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The Byrds「Younger Than Yesterday」(1967)

ウエストコーストロックの源流といえばビーチボーイズが真っ先に思い浮かびますが、このバーズも忘れてはならない存在です。フォークとロックを融合し、鮮烈にデビューを飾り、以降サイケロック、ラガロック、カントリーロックと多様な音楽スタイルに姿を変えていきます。

この「Younger Than Yesterday」はバーズ、4枚目のアルバム。次作「The Notorious Byrd Brothers」ではデヴィッド・クロスビーが脱退し、更に次の「Sweetheart of the Rodeo」においては、クリス・ヒルマングラム・パーソンズを引き入れ、完全にカントリーバンドと化してしまいます。こうした以降の変遷を考えると、このアルバムは、リーダーのロジャー・マッギンデヴィッド・クロスビークリス・ヒルマンのソングライティングセンスがバランスよく現れた作品といえるかもしれません。

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①「So You Want to Be a Rock 'N' Roll Star」はこのアルバムからのファーストシングル。当時隆盛を極めていたモンキーズを皮肉った曲。モンキーズが大好きな私としては、ちょっと複雑な心境です。
トランペットがアクセントになっている、ちょっとサイケがかったロックです。アルバム全体に言えますが、特にこの曲のクリスのベースのランニングベースが心地よく、いい感じです。

②「Have You Seen Her Face」はクリス・ヒルマンの作品。このアルバムからの3枚目のシングル。ちょっとノスタルジックなマージービート的な作品。60年代中期のブリティッシュ系バンドを思わせます。

④「Renaissance Fair」はロジャーとデヴィッドの共作。ただし恐らくデヴィッドの単独作品と思われ、デヴィッドは共作ということについて、クレームを申し立てたといわれてます。この曲もクリスのベースが異様なくらいに飛び回ってます。

そして⑤「Time Between」はもともとマンドリン奏者だったクリスらしいカントリーフレイヴァー溢れる楽曲。「ロデオの恋人」の萌芽は既に見られていたわけです。ちなみに⑦「Thoughts And Words」もクリスの作品ですが、ここではビートルズらしいフレーズが飛び出したり、テープの逆回転を用いてサイケ感覚を煽ったり、なかなかユニークな作品です。

デヴィッドやクリスの活躍が目立つアルバムですが、やはり本作の決定打は⑨「My Back Pages」でしょう。バーズは既にボブ・ディランの名曲をいくつかカバーしてますが、この作品もボブ・ディランのペンによるもの。ただし相変わらずバーズ流の見事なアレンジで、バーズの作品として聴かせてしまいます。さすがロジャー・マッギン。
中学生の頃、バーズのベスト盤を購入し、その収録曲のなかでも一番のお気に入りだったのがこの「My Back Pages」でした。そのほろ苦いメロディとトレードマークの12弦ギターの音色に魅了されましたね。その時の思いは今も同じです。

 ♪ Ah, but I was so much older then
   I'm younger than that now ♪

この「My Back Pages」は多くのカバーが存在しますが、その多くはバーズのバージョンをリアレンジしたものですね。Bob Dylan, Roger McGuinn, Tom Petty, Neil Young, Eric Clapton & George Harrison…。このメンバーでの「My Back Pages」の映像、最高です。ギターソロはなんとニール・ヤング。

このアルバムも聴けば聴くほど味の出てくるアルバムですね~。

バーズはこの年、モンタレーポップフェスティヴァルに出場しており「Chimes of Freedom」、「He Was a Friend of Mine」、「Hey Joe」の3曲を演奏したようです。そのうちの「Hey Joe」の映像がYouTubeにありましたのでアップしておきます。デヴィッド・クロスビーがハイテンションなんですよね。バーズ=ロジャー・マッギンというイメージがあったのですが、この映像を見る限り、ロジャーの存在は掻き消されているかのような錯覚を覚えます。やはりロジャーとデヴィッドの主導権争いは激しかったのでしょうね。


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