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ヤマダ電機の「林さん」から営業手法を学んだ話

引越しを機に、いい洗濯機といい冷蔵庫を買った。


さすがに安い買い物ではないから実物を店頭へ見に行ったのだけど、ネットショッピング営業の端くれとしてはやはり購入はネットだろうと決めていた。


コロナ禍になり、ちょっとした買い物でももっぱらネットショッピングを利用する生活になっていて、
もはやリアル店舗の価値とは実物を見る・試すことのみではないかとさえ思いつつある。



日立のシャンパンゴールド的な色のお気に入りを見つけ、ネットで注文をすることにした。

しかしどうやら家に入るかどうか下見に来てその後の搬入になるため、引越しをしてから一週間は冷蔵庫なしの生活をすることになる。


ドラム式洗濯機だけサイズ感に不安があって、サイズを測ってからまた店頭「ヤマダ電機」へ行った。


そこで出会ったのがスタッフの林さん(仮名)だ。

林さんはいかにもベテラン営業マンという風貌の男性で、ガタイがよく声が少し大きめだった。




①いい距離感を保つ

林さんはずらっと並んだドラム式洗濯機をブランド・ランクごとに整理してわかりやすく端的に説明してくれた。


接客って、こちらのノリ以上に距離を詰めてこられたり、長いこと話をされるとどうしてもうんざりしてしまう


林さんは付かず離れず、絶妙な距離感で接客をしてくれた。これがベテランの余裕なのか、相手に必死さを伝えないって重要だよなと思った。



洗濯機の機能はそこそこでいい、ありすぎても使いこなせないだろう。
なんて思っていたが結局、日立の最新型・一番高いドラム式洗濯機の購入を決めた。



②自分自身でしっかり悩み決定してもらう

各ブランドにはだいたい三段階のスペックの商品が並ぶ。
営業の理論なんかでもよく「松竹梅の法則」といって、三つ提示されるとつい真ん中を選んでしまうみたいな手法はよく使われる。



ところが林さんはいろんなキャンペーンや割引やらで、一番高いランクの商品を真ん中のランクの商品と同じ値段で買えるようにしてしまった。


なんとなくで真ん中を選ぶことを閉ざされると困ったもので、ただシンプルに洗濯だけできればいいか・Ai機能などがついていろんなものを洗濯できるうえにフワフワの仕上げができるか、を選ぶことになった。



ここでもベテラン営業・林さんは押し売りをしてこない


本当に洗濯だけでいいならこっち、などと言いながらも最新型洗濯機のすごい機能をたくさん紹介してくれる。
(最近はAiが汚れを察知して更に洗ったりしてくれる)



押し売りされたり急かされたりして決めた買い物って後悔してしまうことが多い。たぶん自身でしっかり悩んだ、という事実を残すこともかなり重要なんじゃないかと思う。



③スピード感を持つ

そんなこんなで最新型の洗濯機に決めたころ、自然な流れすぎてよく覚えていないが、引っ越しから一週間届かない冷蔵庫の話に。



冷蔵庫売り場に移動して機種を確認してくれ、一週間待たなくても(下見なしでも)運んでくれるのだと教えてくれた。

※どうやら内階段・外階段の定義が思っていたものと違ったようで、その選択次第で下見が必要になるらしい。




林さんはその場でささっとネット価格や在庫を確認し、冷蔵庫もネットと同じ価格で購入させてくれると言う。洗濯機と一緒に届くように冷蔵庫も買うことができた。



この一連の買い物中、林さんは手元のタブレットを操作しながらサクサク話を進めてくれた。このスピーディーさがとても心地よく、特に面倒くさがりのわたしには最高だ。



余談だが、実際の購入手続きなどは林さんの後輩にあたるであろう女性にバトンタッチした。


女性は林さんに何かを確認している。それがおそらく営業の成果である数字を誰につけるか?という確認だと思ったのだが、林さんは「●●(女性)でいいよ」と軽く答えた。



わたしも営業をやっているから、「数字がつく」ことの重要性は身に染みている。

後輩の数字を自らつくっていた(のであろう)林さん。また新たなお客さんのもとへ接客しに戻る背中がただただ超カッコよかった。



④ゴールデンモーメントをつくる

何やら書類に必要事項を記入して、さあお買い物完了というタイミングで戻ってきた林さんは、両手いっぱいの便利グッズを持ち帰らせてくれた。もうこうなると実家のお父さんみたいだ。



思えば林さんは、もう購入が決まっているのに更に割引を加えてくれたりした。


営業をしていると、つい“獲得”した瞬間にどこかフーと安心してしまう。しかし、最後にさらに「ちょっとイイ思いをした」という経験は気持ちよく帰るために非常に重要なのだと思い知らされた。



マクドナルドでアルバイトをしていた頃に習った「ゴールデンモーメント(お客様が想定以上のサービスを感じて少し嬉しくなる瞬間)」の考え方をふと思い出したりもした。




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ヤマダ電機をはじめ、コロナの影響も相まってリアル店舗の苦労はわたしの想像を超えるものだろう。


店舗に訪れたわたしたちに「やっぱり家電はネットじゃなく店舗に来たほうがいいね」、さらに言えば「ヤマダ電機のこの店舗にまた来よう」と思わせた林さんには、満足を超えて感動さえしてしまった。



そんな林さんの名札に書かれたモットーは、「お客様に納得のいく買い物をしてもらう」だった。


一見よくある言葉のように思えるが、これをまさに体現していた林さんは「家電量販店・リアル店舗での買い物」という経験を彩り、リアル店舗の存在意義すら問い直しているかのようだった。



こんな感動体験をしたのだから、また大きな買い物をするときにはあの店舗に行こう決めている。

ちなみに最新型の洗濯機の実力にもめちゃくちゃ満足している。

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