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細胞のひとつになれたら

浦和レッズのビジュアルサポートを見て「スイミーみたい」と思ったことがある。


スタンドの観客たちひとりひとりがビニール状のシートを掲げ、スタジアム全体に絵や文字を浮かび出させる。それはただただ圧巻で、最高の雰囲気を作り出し選手たちを後押しする。


これが浦和レッズサポーターの自慢のひとつ。ずっと目の当たりに(そして自分も参加)してきたが、やはり今でも感動してしまう。




小学生のころ、なぜだか『スイミー』が好きだった。1匹1匹は小さくても、大勢がまとまって大きな魚のように見せ天敵を撃退する、あのストーリー。


ビジュアルサポートがスイミーたちの作り出した1匹の大きな魚だとしたら
わたしたちはそれを構成するひとつひとつの細胞だ。



明滅する街の光が細胞のように見えた。その灯りの一つ一つに人間がいる。

『人間』又吉直樹

又吉直樹先生の著書『人間』のラストはこんな文章で締め括られる。



フルでリモートワークになってから早3年。以前に比べ、日々会う人の数が圧倒的に減っていることすらも忘れてしまいそう。

孤独や寂しさなどとは別物だけれど、社会との繋がりを肌で感じることが難しくなっている。



試合の日、電車には少しずつ赤いユニフォームを着た人が増えていく。皆いろんな場所から、忙しない日常の中から脱出してくる。

そこに行くとたくさんの人たちがいて、ひとつの同じチームを応援している。月並みすぎるけれど「こんなにたくさんいたんだ」と本気で思う。



見渡す限り、この人たちは味方なのだ。
ひとりで行っても、言葉は交わさないけれど互いに通じ合っている空気を感じられる。

ひとりコツコツと仕事をしてラジオを聞いてサッカーを観ているわたしにとって、繋がりを肌で感じられる大切な場所だ。


浦和レッズという大きな愛するチームには、一人一人の人間がいる。

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