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ヴィッセル神戸 2021シーズン展望

史上初の降格4枠となる2021シーズンの明治安田生命J1リーグがもうすぐ開幕する。

昨シーズン、リーグ14位に終わったヴィッセル神戸は三浦体制2年目を迎える。ヴィッセル神戸も降格4枠となれば他人事ではないだろう。そんな2021シーズンの展望をしていきたいと思う。

移籍情報

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2020年オフシーズンは西大伍を始めとした主力選手が多くする退団こととなった。特に最終ラインは半分ほど入れ替わる形になる。そしてFWも生え抜きの小川慶治朗が退団し、サポーターへのショックは計り知れないものだった。

加入選手はほとんどがレンタルバック含め20代前半の選手であり、チームの若返りを行った。

小林友希、増山朝陽は昨シーズンレンタル先のチームの主力として活躍し経験値を激増させて戻って来たに違いない。今シーズンはそれをチームに還元してもらいたい。

そして井上潮音には大きな期待が寄せられている。東京ヴェルディの主力として類い希なテクニックとセンスを見せつけてきた。神戸の中盤は層が厚くなり競争力が増した中で試合に絡んで活躍して欲しい。憧れのアンドレスイニエスタから様々なモノを吸収し安井、郷家とともに切磋琢磨することで神戸の未来は大きく変わっていくことだろう。

一見、主力選手が多く退団し戦力は低下したように思える。事実短期的に見ればそのように映る。しかし、長期的に見るならば納得のいく移籍動向のようにも見える。退団した選手のほとんどが20代後半~30代。吉丸、藤谷に関してはユース上がりで約5年が経過している。プロ生活5年のキャリアでレギュラーとして定着出来なければ試合に出られる環境に身を移すのも納得がいく。高年俸であり、30前後の渡部、ダンクレーはおそらく世代交代の意味合いが強い。小林、菊池、山川などが台頭してきたことをポジティブに捉えればそこまで悲観するような事ではないように思う。

2021シーズン陣容

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GK

2020シーズン後半、飯倉に代わり絶対的守護神に名乗りを上げたのが前川黛也であった。シュートストップに定評があるもののメンタリティに若干の弱さがあり、ビルドアップでミスをしたりその後のプレーでミスを引きずる事が多くなかなかレギュラーに定着することが今まで出来なかった。しかし、昨シーズンの後半からは大きなミスをすることもなくなり、それに伴いミスを引きずる事もなくなった。ACLでは守護神としてビッグセーブを連発し、ベスト4進出に大きく貢献した。今シーズンも絶対的守護神として前川黛也がゴールを守ることになるだろう。

CB

渡部、ダンクレーといった昨シーズンの主力が抜けたポジションである。それ故、選手層としてはかなり心配である。枚数としては山川を含めれば5枚と十分であるが現役ベルギー代表のフェルマーレンが抜けると一気に薄くなる。代表招集に加え、怪我が多い選手であるため、欠場した際に若手の小林に穴を埋めさせるのは荷が重すぎる。さらに今シーズン、山川の主戦場はRSBになるであろう。今季のリバプールのように本職CB居なくなる可能性だってあるのだ。そこはなんとしてでも避けたい。

それでも昨年一皮むけた菊池には大いに期待したい。強靱なフィジカルに加え足下の技術も身につけた若武者はまさに和製ダンクレーである。今シーズンは主力として最終ラインを支えて欲しい。

SB

LSBは昨シーズン同様、酒井と初瀬が務めることになる。酒井はコロナ感染もあり、コンディションが整わなかったが今シーズンはスタートからフルパワーの酒井高徳が見れそうだ。初瀬は守備面での改善もさることながらワイドで受けたあとのプレーも気がかりである。パスの受け損ないも多く攻撃を途切れさせてしまうことも少なくない。一刻も早く酒井高徳を追いつき追い越すような存在になってほしい。

RSBは今オフ最も議論を呼んだポジションである。本職の2選手が同時退団という異例の事態である。ACLは山川哲史がRSBを務めた。初めて任されたポジションではあるが難なくこなしていたように思える。しかし、課題はビルドアップと攻撃面である。SBはラインと相手に挟まれながらプレーするためより正確な判断とプレーがビルドアップ時に求められる。相手が分析してくる中で間違いなく狙われるポジションであるだろう。内側の選手につけるパスのスピードは一級品であるため彼がRSBとして化けることを期待したい。

DMF(アンカー・リベロ)

サンペールがメインの選択となるであろう。しかし、リベロとして高いレベルで機能する大﨑も使うことが出来るはずだ。CBの薄さからして起用頻度が高くないことは確かである。だが、ガンバ大阪、サンフレッチェ広島のようにトランディションで勝負してくる相手にはサンペールでは分が悪いため大﨑をリベロで起用し、アンカー脇を消す選択も時には必要になる。

CMF

神戸の中盤はポジショニングの理解度がより必要であり並の選手では務まらないまさに心臓部分である。今シーズンは昨シーズン経験を積んだ安井に加え、郷家と井上もここが主戦場になるであろう。絶対的エースであるアンドレスイニエスタと山口蛍の壁は分厚いが今シーズンも過密日程であるため出場機会が巡ってくるはずだ。ビルドアップでの組み立てのみならず得点にも絡まなければならないのがこのポジション。イニエスタが昨シーズン終盤に長期離脱を余儀なくされたため山口蛍の相方として若手にはチャンスが回ってくる。安井にはゲームをコントロールすることを、郷家には昨シーズン同様ゴールに絡むプレーを、井上潮音には相手を一枚剥がし数的優位をつくるプレーを期待する。そうすれば試合展開によって流れを変えたい場合途中出場での機会も増えてくるに違いない。一定のレベルで試合をこなし、その中で各々の持ち味を発揮して欲しい。

WG

LWGは今シーズンも古橋享梧がエースとして君臨するだろう。二桁得点を毎シーズン取っている彼はまさに神戸のエース。今シーズンもチームを引っ張る存在感を見せて欲しい。

問題はRWGである。昨シーズン、RWGの安定的に結果を残すことが出来なかった。小川、郷家が務めることが多かったがどちらも優位性を試合の中で保つことが出来ずレギュラーに定着する人材がいなかった。特にWGではビルドアップ時相手を背負いながらのプレーが多くなる。ここでいかに前を向けるかが後ろから組み立てるに当たって重要となる。しかし両者ともに背負いながらのプレーは得意としていないために前を向けないことが多かった。今シーズンはレンタルから復帰した増山、佐々木に期待したいと思う。LWGで結果を残すことが出来れば古橋を右に回す選択肢もあるはずだ。とにかく彼らにはビルドアップと得点で貢献して欲しい。

CF

CFの枚数はどのポジションよりも多い4枚となった。昨シーズンはこのポジションでの得点が非常に少なかった。どれだけ押し込んでも得点を取れなければ意味が無い。既存の3名に加え新たなに名門フラメンゴから20歳のリンコンを獲得したことでさらに結果が求められるシーズンになるだろう。

リンコンがどのようなプレーヤーなのかは動画でしか見たことがないのではっきりとはまだ理解できていない。見る限りでは万能型ストライカーのような気もする。まだ若く、発展途上のため過度に期待するのはあまり得策ではない。入国が遅れていることや公式戦から長く遠ざかっていることを考えるとシーズン終盤あたりにコンディションが整ってくる可能性が高い。そのため序盤はドウグラス、田中、藤本の3人にやはり期待がかかる。

メインの選択はドウグラスとなるだろう。怪我で離脱することも多かったが試合に出ればやはり相手の脅威にはなる。適性はST(セカンドトップ)と思うがそれでもCFとして結果を残してもらわなければならない。

システム・選手起用

メインのシステムは4-3-3を予想。ACLでも披露した4-2-3-1もオプションとして用意しているだろう。まずはビルドアップでの組み立ての中でゴールから逆算したプレーの選択が出来ているかは三浦監督の評価の分かれ目となる。本人が言い訳出来ないシーズンとコメントしていたが結果だけで無く、内容にもこだわらなければならない。それが出来なければ神戸の監督としては適任ではないことが示されるだろう。

特に重要なのはセルジ・サンペールと大﨑玲央を上手く使いこなせているかが鍵になる。この2名に関しては起用のされ方によって評価が大きく分かれてしまう選手達だ。ボールを保持しながらゲームをコントロールしたいのであれば彼らの起用は同時起用とまでは言わないがマストになる(本来なら同時起用で活きる策を見出してほしい)。

そして右サイドは今シーズンの大きな課題である。SBは本職の2枚が抜けたことで大きなウィークポイントとなってしまった。WGに関してもメインの選手が確定していない。ここの連携をどうするのかは重要なポイントとなる。2列目以降は比較的選手層が厚いので安心ではある。そのため異論は少ないであろう。

今シーズンはACLも無いためリーグに専念出来るシーズンである。ACL圏内を目指す以上連敗はなんとしてでも避けなければならない。昨シーズンの開幕前ほどの期待や高まりは無いがそれを裏切るようなシーズンになることを期待する。

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