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あんたが嫌いやったから

リョウコは
そのうちなぜこんなにうまくいかないんだろう
って思うようになっていった

そして
それは入院したからだって
言いだした
リョウコにとってそれ以前の状態は
とてもよかった
ってことになっていた

入院がきっかけで
こんなことになった

大好きな嵐のコンサートにも行けなくなった
チケットも売ってしまった
良い席だったのに

大好きなアーティストのコンサートに奇跡的に当選していたけれど
ドクターストップがかかったのだった
退院してすぐにそんなにテンションが上がることはしない方がいい
との忠告を受けたからだ

我慢してはいたが
もう、こんなにうまくいかないことだらけの
今の状態が理解できない
処理できなくなってきた

そして
入院したことが悪かった
入院しなければよかった
と毎日毎日言い続けるようになった

決まって
寝る前に眠気が襲ってくるまでの時間
気分が落ち込むようだった

そういえばリョウコは
保育所に行っているときから
寝る前にその日あった悪いことばっかりを
愚痴るという嫌な癖があり
私はとても嫌だったことを思い出す
それと全く同じで
毎日毎日
同じことを繰り返し言った

そして
なんで私を入院させたん?
と毎日聞いてきた

入院しなけらばよかった
なんで私を入院させた?

私はいつもリョウコの隣で寝る事を
自分に課していた
それはリョウコに対する
呵責の気持ちもあった

しかしあまりにも毎日なじことを言うから
「もう、いい加減にしなさい!
もう前の状態には戻れない
今のリョウコのことが嫌な友達とは
もう、お友達じゃないんやから
さっさとあきらめて!」
といつも怒鳴って
部屋から出ていくことを繰り返していた

ある日の事
リョウコは私にいつもと違うことを聞いてきた

「お母さんは、
なんで私をキャンプに行かせたん?
私はとても行きたくなかったのに
何で行かせたの?
行きたいくないってずっと言ってたのに」

その質問は私は
一番答えたくない質問だった

その答えはリョウコには言えなかった

それは

「あんたのことが嫌いやったから」
だった

今このことを言ったら
リョウコはつぶれるかもしれない
って感じたから

「あんたはキャンプに行かんと
あかんかったやろ
リーダーやったから」
とごまかしたんだ





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