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夏空に絵具をかさねて

ポク、ポク、ポクと木魚が小気味よいリズムを取る。随分と慣れてしまったお経の展開に、2サビが来たなと恭しく手を合わせ、軽くお辞儀をする。

夏は佳境から佳境へと移り変わり、随分と生きづらい季節になったなと毒づく。そうしている間にも、汗が吹き出て止む気配がない。

去り際に仏門への勧誘をしてくるお坊さんを見送り、食卓を囲む顔ぶれも変わっていくなぁなんて、新参者のご自慢のむちむちな足を遠慮なく堪能しながら耽ける。この子が成人するころには、50歳近くになってるんだよなぁ、なんて口をついた言葉に少しゾッとする。

次は年末年始かなあなんて言いながら、炎天の下へ足を進める。そういえば、台風で大変だろうけど帰る前に一言くらい声かけてよね。いつ結婚するの、なんてのは芸が無さすぎるぜ。

終わる気配のない夏空に、絵具を重ねすぎたような雲が浮かぶ。湿った風に少し胸が詰まる。

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