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Billy Joel「Turnstiles」(1976)

本作は、ビリー・ジョエルが活動拠点をロスアンジェルスからニューヨークへ移した記念すべき最初の作品であり、後の「The Stranger」、「52nd Street」、「Glass Houses」のビッグヒットした3部作に連なる布石となった重要な作品でもあります。邦題「ニューヨーク物語」。

そして忘れてはならないのが、ビリー・ジョエル・バンドと呼ばれたバックバンドのメンバー。この作品から彼等と活動を共にすることとなります。

私が洋楽を聴き始めた当時、この曲のライヴヴァージョンが大ヒットしてました。それが①「Say Goodbye To Hollywood」。
1981年、ビリーは「Songs in the Attic」」というライヴアルバムを発表します。そのアルバムは、「Turnstiles」までの初期4枚のアルバムからのライヴを選曲したもので、楽曲を大事にするビリーらしいアルバムでした。そこからシングルカットされたのが「Say Goodbye To Hollywood」でして、楽曲自体は1976年に発表されているのに、そういった事情からこの曲を聴くと、洋楽を聴き始めた頃を思い出します。
冒頭申し上げたロスアンジェルスからニューヨークへ・・・、つまり「さよならハリウッド」に繋がる訳で、かつニューヨークといえばフィル・スペクター(とビリーは思った筈)、フィルから影響を受けていたビリーは、この楽曲で思いっきりスペクターサウンドをパクります。それも見事に・・・。
イントロのドラム、バックで鳴るパーカッション、どれもがスペクター一色。そしてこのタイトなドラムこそが私の大好きなリバティ・デヴィート。後の往年のビリーサウンドは彼が大きな屋台骨となったと思ってます。

そしてビリーの名バラード④「New York State Of Mind」。ビリーの故郷でもあるニューヨーク、そしてロスから戻ってきた気持ち・・・、いろいろと重なり合った心情が見事に表現されてます。ビリー初期を代表する1曲でしょう。

その「New York State Of Mind」が表の代表作なら、⑤「James」は影の名曲かもしれません。
フェンダー掛かったエレピがニューヨークサウンドっぽいし、「New York State Of Mind」」がアルトサックスなら「James」はソプラノサックスで、なかなか考えられたアレンジだと思われます。これも素晴らしい楽曲ですね。↓ネクタイ姿のビリー、ニューヨーカーですね~。

後のライヴの重要なレパートリーとなっていった⑥「Prelude/Angry Young Man」。これ大好きなんですよね。イントロのビリーのピアノの連打プレイ、なんともプログレです。楽曲自体もフュージョンタッチで、もう30年以上前の作品とは思えません。そしてここでもリバティのプレイが光ります。ビリーが歌いだすバックで、彼のドラムがものすごいリズムを刻んでますね。カッコいい!
ビリージョエルバンドはテクニシャン揃いなんですよね。

このバンドの演奏を見ていた、ついつい私の愛唄歌「Just The Way You Are」のライヴを発見、見とれてしまいました。
くどいようですが、ここでもリバティのリズムパターン、ボサノバタッチを取り入れた素晴らしい名演です。サックスソロも最高。

ビリーバンドの要、リバティは今はもう解雇されていたんですね。そして要のもう一人、ベースのダグ・ステッグマイヤーはバンドを解雇され、自殺という結末に・・・。70年代、80年代を駆け抜けた4人のビリージョエルバンドのメンバーは、今はもう誰もビリーの元にはいないし、関係もこじれてしまってます。
この名作を聴きながら、永遠の絆というものは存在していなかったのかと思った次第です。

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