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Small Faces「Small Faces」(1967)

最近、60年代後半の洋楽を深堀しております。それも以前ご紹介したホリーズよりもピリッとハード系なもの…。そして改めてスティーヴ・マリオットは偉大だったなあと痛感しております。

本作はそのスティーヴ・マリオットがリーダーだったスモール・フェイセズの、全曲オリジナル曲で勝負したサード・アルバムです。ややこしいのはファースト・アルバムも同タイトルなんですよね。なのでこちらは「The First Immediate Album」と呼ばれることもあります。

スモール・フェイセズは元々は1965年にデッカ・レコードからデビューするのですが、デッカとの関係が悪くなり、1967年にイミディエイト・レコードへ移籍します。移籍後に発表されたアルバムが本作。一方、デッカ側も未発表曲集「From The Beginning 」を発表。こちらが先行して発売されたのでセカンド・アルバム扱いとなっております。

ローリング・ストーンズのマネージャーだったアンドリュー・オールダムがデッカを辞めて、新たに設立したのがイミディエイト・レコードであって、アンドリューはスモール・フェイセズをかなり優遇し、彼等は長時間自由にスタジオを使って本作を制作したようです。殆どの作品はメンバーのスティーヴ・マリオットとロニー・レインの共作。

ますはオープニング・ナンバーから圧倒的にカッコいい。それが①「(Tell Me) Have You Ever Seen Me」。
ケニー・ジョーンズの重々しいフロアタム打ちから、スティーヴの軽快なギターとロニーのヘビーなベース、そしてイアン・マクレガンのグルーヴィーなキーボード、どれもが素晴らしい。特にザ・フーのキース・ムーンを思わせるような荒々しいケニーのドラミングは演奏を煽り立ててますね。そして迫力あるスティーヴのヴォーカル。この時代のブリティッシュ系バンドの中でも群を抜くカッコよさです。

イアンのキーボードがフューチャーされたインストナンバーの④「Happy Boys Happy」。
こちらもスティーヴとロニーの共作なんですが、ちょっとジャズテイスト溢れる粋なナンバー。ジョージ・フェイムがやりそうなナンバーですね。この曲なんかを聴くと、スモール・フェイセズは荒々しいだけのバンドではないことがよく分かりますね。

ロニーがリードヴォーカルを務めるキャッチーな⑦「Green Circles」。
スモール・フェイセズにはイアンというキーボード奏者が居りましたが、この曲なんかはキーボードが加わることで、よりポップでマイルドなサウンドになっているように感じます。後にブリティッシュ・フォークに傾斜していくロニーですが、この当時はこんなキャッチーな曲も作っていたんですね。

本作中、恐らく一番人気の高いナンバーが⑨「Get Yourself Together」でしょう。イントロこそ哀愁漂うギターのアルペジオで始まりますが、ドラム・ベース・キーボードが一斉に音を鳴らし始めたら、いつものスモール・フェイセズ節です。ロニーのベースが結構凝ったアレンジですね。メロディをキーボードが弾いたりして、キャッチーな仕上がり。アレンジによってはかなりハードロック寄りも出来た筈ですが、ちょうどいい具合にポップな部分を残しているところが彼等らしい。

ジャムのポール・ウェラーがスモール・フェイセズが大好きであったことは有名な話ですが、ジャムがこの曲をよりハードにカバーしております。

本作にはイアンが作った曲が1曲だけ収録されてます。それが⑬「Up the Wooden Hills to Bedfordshire」。
リード・ヴォーカルもイアン。この曲が意外とクールでカッコいい。もちろんイアンのハモンド・オルガンがフューチャーされてます。短い曲ですがエンディングは3拍子に変化していたり、随所にユニークなアレンジが施されてます。

この後、彼等は音楽的に大きな成長を遂げ、名盤「Ogden's Nut Gone Flake」を発表。そしてグループはハンブル・パイとフェイセズに分かれていくことになります。
この時代の音楽は興味深いバンドがたくさん居りますね~。


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