詩のサイトに投稿するのを辞めてnoteに投稿するようになって気付いたこと

タイトルだけでは何のことやらわからない方も多いかもしれませんが、僕はだいたい20歳くらいの時から今まで10年くらい詩というものを書いてきました。
かといって詩の世界で何かを成し遂げたか、と問われると何もしていないに等しいので、自らを詩人というのは少し恥ずかしいのですが、自分ではそのように思っています。
10年書いていて何も為し得ていないというのはどうもおかしな話じゃないか、と思われる方もいらっしゃると思いますが、事実僕は一冊の詩集も出版しておりませんし、そもそも詩の雑誌というものに自らの詩を投稿したことすらありません

ここまで話すと「つまり趣味と言うわけですね」と大概の方が仰るかと思うのですが、それもまた少し違う、というのが「現代詩」というものを取り巻く不思議な環境の一端であるのかもしれません。

詩の雑誌

10年前駆け出しの「自称詩人」だった僕は、とりあえずその当時売っている詩の雑誌を調べ、それぞれの雑誌の「新人賞の賞金」を調べようとしました。
調べようとした、というのは「調べようとしたけどいまいちよく分からなかった」ということで、詳しく言うと、賞金は10万円とか、それほどは貰えないということは分かったのですが、まあでも詩集を出版してもらうための賞なのだろうな、と思い、詩集の出版にかかる費用を賞金として出してもらっているのだろうな、と考えました。
ところが、いくら話を伺えど、詩集を出してもらえる、という話すら聞くことが出来ず「賞をもらったとしても結局自費出版」という本当か嘘かよくわからない話を聞かされるばかりでした。
なので「調べようとしたけどいまいちよく分からなかった」なのです。

結果、僕が現金な人間だということも相俟って「賞をもらってもさらにお金を出して詩集を出してもらうだなんてコンビニフランチャイズじゃないんだから」と結局詩の雑誌に投稿することはありませんでした。

参考までに、同じような疑問抱かれた方(@ni_kaさん)のまとめがありましたのでそちらを置いておきます。


詩投稿サイト

そんな状態で、詩の投稿サイトというものがネット上にあるということを知り、ここ10年ほど投稿してきたわけであります。
すると不思議なことに、「糞のような詩」と呼ぶのも憚られるような「糞でしかないなにか」を書いてた僕なんかを「いいね!」とほめてくれる方々がたくさんいらしたのです。僕としては詩の雑誌というコンビニのフランチャイズよりもよっぽど楽ちんで、しかもなんだか褒めてくれる人がいっぱいいる、その空間がもう愛しくて愛しくてたまらなくなりました。

そして10年が経ちました

そうですね、皆さまが仰りたいことはとてもよく分かります。ぬるま湯につかりすぎ問題に関しては後ほどご説明させていただきます。

詩誌かそれともネット詩か


少しその途中にあったことなどご紹介させていただきます。僕がネットで詩を書いている頃に例えばこんな議論がされることがありました。

曰く
「詩誌は権威ばかり笠に着て、詩の本来の面白さを忘れている」

「そもそも詩誌にのっている詩よりもネットにあるものの方が面白いものが多い」

それに対して、

「いやいやネット詩だなんてただの慣れ合い、褒め合いの場で少しも研鑽がなくレベルも低い」

「一度も詩誌に受からなかった奴が悔し紛れに吠えてやがらあ」

当時僕は真剣に、両者ともに大切に思っているものの違いがあり、見え方も違うので意見は食い違うが、どっちかが一方的に正しいわけではなく、それぞれに理があるのだろう、と思っていました。

しかしこれまでの経緯をお読みになって皆さまはどう思われますか?

このようなことを申し上げるのは大変心苦しいのですが、いま僕は皆様と同じく「どっちもどっちじゃねーか」と恐れながら思ってしまいました。

そうです、根本的な問題として「詩を売れるものにしなければならない」という視点は残念ながら両方ともに無いのです。

「詩の」雑誌、「詩の」投稿サイト

そうしてようやく気付いたのは、「詩の」雑誌も「詩の」投稿サイトも基本的には「詩の」関係者しか読んでいないということに。そして僕は「詩の何か」に自分の書いたものを投稿するのは、なんかつまらない、と思いました。

それがタイトルにも繋がっているのですが、僕が自分の書いたものをnoteに投稿し始めた理由です。まだ書き始めてほんの少ししか経っておりませんし、別に僕の記事がnoteでいっぱい読んでいただけているだなんて思い上がりもないのですが、この期間に少し気が付いたことをこの前呟いたので、それを貼ります。

そう、お読みいただければわかるかもしれないけど。

誰かに褒めてもらえないのめちゃめちゃ辛い。

それと同時に気付いたのは、これまで優しい言葉をかけてもらっていた中で、ひときわ真剣に「あなたの書いたものが好きです」と言ってくれた言葉。それが走馬灯のように脳裏を駆け巡りました。

結論

なんだか言いたいことだけ言ったような気がしますけど、僕には「詩の何か」を否定するつもりは全くないです。
先ほども書きました、僕がこの10年間詩を書き続けてこられたのは「詩の何か」を通じて様々な方に物書きとしての命を長らえさせていただいた結果であるから、否定することはできません。

でも、やっぱりそればかりではダメなんだと思う。
僕が書いたものを読んで「お金になることがすべてなのか」と疑問に思われた方もいるかもしれない。僕は多分真顔で「え? お金になることは前提条件でしょ」と答えると思う。
現在の詩は、再生数50くらいで伸び悩むyoutuberのようなものである。そこで伸び悩む前に、先ずいろいろとやることがあるのではないだろうか、という単純なお話であります。

noteに投稿して、どういうものが詩にかかわりのない方にも喜んでいただけるのだろうか、とあれこれ試行錯誤するのは大変です。しかしやっぱり「誰かに届けたい」という表現者ならすべての人が感じるであろうことを目的にして四苦八苦するのは存外に楽しいですよ。

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