レビュー / 映画『静かな雨』自分があると信じたときに、過去はある ★4.0
フィルムカメラのような画と空気感、とってもよかった…ユキさんとこよみさんの日常の描写が極上でした、いつまでも見ていられた。『パターソン』のような世界観。ああいう穏やかで平凡な人生が最高なんよ、と気づいているはずなのに、きっと私は実際にそんな日々を送ったら、すぐに新たな刺激がほしくなってしまうんだろう。まだまだ子供ですな。それともこの性とは一生付き合っていくことになるのかな。
▼あらすじ
新しい記憶を短時間しか留めておけないこよみさんと、それを支えるユキさんの姿を通じて、時間をどう捉えるか、を考えさせられる作品。
私は最近「過去も未来もなくて、あるのは今この瞬間だけ」という考え方を支持してたけど、この映画を観て、過去って私(たち)にとってめちゃめちゃ重要な存在じゃん、とハッと気づかせてもらった。
過去が存在するからこそ、自分の営みが積み重なっていくと信じられるからこそ、私たちは自分の行動に意味を見いだせる。
ユキさんも、自分との思い出がこよみさんの中に蓄積されないことに、だんだんやるせなさを感じてしまう。でも、こよみさんの記憶からは消えてしまっても、積み重ねてきた時間は確かに存在している、そう信じられたとき、ユキさんに希望が戻る感じがとても良かった。
自分の行動に意味を見いだせることの尊さ。それは時間は積み重なる、という前提があってこそなんだなぁ。
過去も未来も、自分があると思えばあるし、ないと思えばない。あくまで主観なんだよね。科学的な真実は何か?よりも、自分が心からそれを信じられるかどうか、が大事。
時間をどう捉えるかってめちゃめちゃ考え甲斐のあることだし、自分の生き方にも大きな影響があることだからちゃんと自分なりの哲学を持っていたいな。
太賀は本当に嬉しそうに笑うから、つられていつもこちらも笑顔になっちゃうね。太賀の出演作を今年もモリモリ漁っていきます。
たい焼きが食べた過ぎて死にそうになる映画です。たい焼き屋が近くにない人は観ないほうがいいです。
2022年5本目
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