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#10 若宮糀屋 ~糀作り体験~

こんにちは。

be-en 代表のゆうかです。

蔵元巡り第十弾は、長野県岡谷市にある『若宮糀屋』さんの糀作り体験記をお届けします!

若宮糀屋さんの HP はこちら👇


若宮糀屋について

若宮糀屋は明治19年に創業しました。

「シルク岡谷」の呼称を持つ、全国随一のシルクの生産量を誇った岡谷市に位置する蔵元とあって、周囲の蔵元同様、若宮糀屋も当初は養蚕業を営んでいました。

世界恐慌等に起因する製糸産業の縮小に伴い、新たな事業として立ち上げたのが糀の製造業だったそうです。

現在は糀の製造をメインで行うほか、甘酒と味噌も自社製造しています。

糀について

麹には米麹、麦麹、豆麹がありますが、若宮糀屋では、長野県で生産されたうるち米を原料とした米麹を製造しています。

少し話は脱線しますが、こうじには「麹」と「糀」の2種類の表記があります。両者の違いを簡単に説明すると、「麹」は中国から伝わった漢字で、「糀」は明治時代に日本でつくられた国字です。一般に、中国ではこうじの原料に麦を用いることが多かったことことから、「麹」と表記し、日本では米を用いてこうじを作ることが多かったことから、「糀」と表記するようになったと言われています。そのため、麦・豆・米などの穀物で作られたこうじ全般を指す場合は「麹」、米こうじを指す場合は「糀」と使い分けることが多いようです。

糀は非常に繊細で、原料となるお米のタンパク質やデンプン含有量、水分量、糀菌、温度等で変わります。一番大切な要素は温度管理で、例えば、甘酒、お酒、味噌に適した糀を作るための温度には以下のような違いがあります。

この温度の違いによって活性化する酵素が異なり、その酵素の働きで生成された糖やタンパク質が、発酵食品の独特の味わいとなります。

甘酒 ・・・ 約40℃
お酒 ・・・ 約38℃
味噌 ・・・ 約32℃

また、糀は蒸したうるち米に麴菌を散布し、菌を繁殖させて作ります。

麹菌が蒸米に付着した際、米の特徴によって麹菌の繁殖方法が異なります。麹菌は蒸米に付着すると胞子を発芽させ、水分のある方に向かって菌糸を伸ばします。この、菌糸が白く見えるようになった状態を「破精(ハゼ)」と表現します。ハゼの広がり程度をハゼ廻り、米粒の中心部に菌糸が生育していく程度をハゼ込み、菌糸の増殖が不十分で蒸米のままのような状態で固くなっていくものをハゼ落ちといいます。

ハゼ廻り・ハゼ込みの程度で糀は次の4種類に分けられます。

糀の種類

参考:灘酒研究会

麹菌にも様々な種類がありますが、麹菌に関してはこちらのサイトで簡単に紹介されています。併せてご覧ください。

若宮糀屋では、菌と温度を調節することで、甘酒、味噌、お酒など各製品に適した糀を製造することを得意としています。市販されている表面が真っ白な糀は、本来、製品作りには使われないバカハゼ糀であることが多いそうです。

糀作り体験記

今回は、うるち米を蒸し釜に入れる作業、糀菌を蒸米に植える作業、菌が付着したうるち米を一晩寝かせた後に全体をほぐす作業、糀を室蓋(麹蓋)に入れる作業、出来あがった糀を直方体に切り分ける作業と、一連の工程を体験させていただきました!体験の様子はこちらにも載せているので、ぜひご覧ください^^

一晩寝かした糀をほぐす作業
室蓋に糀を入れる作業

糀作りでは、蒸米を平らにならして一晩寝かせた後、温度ムラを防ぐために翌朝お米の塊をほぐします。また、さらに一晩発酵させてできあがった糀をブロック状に切り分けいていきます。これらの作業は、腰をかがめた前傾姿勢で行うため、腰に負担のかかる大変な作業でした。また、糀室(糀を寝かせる部屋)の室温は30℃〜40℃であり、汗をかきながら作業を行なっていました。

糀室


今回の体験を通し、汗をかきながらも、種(糀菌)から育てた糀ができあがった際の達成感を体感することができました。さらに、米の柔らかさや水分量によって糀の生え方が変わるため、糀作りの繊細さを実感しました。


生き物である糀と共生しながら培われた職人の目と技を体感させていただき、本当に貴重な経験となりました。
若宮糀屋の皆様には心から感謝しております。

若宮糀屋では “五感を取り戻す” をテーマに、糀作り体験の他、『体験型宿泊施設兼シェアハウス』も企画しています(詳細はこちら)。

また、甘酒専用の糀でつくった「こうじの甘酒」やとろ~り新食感の「あま酒焼き芋」など、美味しさとこだわりの詰まった製品を是非たくさんの方に食べていただきたいです!

甘酒焼き芋

ご興味のある方はぜひ足を運んでみてください♪

それではまた次の記事でお会いしましょう!

文責:むーみん

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