幽霊の家

ゆらゆら

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山半ば 枯れ枝綴る 白い花 

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      隠れ日に 泣き止まぬ風 我一人

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        世の中の物語は主に二種類に分けていますーー終わりに向かう物語と、始まりに向かう物語。未来への道を導き、涙があろうか悲しみがあろうか、最後に糧となってまっすぐに前に進める、始まりの物語は人の心には残れない。逆に過去を引きずって前に進めず自分の一生を過去に捧げた悲劇が心に残る。それは誰であろうと、必ず一度は「後悔」したことがあるからではないかと思う。終わりに向かう、悲しいと虚しさ、寂しさしか残れないが、それでも何事も終わりがある。その終わりは必ずと言えるほど、ネガティブな感情を含

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          ーーそれは春だった。 雪がまだ溶けてない、氷が地面を覆い。花や芽がまだ土の中で眠り、春らしくない春だった。春の暖かさもなく、春の愛しさもなく、風さえ厳しく、一風変わった春だった。それでもわずか、本当にわずかであるが、緑色のなにかが庭の隅にあった。苔かどうかはわからないが、あの春らしくない春の中で唯一、春らしいものだった。白い布を飾るように、ほんの少しだった。白いしかなかったあの季節の中の、聖地だった。そこに近付こうともしなかったのもこれが原因なんだろう。とにかく特別の何かだっ