🖋情景が浮かぶような文章
読んでいて情景が浮かぶような文章ですね。
数秘学徒の皆様や読者様から幾度となくこの言葉をいただきます。
温かい言葉に自信をもらうとともに、感想を伝えてくださる皆様の「情景が浮かぶ文章への憧れ」も感じました。
自分にとって何がそうさせるのか。私の方法が絶対ではありませんが、これなら簡単!と思える何かヒントがあればと思ったときに思い浮かんだものがあります。
それは情景が浮かぶ文章を書くための秘密道具(ペン・シャープナー)。今日はこのペン・シャープナーについて書きたいと思います。
わたしのペン・シャープナー
ペン・シャープナーという言葉は、野村進著「調べる技術・書く技術」を読んで初めて知った言葉でした。この本によるとプロの作家でも原稿に向かうときに気持ちを高めていくのはたやすいことではないといいます。
ほっとする言葉ですが、だからこそ、プロの書き手は自分なりの「集中の儀式」をもっているそうです。ここがアマチュア(愛好家)の自分と違うところかもしれませんが、原稿に向かう前に音楽を聞いたり、掃除をしたりするみたいなんですね。そして集中の儀式に役立つ「材料」としてペン・シャープナーが紹介されています。
この本によると、評論家の荒正人は寺田寅彦を読むと頭の整理ができるといい、作家の加賀乙彦は大岡昇平を文章の手本にしています。お気に入りにはその人の魂に共鳴して「本来の文体」に調律する大切なものがあるのでしょう。
私にもペン・シャープナーになってくれる本があります。
・センス・オブ・ワンダー
・森に還る日
この2冊です。
音読と写本
私の源泉ともいえるのが、この2冊の本。
決めては「文体」だと思います。表紙からも想像できますが、両者とも自然への驚異と畏敬にあふれていて、その文章にふれただけで整う感じがします。
日常的に文章をアップしていると、ときに機械的になったり、説明調になったりします。気づかぬうちに身体に力が入り、「気(エネルギー)」が出なくなっているんです。そんなときは一旦筆を置いて、お気に入りの本を手に取って眺めてみます。
ほんの1~2ページ、さらっと読むだけで、心が落ち着いてきます。読み進めて内側にエネルギーが満ちてきたら文章に取りかかります。まだもう少しという場合はお気に入りのもう一冊をパラパラとめくります。
頭に上がっていた「気」が下腹まですーと降りてきます。どこかに行きっぱなしになっていた自分自身が戻ってきました。静かになった私はペンを握ります。すると、自分ではない誰かが書いているようにスラスラとペンが走るのです。
それはお気に入り本の文体(魂)が乗り移ってくるような感覚です。
読むだけで自分が整う本に巡り合ったら音読や写本もいいでしょう。作家さんになったつもりでその世界に入りむ。その後に書いた文章は、あなたの憧れた文章と共鳴し、その世界を確実に取り込んでいます。
目の前に広がる人生は美しい
私は自然が大好きです。日常的に公園を散歩するのですが、その公園の緑も、空の青も、笑いながら駆け抜けていく小学生たちも、そのすべてが目の前に広がる私の人生で、とても美しいと感じます。
家族や友人、山と積まれた本、音楽、美味しい食べ物、家族同然の動物たち。それらも目の前に広がる自分自身の人生です。そこにレイチェル・カーソンがセンス・オブ・ワンダーに書いたような「神秘さや不思議さに目を見はる感性」で眺めたら、自然と情景が浮かぶ文章になるでしょう。豊かで好奇心に満ちた面白い世界に夢中になれば、自分を忘れることもできます。
情景が浮かぶ文章の原点は、目の前に広がる人生への賛美だと思います。
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