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George Benson「Breezin'」(1976)

AORとフュージョンがクロスオーバーした記念碑的アルバム

1976年、ジャズ・ギタリストであったジョージ・ベンソンがワーナー・ブラザーズへ移籍し、プロデューサーにトミー・リピューマ、オーケストラ・アレンジにクラウス・オガーマン、そしてエンジニアはアル・シュミットという豪華流麗な布陣で臨んで制作されたのが本作です。

トミー・リピューマは、アル・シュミットと組み、1974年にニック・デカロの「Italian Graffiti」を制作。これがAORの元祖的作品と言われておりますが、トミーはこの流れを汲み、フュージョン・ミュージックをよりAORへ近づけることに成功しております。

クラウス・オガーマン独特のストリングスがイントロで奏でられ、そしてジョージ・ベンソンの華麗なギターワークが心地よいインストナンバーの①「Breezin'」が、もうすべてです。
このリラックスムード満点のAOR系フュージョンナンバーがAORとフュージョンのクロスオーバーをカットオーバーしたような気がします。もちろんボビー・ウーマックの素晴らしい原曲あってのことですが、やはりこれはジョージの流麗で滑らかなギターが最高です。ハーヴィー・メイソンの重すぎず、軽すぎないドラムもナイスアシスト!

本作中の唯一のヴォーカルモノはご存知②「This Masquerade」。
レオン・ラッセルの不朽の名作であり、カーペンターズのヒットで有名ですね。
ギタリスト専門であった人物のヴォーカルとは思えない華麗なスキャット。堂々たる歌いっぷりです。ライナーノーツによると、彼は15歳のときに、一度ヴォーカル・レコードを録音しているそうです。これで相当自信に繋がったんでしょうね。

③「Six to Four」はフィル・アップチャーチの曲。
当時流行った典型的なフュージョン・サウンド。ユニークなムーグはロニー・フォスター。当時新進気鋭だったロニーも、後に村田和人等海外のみならず日本のAORシーンにも活動の場を拡げていきます。

やはりジャズギタリストらしいジョージ節がイントロでも聴かれる④「Affirmation」。滑らかなギタートーンとクラウス・オガーマンのオーケストラが美しい1曲です。軽快な曲で、「Breezin'」同様、私の大好きな1曲です。

⑤「So This Is Love?」は本作中、唯一のジョージ自作の曲。
④や⑤はどことなくアール・クルーの作品を思わせますね(もちろんアールはアコギですけど)。もともとアール・クルーはジョージ・ベンソンのレコーディングやツアーに参加して、頭角を現してきた人物で、ジョージはアールの師匠的存在。そういえばアールも1976年にデビューしておりますね。

本作はかなりクラウス・オガーマンの美しいストリングスが隠し味のように効いてます。トミー・リピューマやアル・シュミットが作りたかった音がここにはあるのでしょうね。
1976年はボズ・スギャックスの「Silk Degrees」が発表された年でもあります。「Silk Degrees」が発表されて「Breezin'」が発表されて・・・。なんて贅沢な年だったんでしょう。

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