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Margie Joseph「Margie Joseph」(1973)

先日ご紹介したユニットの東北新幹線、そのメンバーだった山川恵津子さんが、これまた前回ご紹介済の動画チャンネル「Fourth Wave Records Factory」に登場。ここでは同じヤマハ出身の大村雅朗の話とか、アレンジャーの凄技とか、非常に興味深い話を繰り広げております。達郎さんも仰ってましたが、やっぱりアレンジャーって重要なんですよね。

さて、今回はコアのソウルアルバムのご紹介です。
このマージー・ジョセフのアルバムが一般的に知られたのは、アトランティック創立65周年を記念した2012年の「ATLANTIC R&B BEST COLLECTION 1000」シリーズ(名盤CDが1000円!という企画)で再発売されたことが大きな要因のようですね。
恐らくこの強烈なジャケから印象に残っていても、アナログ盤はデカすぎてちょっと耐えられない(笑)、でもCDなら…という方も多かったのでは…と想像します。
本作は間違いなく隠れソウルの名盤。私もサブスクでなかったらチェックしていなかったかも。実際この作品、マージーの愛らしくもパンチのあるヴォーカルと、極上の演奏が楽しめます。

マージー・ジョセフは1969年、19歳のときにスタックス傘下のボルト・レコードと契約し、アルバムを2枚発表します。そしてその後、アトランティックに移籍して発表したのが本作。プロデューサーはアリフ・マーディン。アリフは間違いなく、マージーを第二のアレサ・フランクリンとして育てたかったと思われます。

いや~、ジャケが強烈過ぎる(笑)。
そしてそれ以上に参加ミュージシャンが強烈。コーネル・デュプリー/ヒュー・マクラッケン/デヴィッド・スピノザ(G)、チャック・レイニー/ジェリー・ジェモット(B)、バーナード・パーディ(Ds)、リチャード・ティー(Key)、ラルフ・マクドナルド/ノーマン・プライド(Per)…、凄い面子ですよね。この面子を見ただけで、聴くのが楽しみになりますね~。

まずはニューソウル的でファンクジャズな①「I Been Down」。
このベース!チャック・レイニーのグルーヴィーなベースに、正確無比なデヴィッド・スピノザのリズムギター。これに怪しげなデヴィッド・ニューマンのフルートが絡んでくれば、見事なニューソウルです。
俳優の原田芳雄が1983年に発表した「EXIT」というアルバムに、なぜかこの曲のカバーが収録されてますが、こちらも結構いい仕上がりです。

アル・グリーンの超名曲③「Let's Stay Together」のカバーも素敵です。
これってマーヴィン・ゲイの「What’s Going On」的なグルーヴですね。特に間奏のデヴィッド・ニューマンのサックスが心地いい。
マージーの強烈なスタジオライヴをアップしておきます。

カントリーシンガーのケニー・オデルが前年に発表した楽曲のカバーの⑥「Let's Go Somewhere And Love」。
カントリー系の楽曲なのに、こうして自分のものにしてしまうマージーの歌唱力に感服させられます。それにしてもこの曲、かなりサザン・ソウルというか、かなりスワンプの香りがしませんか?そしてこのねちっこいギター、クレジットではコーネル・デュプリーとなっているのですが…。
気になっていろいろ調べていたら、Amazonに「このギターはデュアン・オールマンではないか?」とのコメントがございました。音だけでなく、なぜそう確信されたのか、それはその方がお調べになったことなので、ここでは割愛しますが、なるほどなあ…と感じました。
恐らくこのブログをご覧になっている方の中にもデュアン・ファンは多いと思いますので、是非聴いてみて下さい。

ファンクナンバーの⑦「You Better Know It」。
アトランティック・ソウルらしい1曲。コーネル・デュプリーとヒュー・マクラッケンの熱いギターが素晴らしい。こちらのベースはジェリー・ジェモット。ジェリーは60年代からキング・カーティス&キング・ピンズのメンバーとして活躍した方。アトランティック・レーベルで数多くのレコ―ディングに参加しており、チャック・レイニーやジェームス・ジェマーソンと並び称されるベーシストですね。

マージーがアリフと共作した⑩「I'm So Glad I'm Your Woman」。
ちょっとポップでピースフルな世界。もうちょっとホーンを効かせるとタワー・オブ・パワーのようなサウンドになります。エンディングにかけてのマージーの迫力あるヴォーカルは流石です。マージーのヴォーカルに絡むようなデヴィッド・スピノザのギターも渋くていいですね。

マージーはアリフと3枚のアルバムを制作、発表しております。
その3枚目の1975年発表の「Margie」が一つの頂点だったかもしれません。以降、商業的には不発に終わり、幾度となくレコード会社から契約を解除されております。

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