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Delaney & Bonnie「Home」(1969)

おはようございます。
今週末はかなり冷え込むということで、かなり熱いアルバム、デラニー&ボニーのサザンソウルなアルバムをご紹介します。
60年代後半、多くの英国ミュージシャンをスワンプの虜にしたデラニー&ボニー。本来の彼等のデビューアルバムは名門スタックスレーベルから発表された「Home」ですが、これが完璧なサザン・ソウルで、ラジオリスナーは彼等のファーストシングルをてっきり黒人が歌っているのかと思ってしまったらしい。それが白人だと分かるとR&B専門放送局は彼等の曲を流さなくなる等の混乱が起こってしまい、スタックスも事情を鑑み、このファーストアルバムはお蔵入りになってしまいます。

黒人解放運動の中心的存在だったマーティン・ルーサー・キング牧師の暗殺が1968年4月。彼等はちょうどこの間、2月~11月にかけてこのアルバムを制作しており、1968年5月にファーストシングル「It's Been A Long Time Coming」がリリースされてます。この流れを理解すると当時の状況がよく分かると思いますが、デラニー&ボニーからしたら、タイミングの悪さに大いに失望されたと思います。

結局デラニー&ボニーはスタックスからエレクトラに移籍して、1969年5月に「The Original Delaney & Bonnie」をリリース。この当時はようやく黒人向け放送局も白人の曲を流すようにもなっていたので、スタックスもデラニー&ボニーの成功を見て、この幻のデビューアルバムを1969年12月にリリースしたという流れなんですね。

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プロデュースはドナルド・ダック・ダンドン・ニックス。ドナルドはスタックスの名ベーシスト。余談ですが、ドナルドは2012年、東京ブルーノートでの公演翌日に東京のホテルの部屋で亡くなられているのが発見されました。当時はショックでしたね。
バックは当然ドナルドを中心としたスタックスの名プレイヤー、スティーヴ・クロッパーブッカー・T・ジョーンズアル・ジャクソンレオン・ラッセルアイザック・ヘイズ等々。このメンバーを見ただけでもサウンドが想像できますよね。

ちなみに本作は2006年にリマスターされ、ボートラを加えた16曲として発表。オリジナルは10曲でしたが、曲順も変更されてしまいました。私はこの16曲に慣れてしまっているので曲順はこちらを採用させて頂きました。
まずはファーストシングルの⑥「It's Been a Long Time Coming」。
こちらがオリジナルアルバム(10曲)の1曲目なんですけどね。最初のシングルからデラニー&ボニーが作ったオリジナル曲なんですよね。まずその事実にビックリです。それから出だしのデラニーのソウルフルなヴォーカルと続くボニーの熱唱。いいですね~。これは確かに黒人が歌っていると思っちゃいますよ。

スタックスのスターだったウィリアム・ベルのカバーのアイザック・ヘイズ作の②「My Baby Specializes」。
こちらはエリック・クラプトンジョージ・ハリスンが参加したフレンズとしての熱いライブ映像がありました。音が悪くて、カメラワークも酷いものですが、しっかりエリック、ジョージが地味にギターを弾いていることが分かります。ドラムのジム・ゴードンもアップで映りますね。このハイライトはやはり3分20秒過ぎの♪ Yeh Yeh Yeh ~ ♪ でしょうね。デラニーも冒頭のMCで何やら「Yeh Yeh Yeh」って言ってます。

ツアーの定番ソングともなった③「Things Get Better」。スティーヴ・クロッパー、エディ・フロイド、ウェイン・ジャクソン作。
ツアーのライブアルバムでも1曲目に収録されている名曲。ツアーではジム・ゴードンが叩いてますが、こちらはアル・ジャクソンの名演。Aメロのタメを効かせたドラミングが実にグルーヴィーですね。ドナルドのランニングベースも心地いい!

⑭「Get Ourselves Together」は当時は未発表となりましたが、次作アルバムのトップに収録されることになるナンバーです。デラニー&ボニーとカール・レイドル作。
出だしからデラニーとボニーのハモリ。カッコいい!

⑮「Pour Your Love on Me」はボニーとホーマー・バンクスの共作。
こちらはオリジナルでは9曲目。リズムが前のめりに突っ込んでいく熱いR&Bソング。随所にスティーヴ・クロッパーのギターが光ります。

他の曲とはサウンドがちょっと違う⑯「Hard to Say Goodbye」はボニーとカール・レイドルの共作。
この曲はちょっとスワンプな感じがしませんか。ホーンはR&B風ですが、なんか微妙にスライドギターも聞こえるような気がするし。よく聴くとホーンもソフトロック風なアレンジに聞こえます。

デラニー&ボニーはちょうど本作が発表された頃、フレンズとしてツアーを確行しており、その時のフレンズ・メンバーがエリック・クラプトンカール・レイドルジム・ゴードンボビー・ウィットロック、それにリタ・クーリッジボビー・キーズ。ボビー・ウィットロック作の「Where There's A Will There's A Way」の映像をアップしておきますが、これは凄い映像ですね。

結局先に挙げた4人がデレク&ザ・ドミノスへと流れていくわけで、残されたデラニー&ボニーはデュアン・オールマンと接近し、これまた名盤の「To Bonnie from Delaney」を発表。ちょうどその頃、デレク&ザ・ドミノスはあの名盤を制作中でした。この辺りの話は語りだすとキリがないですね(笑)。いずれまた「To Bonnie from Delaney」はご紹介したいと思います。

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