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The Doobie Brothers 「Liberté」(2021)

あのドゥービーブラザーズ11年振りの新作を発表しました。メンバーはトム・ジョンストンパット・シモンズジョン・マクフィーの3人。ジョンはジェフ・バクスターの後任として1980年に加入しているので「One Step Closer」以降のアルバムにしか参加しておりませんが…。

CD発売は10月29日でしたが、ネット配信は10月1日からスタートしてましたので、既に何回も聴いてますが、正直トム・ジョンストン全盛の初期の音を期待すると失敗するかもしれません。個人的な感想としてはモダンになったエリック・クラプトンやジョン・メイヤー辺りに近い音のように感じました。最近ご紹介したDavid Crosby「For Free」のような、自分たちの個性を生かしつつ、今の音楽にフィットしたようなアルバム…、そんなイメージでしょうかね。

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正直私は「Cycles」以降の復帰後のドゥービーのアルバムはあまり聴いたことがなく、ここまでのサウンドの変遷はよく分かりませんが、この音は初期の豪快なドゥービーサウンドとも違うし、何だろう…と思っていたのですが、これは恐らくプロデューサーのジョン・シャンクスの色が結構出たんじゃないかなと思ってます。

ジョン・シャンクス…、言わずと知れたボン・ジョヴィのプロデューサーですね。彼とボン・ジョヴィは2005年のアルバム「Have A Nice Day」からの付き合いですが、彼はギタリストでもあり、有能なライターでもあります。このドゥービーの新作は、全曲がメンバーとジョンとの共作であり、ジョン自身がほとんどすべての楽器をこなし、作曲演奏面で多大なる貢献をしております。つまりジョン・シャンクスの色合いが濃く出たんじゃないかなと。

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例えば⑤「Wherever We Go」のような曲は、パットやトムでは作れないんじゃないかなと。
この曲は好みが分かれるかもしれませんね。実際アップしたYouTubeでは低く評価する方の数が随分多いですよね。私はこうしたノリの良いメロディアスなロックは大好きですが。
ジョン・シャンクスはシェリル・クロウなんかもプロデュースと楽曲提供してますが、この曲、シェリル・クロウっぽい気もします。そう考えると、爽快なアメリカン・ロックという大括りでいえば、ドゥービーもボン・ジョヴィもシェリル・クロウも一緒かもしれません。

本作中、一番ロックしているナンバーが③「Don't Ya Mess With Me」。ドゥービーは9月にマイケル・マクドナルドも加わった形で「Jimmy Kimmel Live!」に出演しております。そこでの演奏をアップしておきます。この曲が一番トムらしい曲かもしれません。ジョン・マクフィーのスライドも見どころ。

ちなみにこのステージでは他に数曲プレイしておりますが、「Take It To The Street」がカッコいい。できればツインドラムで、ベースはタイラン・ポーターだと、もっとグルーヴ感が出るのですが。

⑥「The American Dream」は本作のハイライトチューンのような紹介をされてますが、私にはサビなんかは、少しキーが高ければボン・ジョヴィっぽい曲のように聞こえます。もちろんコレはコレで、今のドゥービーに合っていると感じます。アメリカン・ロックだなあ~。カッコいい!

次の⑦「Shine Your Light」はジョン・メイヤーっぽい楽曲。もちろんジョン・メイヤー好きな私にとってはこの曲も好みです。
ちょっとアコースティックタッチなサウンド。歌詞の内容はよく分かりませんが、クリスチャン・ミュージックのような歌詞かもしれません。

⑨「Easy」はエリック・クラプトン(笑)。90年代以降のクラプトンの雰囲気。
曲の中盤のコーラスは初期ドゥービーを彷彿させます。

結局通して聴いてみると、トム・ジョンストンがバリバリにギターをかき鳴らしていた初期サウンド風な楽曲はあまりないのですが、誰誰の曲に似ている…という風に、今のアメリカン・ロックという感じで、決して懐古主義的なサウンドではありません。個人的には好感の持てるアルバムですね。
最後にやはりトム・ジョンストンのカッティングを聴きたいという方のために、⑩「Just Can't Do This Alone」をどうぞ。


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