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Joni Mitchell「Court And Spark」(1974)

ジョニ・ミッチェルの永遠の名盤

本作は70年代、ジョニがフォーキー路線からフュージョン色を強めていった最初の作品と言われてます。
私自身はジョニの作品は1980年のライブアルバム「Shadows and Light」を所有しておりましたが、実はあまり聴き込むこともなく、せいぜいカバー曲で唯一のポップな「Why Do Fools Fall in Love?」を繰り返し聴くくらいでした。ちょっと暗くて、難解、というのが素直な感想でしたね。

そういった印象を持っていたジョニですが、今回久しぶりに本作を聴く機会があり、すっかりヘビーローテーション化しております。つまり気に入ってしまったんですね~。

ジョニ・ミッチェルはCSN&Yの緊張感みなぎる「Woodstock」の作者として頭角を現し、CSN&Yやジェームス・テイラー等と交流を深め、自身もフォーキーでユニークな作品を発表していきます。
そして1974年、ジョニはこの交流の幅をフュージョン分野にまで拡げて制作した「Court And Spark」を発表するのです。

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ピアノの弾き語りで始まるタイトル曲①「Court and Spark」。透明感のあるジョニのヴォーカルが素晴らしい。プロローグに相応しい静かな曲ですが、エンディングの鐘の音が何かを象徴しているような気がします。

一転、明るい楽曲でシングルカットもされた②「Help Me」へ。本作はトム・スコット&LAエクスプレスジョー・サンプルラリー・カールトン等がバック演奏に参加しておりますが、ここでは柔らかなホーンと、ラリーのいぶし銀のような渋いギタープレイが堪能できます。曲の構成・コード進行も単純なポップソングとは違いますね。一味違う極上のポップソングに仕上がってます。
ライブ映像をアップしておきます。

③「Free Man in Paris」もシングルカットされてます。ここではサビで重厚なコーラスが聴けますね。ジョニの上を行くコーラスなので、一瞬女性かと思ってしまいますが、これはご存知デヴィッド・クロスビー&グラハム・ナッシュです。またここでのギターはホセ・フェリシアーノ。これまたポップです。

私のお気に入りは⑥「Car on a Hill」。当時は多くのフォーキーなジョニ・ファンを驚かせたが楽曲だったのではないでしょうか。この曲を聴いて、後世の方々はスティーリー・ダンを連想させるに違いありません。もちろん私も同様です・・・。もうイントロを聴いただけで、後期スティーリーの香りがプンプン漂いますよ。
トム・スコットラリー・カールトンジョー・サンプル・・・。当然スティーリーっぽくなりますよね。でも本作が発表されたのが1974年。同じ年にスティーリーは「Katy Lied」を発表してますが、「Aja」は1977年発表です。つまりジョニが先行していたんですよね。
この後ジョニは運命の人、ジャコ・パトリシアスと出会い、更にクロスオーバーミュージックを押し進めます。ある意味スティーリーダンより斬新でスゴイかもしれません。

もうひとつのスティーリーっぽい曲、⑧「Just Like This Train」。これもいいですね。メロディもいいし、ジョニの透明感あるヴォーカルとラリーのギターが渋くていい。この曲は、とても30年以上前の曲とは思えない斬新さと、良質な演奏が堪能できます。いいなあ~。

まだまだお楽しみは続きます・・・。重厚なアカペラに、マンハッタントランスファーっぽいジャージーさを連想してしまう⑨「Raised on Robbery」。いえいえ、そうではありません。思いっきりロックンロール祭りです(笑)。ジョニの作品のなかでも、もっともロックンロールしている作品なのではないでしょうか。バックのミュージシャンも脂の載った演奏を聴かせます。この曲に乗れない人がいれば、それはロック好き失格ですね(笑)。
これも当時の映像がありましたのでアップしておきます。

本作、文字通りのクロスオーバーミュージックが堪能できます。この後のジョニのオリジナルアルバムも、もっとしっかり聴かないといけませんね。

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