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万葉週話 no.2 【万葉集中2首のみの紫陽花の歌】

こんにちは、まつしたゆうりです。

今週も万葉週話と題して、インスタライブを無事放送できました。
毎週聴きに来てくださる皆さま、ありがとうございます。
今週は

●夏至の話と七十二候
●万葉集中2首のみの紫陽花の歌
●当時の紫陽花の種類
●引っ越し大王(聖武天皇)をサポートするステキ橘諸兄さん
●そんな橘さん大好き大伴家持くん
●甘えたがりの大伴家持の妻、大嬢ちゃん

アーカイブ↓
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今週も放送内容のまとめを綴っていきます*

明後日から夏至!

6/21(月)に二十四節気が芒種(ぼうしゅ)から
夏至(げし)に変わります。
昼が一番長い日で、夏至祭が催されたりも。

七十二候では「乃東枯」(なつかれくさかるる)。
ウツボグサの花がしおれる頃を言います。
今は「梅子黄」(うめのみきばむ)、梅干しを漬けるのにちょうどいい季節。
(梅の蜂蜜漬け、美味しいのでぜひ!)

夏至のときだけ光が特別な場所を通る、なんて史跡?がいろいろあるので、そんな処を訪れるのも楽しいですよね。

紫陽花の歌① 橘諸兄さん

橘さんと聞いてみんな「誰?」と思うかもですが
あの奈良の大仏を建立した聖武天皇、の右腕(実際は左大臣ですが)
実務担当として活躍したスーパー有能なお方です。

と、いうか大仏建立の途方も無い夢を見て、
「建てよう!」と号令?をかけたのは聖武天皇ですが、
実際に建立のためのお金を生み出し、人を動かしたのは
橘さんなのでは…?!と言いたくなるサポートっぷりです。

天然痘で人口の半数近くが亡くなり、その建て直しの
中心となったのが橘さん。
墾田永年私財法を発布したり、防人の廃止をしたりして
国民の負担を減らし、富を増し、国を建て直そうと尽力くださったのです。

まあ、そんな、聖武天皇は「巨体大仏作る!」とか
「遷都する!」(5回も)とか、とにかく
お金かかることばかり言い出すので…
ほんとよく面倒みたなあと(笑)

彼のことが気になったのは、筆跡を拝見したから。
右端↓

隣の豊成さんとの対比がまた!(笑)
几帳面で、整える力が高い方なのでは。
美的感覚やバランス感覚もありそうだなと、
美しい文字にすっかりトキメイてしまい。

そんな橘さんの紫陽花の歌は

万葉集 4448 橘諸兄

紫陽花の 八重咲くごとく 八つ代にを
 いませ我が背子 見つつ偲はむ

丹比国人真人さんの館での宴で詠んだ宴。
真人さんのことを「我が背子」(いとしいあなた)と
歌の中の恋人に呼びかける表現で声をかけ、
大切に思っていることを伝えています。

紫陽花がたくさんの花を咲かせるように
長生きしてね、私もそれを見たいという
お互いの長寿を言祝ぐような歌。

きっとこの宴の時間がずっと続けばいいのになあと
そんな気持ちを感じます。

しかし橘さん、結構お酒を飲む人だったらしく…
それゆえのお酒の席でのちょっとした失言なんかもあったそうな。
そりゃ、仕事のストレスで飲みたくもなるよなあ…と
ちょっと同情したくなります(笑)

ただ、たいへんだったとはいえ、橘さんはサポート上手な
タイプの方だったのではないかな〜(乙女座っぽい)
で、夢見がちな聖武天皇(魚座っぽい)と対極関係だとすると
お互い別の部分でサポートしあえるベストパートナーだったのでは?!
と妄想が膨らんでおります。(私も魚座です)(笑)

紫陽花の種類

当時の紫陽花はすべてガクアジサイ。

それが西洋に渡って品種改良されたのが
アナベルなどの西洋アジサイのタイプだそうです。

紫陽花の歌② 大伴家持

大伴家持こと“もっちゃん”とお呼びしている家持くんですが、
彼も橘さんのことが大好きだったようで
橘を詠み込んだ歌も多く、家に橘を植えてたりします。(諸説ありますが)

ちょうど家持くんが出仕しだした時期は、
橘さんが政権を握り始めた時期なので、
世の中が混乱する中、辣腕をふるい解決していく様は
とても頼もしく、父を亡くしている家持くんにとって
お父さんのように慕いたくなる存在だったのかもしれません。

そんな家持くんの歌は、引っ越し大王(聖武天皇)が
恭仁京に遷都したおかげで生まれた歌です。

急な引っ越し、でも都は整わずで家族や恋人と離れて
恭仁京でお仕事をする家持くん。
平城京にいる恋人の大嬢ちゃんに贈った歌。

万葉集 773 大伴家持

言問はぬ 木すら紫陽花
 諸弟らが 練りのむらとに あざむかえけり

諸弟はおそらく人名、大嬢ちゃんからの歌を届けてくれた人ということ。
ちょっと意味が分かりかねている歌らしいのですが、
前後の歌(5首贈っている)からすると、




「大嬢ちゃんに「好き」ってお手紙してるけど、
おまじないしても夢に出てきてくれないし、
大嬢ちゃんからの「私も好きよ」のお返事は、
きっと遣いの人の嘘で僕はだまされてるんだ、
そんなのにだまされないからねっ。」

というような内容でした(笑)
め、めんどくさい…
いや、大好きな人のこんな態度はちょっと可愛いのかもしれないですけど
明らかに構ってちゃん…
甘えさせるより、甘えたいタイプ。

こんな家持くんと2回も結婚してくれる大嬢ちゃんは
物凄く懐の深く愛の深い人だったんじゃないかな〜と
大嬢ちゃんの方に惚れ直す歌群でした。

大嬢ちゃんについて

大嬢ちゃんは、万葉集中1、2を争う歌上手の
大伴坂上郎女の娘。

なのできっと幼少期から歌の英才教育は受けてきているはずですが、
彼女の歌は、母の大伴坂上郎女ほどぱっとしないというか…
「歌を作ることへの情熱」というものはあまり感じないように思います。
(歌も代筆してもらったりしている)

これは歌が下手ということではなく、
歌を必要としていないタイプの人だったんじゃないかな〜と
思うのです。

何か心に負荷がかかったときに、空想に逃げる人もいれば、
現実的解決の方に向く人もいる。

きっと家持くんは前者で、大嬢ちゃんは後者だったんじゃないかなと。
だからこそ、夫婦になるほどお互いの無い部分に
惹かれ合ったんじゃないかなと思うのです。

ふたりのほっこりのほほんな歌、またご紹介しますね!

次回のインスタライブは

来週は都合のためお休みします。
次回は7/3(土)AM11:00〜
菖蒲華(あやめはなさく)は少し過ぎましたが
菖蒲の歌をご紹介します

アカウント yuuli_illust


今週のアーカイブはこちら↓
(記事にしきれなかったお話もあります)
https://www.instagram.com/tv/CQSTSZRlchJ/?utm_medium=copy_link

#万葉集 #万葉週話 #古典文学 #橘諸兄 #大伴家持 #紫陽花 #夏至  

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