見出し画像


3月14日。
長女の中学校の卒業式だった。
コロナ禍が始まった2020年4月に彼女は中学生になった。
ちょうど、緊急事態宣言が3月にでて、
4月に入ってから同級生と集まることもほぼないまま2か月の自宅待機。
6月から分散登校やオンラインの授業が始まった。

彼女は、他の生徒と少し違う進路を歩んでいた。
小学5年生の途中から、不登校の状況になり
中学入学の1年程前から他の同級生よりも先に自宅待機している。
1人コロナ禍の状況になっていたのだ。

周りが2か月の自宅待機に戸惑う中、私は先にコロナ禍の予行練習をさせてもらっていたと前向きに考えるようになった。

2020年6月三女の出産もあり、家族の状況も大きく変わった時期でもあった。彼女も三女の誕生に戸惑いながらも、両手に収まる小さな命を愛おしく眺めている。
新しい命に母親のような優しいまなざしを向けている姿に成長を感じた。

他の生徒よりも遅れてしまった時間を取り戻すように、自宅学習や塾での学び、好きな趣味に打ち込む。
中学2年生からは、クラスにも入るようになって、気の合う友人とも交わり始めた。ゆっくりでも着実に自分の力で前に歩みを進める力強さを身につけていた。

もう彼女にとって私ができることは
出掛ける背中に「いってらっしゃい!!」と大きな声で送り出し、「よく頑張ってるね」と声をかけるくらい。

親は、必要な時に手を差し出し、目を配るだけで十分だと思えるようになった。

「今日まで支えてくれた家族に。
時には反抗することもあったけれど、ありがとう。」
卒業生の答辞を読み上げる同級生の言葉に、目頭が熱くなる。

先生の
「以上をもちまして。卒業証書授与式を終了します」
の声で、卒業式のセレモニーが終わる。

校庭にでると早咲きの桜の花が咲いていた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?