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Buffalo Springfield「Buffalo Springfield Again」(1967)

60年代後半から70年代前半のLA音楽業界は、後にアサイラム・レーベルからアルバムを発表するジャクソン・ブラウンリンダ・ロンシュタットイーグルスや、ポコCSN&Y、古くはバーズ辺りがリードしていきました。

そんななかでもバッファロー・スプリングフィールドは、スティーヴン・スティルスニール・ヤングの熾烈なライバル意識をベースに、非常に創造的な楽曲を繰り出していました。
そのバッファロー・スプリングフィールド。1966年4月に結成され、1968年5月には解散していますから、非常に短命なバンドでした。

リーダー格のスティーヴン・スティルスはバッファロー結成以前はグリニッチ・ヴィレッジにて、ピーター・トーケルスンと供に歌ってました。ピーター・トーケルスンとは誰か? そう、後にモンキーズに加入することとなるピーター・トークのことです。
スティーヴンがモンキーズのオーディションに応募したことは有名な話ですが、そのスティーヴンが落ちてしまい、代わりにスティーヴンが推薦したピーターが合格したという経緯ですね。上の写真の通り、スティーヴンの髪型、ピーターとソックリですね。
何はともあれ、スティーヴンはニール・ヤング等とバッファローを結成。1966年にファーストアルバムを発表し、翌年には早くも本作を発表します。美しいジャケットですね。

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当時のメンバーは以下の通り。
Stephen Stills : Organ, Guitar, Piano, Rhythm Guitar, Keyboard, Vocals
Neil Young : Guitar, Harmonica, Vocals
Richie Furay : Guitar, Rhythm Guitar, Vocals
Dewey Martin : Drums, Vocals
Bruce Palmer : Bass

私は中学生のころに後追いでこのLPを購入し、聞きまくってました。裏ジャケは下の通りですが、彼等が影響を受けたアーチストが掲載されており、興味深くみていたものです。ジャケも美しいので、部屋に飾ってました。

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①「Mr. Soul」。ニール・ヤングの黒い曲です。もちろんリフはローリングストーンズの「サティスファクション」をモチーフにしております。
ヤングらしい熱いギターとリフが特徴的です。超名曲。

意表を付くカントリータッチの②「A Child's Claim to Fame」。後にポコを結成するリッチーらしいのどかな曲。①の②の落差があまりも大きく、とても同じバンドとは思えません。

④「Expecting to Fly」や⑩「Broken Arrow」はニールらしい意欲的な作品。④ではジャック・ニッチェの壮大なオーケストラをバックに見事なウォール・オフ・サウンドを聞かせます。⑩ではMr.Soulの熱いライヴ演奏をイントロに、ちょっとサイケ風な音をコラージュしたもの。

本作の白眉はスティーヴン作の⑤「Bluebird」でしょうか?アコギとエレキのバトルが聴き所です。また間奏のCSN&Y風コーラス、スティーヴンがアコギソロが素晴らしい!
その後バンジョーを用いてインド楽曲風な展開に・・・。こうした楽曲のアレンジもバッファローの魅力ですね。

私は⑧「Good Time Boy」には強烈な違和感を覚えます。完全にソウル、しかも濃いスタックスレーベル系(Otis Reddingなどを輩出したソウルレーベル)の音なんです。ヴォーカルはデューイ。曲は彼の作風とは思えないのですがリッチー作。リッチーはソウルフルなデューイの声を生かすべく、この曲を作ったそうです。

⑨「Rock & Roll Woman」もスティーヴン作。コーラスがもろにCSN。実はこの曲、後にCSNをスティーブンと結成することとなるディヴィッド・クロスビーがハーモニーに参加してます。これも名曲です。

バッファロー・スプリングフィールドは本作発表後、サードアルバムも発表しますが、個性派バンドだけにあえなく解散。スティーヴンはCSNを、ニールはソロで活動後、CSNに合流。リッチーはポコを結成していきます。当時は本作、商業的には全く売れなかったようですが、今聴いても新鮮なアルバムです。これがLAロックの原点ですね。
また特にLAロックは人で繋がっている世界なんですね。

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