の小さな会社で、世界のゲーム業界を動かすようにはなっていなかったでしよう。技術力のあるプログラマーとアイデア力のあるプロデューサーは、それまで「ブロック崩し」や「インベーダー」の市場であったゲーム業界に「マリオ」や「ドンキーコング」というキャラクターに命を吹き込み「ファミコン」という当時の技術を結集したゲーム機の販売とともジャパニーズ・ゲームを世界のトップにして見せました。当時のファミコンのコンピューターとしての機能はアポロ11号に搭載されてたコンピューターを遥かに超えていました。その技術をフルに生かせて、とても面白いゲームを開発していき世界中の子供たち(大人も)の生活は一変しました。



よく例えで用いますが、スタジオジブリもそうですね。
宮崎駿、高畑勲の才能は誰もが認めるものでしたが、そのレベルの高さ、求める基準の高さ故に誰も彼らの企画を実現させようとはしていませんでした。
この二人が組むとアニメーターは疲弊して、予算は超過し、おまけにヒットしない。
そんな二人の才能を誰よりも上手く操作したのが鈴木敏夫という編集者。後の名プロデューサーです。



アクション映画の歴史を変えたと思っています『ダイハード』
それまでアクション映画といえば007のような派手な作品だったり、アーノルド・シュワルツェネッガー主演作のようにやたらと物が壊される作品でした。
何も考えずに観られるような映画が喜ばれていましたが、この『ダイハード』は緻密な脚本と演出で完全に歴史を変えて見せました。
細部にわたる伏線とその収集、登場人物すべてに丁寧な造形、じわじわと盛り上げていくストーリーテリングにはそれまでアクション映画にソッポを向いていた口うるさい評論家でさえ絶賛の声を上げました。
これは若き日の僕も同じで、ホテルマンだった僕が勤務後にオールナイトで何度も劇場に足を運びました。
この作品で有名になったのは主演のブルース・ウィリス。
おそらく誰も彼を知らなかったのではないでしょうか?
もちろん、彼は無名の存在でしたので元々の主演候補はやはりシュワルツェネッガーでしたし、70年代、80年代に人気絶頂だったバート・レイノルズやリチャード・ギアの名前も挙がっていました。原作小説では(あるんですよ)主人公は初老の刑事でしたので同じ主人公を映画化した作品ではフランク・シナトラが演じていました。
それを原作より若くして、当時はテレビドラマ『こちらブルームーン探偵社』でコメディ俳優として知られていただけのブルース・ウィリスを起用することで、作品にキレの良さとユーモアが付け加えられ、予想外に面白い作品になりました。


たかがキャスティング、されどキャスティング。


「本当にこの人で良かったー」という作品は傑作となります。
まるで精巧なパズルのピースを合わせるようなものです。
僕が『玉響』で難航したのもキャスティング。
年代的に見つけにくいですし、年齢があっていてもイメージがあります。
まとっている雰囲気、声のトーン、見た目など
何よりも「僕がその人と一緒にクリエイティブできるのか?」これは大きいです。
気持ちが合わなかったら、キツイ現場になりますし、それでは良い制作環境とは言えません。


もちろん演出家の一番の仕事は現場環境を整えること。クリエイティブはその次です。

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