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競合がいる新規事業を成功させる7つの戦略

新規事業において、

・競合が多い
・差別化が難しい

と悩む人は多いです。

しかし、「新規事業開発の方法」を探しても、新しいアイディアをどう思いつくか?世の中にないサービスをいかに広げていくか?という話がほとんどですよね。

一方で、最近上場している企業の中には、広告代理店やSES、不動産といった「まったく目新しくないビジネス」も珍しくありません。みなさんがスタートしている事業でも、なんらかの競合が存在することが多いのではないでしょうか。

今回は、そういった「目新しくないビジネス」や「レッドオーシャンな新規事業」が検討すべき戦略をご紹介します。

「競合がいる」にはグラデーションがある

「競合がたくさんいるレッドオーシャンなんだよね」

と悩む新規事業の担当者の方は多いのですが、解像度をあげて考えるとレッドオーシャンとブルーオーシャンにはグラデーションがあります。

完全なブルーオーシャン以外を、一言で「競合がいる」とまとめてしまっているのです。当然ですが、それぞれの状況で適切な打ち手が異なります。

ややブルーオーシャン:競合はいるがこれという企業がない市場

このような市場では「ナンバーワンの座」をいかに取るかが勝負です。というよりは、ナンバーワンの座を取るチャンスがある市場と言えるでしょう。

どのような観点でナンバーワンかといえば、広告・宣伝・営業・認知度・ユーザー数などビジネスの根幹的な数値や、その領域でのトップラインの人材確保です。

いかにナンバーワンを狙うかですが、2つの方法があります。

戦略①:資金でアクセルを踏み込みナンバーワンになる

事例として、PayPayがあげられます。

まだQRコードが過渡期にあった2018年12月に「PayPay」はサービスリリース。同時に、100億円のプレゼントキャンペーンや、それ以外にもCMなどのプロモーションを一気に仕掛けました。

単純に、

・広告
・営業
・採用


といった、事業パワーの源泉へ集中投資し一気に拡大を狙います。

中国市場などで成功事例はありましたし、日本でも成功するだろうという見込みはあったと思いますが、それでもリリースと同時に100億円キャンペーンは常軌を逸していますね。

2018~2019年の段階では、PayPayはまだ1位とは言えない状況でした。

2019年10月の記事:https://strainer.jp/notes/6796

しかし、その後の調査ではさまざまな指標で、圧倒的な大差をつけてPayPayが1位となっています。

https://www.designone.jp/news/detail?id=94
2021年にはこの結果に: https://otona-life.com/2021/05/20/65975/

戦略②:お金以外に知恵を絞ってナンバーワンになる

「いや、お金があれば色々できるけどうちにはないよ…」

という方もいるかもしれません。むしろそういった事業チームがほとんどかと思います。次に検討すべきは、知恵を絞ってどうにか市場ナンバーワンを勝ち取る戦略です。

事例として挙げられるのは「食べログ」です。

食べログは、ぐるなびに対して後発サービスとしてスタートしていました。そこで、食べログが注力したのは「UGCの口コミ数で追い抜くこと」でした。

圧倒的な口コミ数を創出:https://blog.alco.co.jp/archives/1455

レストラン比較サイトでは、顧客の生の情報や、それがGoogleなど検索エンジンに認識されることで、会社としての価値が上がります。そこまで狙った戦略だったのか?はわかりませんが、圧倒的な口コミ数によって、ぐるなびや他グルメサイトを追い抜くことに成功しました。

このように、お金をかけなくても「事業のセンターピン」を倒すことで、一気に市場を占有することができる場合があるのです。

ややレッドオーシャン:第一想起がいるが他は弱い市場

この場合、「ナンバーワンの座」はすでに奪われているということです。

縦型動画といえば、TikTokだよね

といった形で、すでに事業カテゴリーで強いプレイヤーが1人いる状況です。

しかし、諦める必要はありません。この場合、

③1番手の美味しいところに特化する
④1番手の不満を解消する
⑤1番手との共存事業、2番手を狙う

などの戦略があります。

戦略③:1番手の美味しいところに特化する

例えば、Facebookでしょうか。(もっといい事例はありそうです)

SNSとしては後発でしたが、「ハーバード大学の大学生」という、世界中の人がぜひコネクションをもちたい人たちに絞って、他のSNSからユーザーを奪っていきました。

このような、ナンバーワンが抱えている多くの顧客の中でも、もっとも価値がある(あるいは、利益率の高い)ユーザーに絞ることで、リプレイスを狙うことができます。

高級スーパーの「成城石井」や「明治屋」なんかも、新規事業ではないにせよ、こういった高利益な顧客を抱えているからこそイオンとは差別化ができているといえそうです。

戦略④:1番手の不満を解消する

例えば、Airbnbがこの戦略で成功を収めました。

他にもすでにCtoCで場所のマッチングサービスはありましたが、そのユーザーにヒアリングなどを行いながら、現状使っているサービスの不満などを聴き続けました。

すると「人が泊まりたくなる魅力的なページを作りたいが方法がわからない」ということがわかり、Airbnbのスタッフ自らが写真撮影などを代行し、最初の顧客を捕まえていったのです。

この手法では「いまナンバーワンの企業使ってるんだけど不満があるんだよな」という顧客は少なくともリプレイスを狙えますし、場合によってはAirbnbのように追い抜く可能性もあるのです。

戦略⑤:1番手と共存する、2番手を狙う

次に、1番手と共存するという戦略もありえます。

1位になることは諦める代わりに、1位をサポートするような立ち位置としての事業に変更していくことも、1つの生き残る戦略です。また「1位がどうしても取りこぼす」ような顧客向けに、ナンバーツーとなる立ち位置を狙うことも戦略としてありえます。

例えば、YouTube(Google)に対する、UUUMのようなサービスも成功を収めています。

超レッドオーシャン:想起される会社が3社以上ある

最後に、超レッドオーシャンとも言える「想起される会社が3社以上ある場合」です。このような場合、「トップ企業群」が形成されており、場合によってはカルテルなどが結ばれています。すでに参入障壁があり、後発企業がまともにやって勝てる市場ではありません。

・ビール業界
・携帯通信業界
・コンビニ業界 等

このような市場では、いかにその事業カテゴリーと戦うのか?という勝負になってきます。

戦略⑥:今後伸びる or 固いニッチ市場を狙う

例えば、コンビニ事業で言えば、

今後伸びる事業 = 無人コンビニ事業
固いニッチ市場 = セイコーマート

などがあげられます。

このように、ほとんどリプレイスされないまでにニッチ市場に特化してしまうか、今後伸びるかもしれないスタートアップ気質なサービスをスタートするしかないのではないかと思います。

戦略⑦:カテゴリー自体の弱点を突く

また、第一想起などが含まれるカテゴリー自体の弱点を突く戦略もありえます。

例えば、「コンビニ市場」に対する

・生鮮食品の取り扱いがない
・価格がコンビニは割高

といった弱点をついたイオンの新事業「まいばすけっと」です。(もともとのコンセプトは、1人暮らし向けスーパーですが)

このような、「コンビニ市場」そのものの脆弱性が解決されるようなサービスを行うことは1つの戦略になりそうです。

まとめ

まとめると、レッドオーシャン市場に参入してしまった場合は、この7つの戦略をとれるのかを順番に検証するとよいでしょう。とはいえ、基本的には、「知恵で1位になれないか」「おいしい市場に特化できないか」「1位の不満を解消できないか」あたりに集中することがコストパフォーマンスがよいような気がします。

レッドオーシャンに効く7つの戦略


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