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#6 ドイツ | ハイデルベルクの活気、最終日のこと、またねの約束


12月1日 @ハイデルベルク

フランクフルトから電車で1時間弱。ハイデルベルクへ向かった。ハイデルベルク城とクリスマスマーケット、そして学生の街の活気を感じに。フランクフルトのメインステーションからおよそ1時間ほど。空は一切の太陽が見えず、特段寒い日だった。ヨーロッパでは冬はこういう日が長く続くらしい。冬晴れも美しい日本の天候はありがたいことなのだということを知る。

まずは腹ごしらえ。レーベンブロイのレストランへ。この旅3度目のシュニッツェルと白ソーセージ、きのこのスープ、そしてビールを。白ソーセージは薄皮をむいて、ちょっと甘めのマスタードをつけて食べる。ふわっふわで美味しかった。

シュニッツェル

ハイデルベルクのクリスマスマーケットへ。マグカップがとってもかわいかったので、ホットチョコレートを飲んで、マグカップはお持ち帰り。取っ手がハートの形になっているのがとてもかわいい。記念のお土産ができた。友人はエッグノッグ?を飲んでいた。(名前合ってるかな?)かなりお酒が強くて一口で身体が温まった。

それから、メインの見所、ハイデルベルク城へ。歩いてでも行けるようだが、寒さと坂道が続くのでケーブルカーで向かった。ハイデルベルク城はすでに廃墟となっており、先日のプラハ城とはまた違った雰囲気があるらしい。わたしは建築のことは詳しく分からないが、こうしていくつか見比べるとその違いが分かってくる。似たようなイメージを持っていたものでも実際に見てみると全く違うものだと知る。それらを自分なりに解釈して、どういうところに自分が素敵だなと心惹かれるのか、自分のアンテナを知る。そうやってアンテナを集めていくことは、割と好きな作業かもしれない。

ハイデルベルク城周辺

帰りの電車までまだ時間があったので、ハイデルベルクで有名な「学生のキス」というチョコレートを買いにクネーゼルというお店へ。クネーゼルはハイデルベルク最古のカフェだったそう。オーナーが発案したこのマークが印象的なチョコは、今ではハイデルベルクの定番のお土産に。立ち寄ったお店は小さくこじんまりとしていて、とってもアットホームな雰囲気だった。お店に入ると、奥からアルバイトらしき若い学生が出てきて流ちょうな日本語で「イラッシャイマセ。」と声をかけてくれた。大学で日本語を学んでいるらしい。そのあとも一生懸命に日本語で話しかけてくれてとても嬉しかった。

かわいい柄の缶がたくさん並んでいて、わたしと友人はかれこれ30分ほど迷った末、一番気に入った柄の缶のチョコを買った。お店を後にし、街並みを楽しんで帰路に着いた。

ハイデルベルクの雰囲気が馴染みやすかったのは、わたしたちが学生時代を過ごした街も学生街だったから、その活気がどこか似ていたからかな?などと考えていた。

有名なマーク

フランクフルトに戻って、最後のクリスマスマーケットへ。ハンガリーからずっと食べ損ねていたランゴシュという揚げたパン生地に具材がトッピングがされているピザのようなものを買った。家でのんびり過ごそうと、ランゴシュとワッフルを買い、家へ帰る。温め直して食べたランゴシュはチーズがとってもクリーミーで美味しかった。ぺろりと完食した。

ランゴシュ〜この状態で地下鉄に🚇(笑)

最後にチェスをしたが、途中で眠気により意識が飛びかけて、倒れるようにベッドに入り込んだ。幾晩か過ごしたこのベッドにも、もう愛着が湧いていた。寝心地が良くて、幸せだった。

翌朝、昨日のうちに友人が買っておいてくれたパンとヨーグルトを朝ごはんに食べて、空港へ向かった。また今日も、こうしてこのままお出かけするような気分だったが、空港に着いてチェックイン手続きをすると、この幸せな旅も今日で終わりなのかと実感が湧いた。

彼女と、次にいつ会えるか分からない。確証のない「またね」を言うときに思い出すのは、大学生のころ、留学から日本に帰国する時、留学先の友だちと交わしたハグのこと。また会えた友達もいるし、もうきっと会えないひともいる。

彼女には会えるだろうか。彼女が日本へ帰国する頃、きっと、わたしはもう日本にいない。またどこかで、違う場所で、違う国で、大好きな故郷で、互いの大切な人と、会えるだろうか。「またね。」と強くハグをして別れたあと、保安検査場を抜けると、寂しさが押し寄せてきて涙が出た。走って戻って、もう一度抱きしめたかった。

でも。でも、わたしは知っている。残される側の寂しさを。留学先に遊びに来てくれた両親や恋人を見送るとき、寂しくて泣いたときのこと。あの喪失感というのか、何とも言えない切ない気持ちをわたしは知っている。彼女はこの地で、このあともしばらく一人で生きていくのだ。わたしにとっては一時のふわふわとした楽園のような場所でも、彼女にとってはここが日々で、現実で、幸せなことも、そうではないことも詰まっているのだ。同僚や友達もいるだろうが、やっぱりここはわたしたちにとって異国だ。

そう、どうしたって異国なのだ。故郷ではない。それだけで、生きていくことにたくさんの勇気がいる。だから、彼女を想うと、わたしは泣いてはいけないと思った。強く、強くエールを送らなきゃ。頑張る彼女の笑顔を願わなければ。たった9日間かもしれないけれど、こんなにも長い時間を彼女と過ごしたのは初めてだったから。学生の頃、飲み会でわいわいとやっていた楽しさとは違う。20歳だったわたしたちは27歳になった。まだまだ若い、と世間一般的には言われるかもしれないが、それでもわたしたちが一緒に過ごしてきたこの20代は壮絶で、色濃くて、たくさんのことがあって、そうしてやっとの思いで大人になったのだ。やっと、ここまできたのだ。

帰りの機内でこんなことを考えていた。旅は、いつも、「今」行くしかないのだと。いつもわたしたちの手元にあるたしかなものは「今」だけだから。会いたいと思ったときに、行きたいと思ったときに、行くしかないのだ。いつかの未来の約束なんて、どこにもない。いつだって、「今」しかわたしたちにはないことを、忘れてはいけない。

彼女と過ごしたこの時間は、どんなに高い買い物よりも価値がある。そういう時間だったから、円安だろうとなんだろうと、会いに行けたことを心から嬉しく思う。

まゆ、ありがとう。全てスケジュールを組んでくれて、通訳してくれて、カードを無くしたわたしのお金をたくさん立て替えてくれて、あったかいベッドを用意してくれて。安心しながら海外旅行ができるって、そんな幸せなことない。わたしの自慢の親友。どこにいても、どんなときも大好きです。そちらが朝でも、こちらが夜でも、わたしたちはいつも同じ時を過ごしているね。いつもこれからも。シャイだけれど、本当は誰よりも繊細な人、優しい気持ちにしてくれる人、ありがとう。またね。

フランクフルトの景色@フランクフルト空港

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