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山下達郎「Ride On Time」(1980)

真夏的な暑さになると、未だにについつい聴いてしまう1枚、それが本作。
J-POPの金字塔的作品。邦楽が洋楽を超えた瞬間、つまり洋楽を自らの音楽に昇華してしまったという意味なんですが、この作品の発表前にもそういった作品はありましたが、商業的な成功という点も勘案すれば、やはりこの作品が金字塔的作品といえるのではないでしょうか?

今聴き返しても新鮮なアルバムですが、やっぱりキーは青山純(Ds)&伊藤広規(B)の強烈なリズム隊。このアルバムで、ついにこのゴールデンコンビ体制が確立され、以降この二人はヤマタツサウンドの重要な役割を果たしていくことになります。
とくに私は青山純のドラムが大好きで、そのアタック音のタイトさは、ジェフ・ポーカロを彷彿させ、リズムのメリハリが非常に聴いていて心地いいんですよね。

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学生時代に山下達郎のマイベスト的な編集テープを作ったことがあるのですが、その1曲目に持ってきたのが①「いつか」。前述の強烈なリズム隊がイントロを奏でます。伊藤広規のアタック音の強いベースが非常に印象的で、このリズム隊に難波弘之の軽快なキーボードが乗っかる瞬間が大好きです。
メロディ自体は淡々としていますが、各々の楽器がかっこよく、また吉田美奈子の詞とコーラスが重要な役割を担っています。
アップしたYouTubeに皆さんからのコメントが掲載されてますが、当時この曲に励まされた方々が結構いらっしゃたようですが、確かに励まされる詞なんですよね。

②「DAYDREAM」もファンク的なリズムを完全にヤマタツサウンドに仕立て上げた名曲ですね。
このノリは角松敏生らへ引き継がれていく訳ですが、やはりこのテのサウンドの先駆者は山下達郎氏でしょうね。間奏のソロはクレジットにはありませんがフリューゲルホルンですかね? フュージョン的なリズムも大好きな1曲です。

ヤマタツの出世作④「Ride On Time」についてはあまりコメントすることもないでしょう。
この曲のブレイクで一気にスターダムにのし上がって行ったんですよね。
この曲を初めて聴いたとき、イントロのドラムのタム打ちが裏で打たれていることに感動したものです。この裏打ちがグルーヴ感を生み出しているんですよね。やっぱり青山純のドラムはいいなあ~。青山純はヤマタツファミリーでの関わりが90年代以降段々少なくなってきてますが、やっぱり彼のドラムがないと寂しいものですね。ただもう彼も鬼籍に入られてしまい…。

このアルバムのB面(⑤~⑨)がまたシブい。このアルバムのブレイクは「RIDE ON TIME」に対してのものが中心と思われますが、ブームに乗って購入した層の方々は、このB面も評価されていたのでしょうか。
商業的なポップ指数は低いのですが、音楽的なクオリティは驚くほど高いものですよね。
その幕開けとなる⑤「夏への扉」。ここでも間奏の中川健二氏のフリューゲルホルンがいい感じです。ソウル・フレイバーたっぷりのメロウなリズムで、夏の午後に聴いていたい1曲ですね。

⑥「MY SUGAR BABE」、⑦「RAINY DAY」とシブいナンバーが続きます。
商業的なポップ指数は高くないのですが、こうした音楽的に高いクオリティを持った作品が収録されていて、かつアルバムも大ヒットしたということは大変喜ばしいことですよね。山下達郎氏は決してリスナー大衆に媚びたわけでもなく、あくまでも自然体でいながらにして大ブレイクしたのでした。
(アップしたのは吉田美奈子のバージョンの「Rainy Day」)

⑧「雲のゆくえに」のファンク的な感覚にも脱帽ですね。
ファンキーな要素はデビュー当時から得意としてきましたが、ここでの仕上がり具合は完全にオリジナリティ溢れるものになってます。

このアルバムももう40年以上前に発表されたものなんですよね。全く色褪せていないサウンドに驚きを隠せません。洋楽も邦楽も70年代から極めてきた音作りは、80年代初頭に一定の完成領域に入っていたのかもしれませんね。

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