誰にでもできることを、誰もできないところまでやる
社会人になって一年目のころ、痛いほど気づかされたことのひとつは「この世に‘自分でなければいけない仕事’なんてない」ということだ。
新卒のころはもうイケイケだから、少なからず「自分にしかできない仕事」がしたい、そんな人間になるのだと息巻いていた。
そんな輩は大切な基礎の基礎とも言える仕事を「誰にでもできる仕事」と抜かして疎かにしてしまう。
このまま社会人10年目、20年目と重ねてしまうと取り返しがつかなくなるだろう。
わたしが幸いだったのは、入社早々に「わたしの替えなんて山ほどいる」と嫌でも実感させられたことだ。
就職ド売り手市場・大量採用世代だったこともあり、黙っていては頭ひとつ抜けられない。やる気がありますと積極的にアピールして、どんどん手を挙げていかないと埋もれていってしまう。
誰にそう教わったわけでもないのでわたしが勝手にそう感じているだけかもしれないが。
それからというもの、どこの誰が言っていたか忘れてしまったが「あのスティーブ・ジョブズでさえ、彼がいなくなってもアップルは成り立っている」ということを肝に銘じている。
「誰にでもできること」こそ徹底してできなければスタートラインにも立てない。それを徹底したうえで、工夫してみたり先回りしてみたりすることの積み重ねが他との違いになってくるのではないか。
いきなり変わったことをしたり、他を圧倒する何かを作ろうとするのは見当違い。飛び道具なんて存在しないのだ。
と気づくまで新卒の一年間はかかった。
第100回全国高校サッカー選手権 準優勝
大津高校の元監督・平岡和徳さんの著書『凡事徹底』という本を読んだ。
大津高校ではこの言葉をスローガンとして掲げている。
作中には平岡さんが生徒にかけている言葉の一つとして「誰にでもできることを、誰もできないところまでやれ」という言葉が記されていた。
大津高校サッカー部は野球部の応援に行った際、会場周辺のゴミを拾って表彰されたことがあるという。
この行為は他との差を感じさせるが、「ゴミを捨てない」ということはほとんど皆当たり前にできることのはずだ。
彼らはその当たり前を当たり前にできているからこそ、さらにゴミを拾うという行為に自然とつながるのだと思った。
誰にでもできることを、誰もできないところまでやる まさにその教えが結果的に他との差になった例だと感じる。
せっかちなわたしはつい一発逆転を狙おうとしてしまいがちだけれど、当たり前を積み重ねていくしかない。それが他との差になってくるのだと再確認させられた。
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