見出し画像

オフコース「JUNKTION」(1977)

昨年末に愛犬モカ(トイプードル♀)に旅立たれてしまい、1年を振り返える間もなく新年を迎え、正月が過ぎようとしております。

ただプードルSNS等で多くの励ましのお言葉を頂戴したこともあり、お陰様で通常モードに戻りつつありますし、昨年末の紅白では様々なアーチストの音楽も楽しむことが出来ました。引き続き音楽は洋楽邦楽、時代を問わずチェックしていきますので、今年も宜しくお願い申し上げます。

新年最初のご紹介はオフコース(苦笑)。温故知新ということでご勘弁下さいませ。
このアルバム、あまり知られていないと思いますが、5人のオフコースが揃ってレコ―ディングした最初のアルバムなんです。もちろんこの時のオフコースは小田和正鈴木康博のデュオで、松尾一彦(G)、清水仁(B)、大間ジロー(Ds)の3人がオフコースに正式加入するのは1979年8月、あと2年待たなければならなかったのですが。
そしてこのアルバムのタイトル、JunctionではなくJunktionです。でも決してJunkの寄せ集めではなく、むしろ小田、鈴木の楽曲のクオリティが秀でたアルバムじゃないかなと思ってます。また素晴らしいメッセージソングも最後にご紹介したいと思います。

まずはオープニングの鈴木作の①「INVITATION」ですが、こちらは前作「SONG IS LOVE」のエンディングの曲でもあった「歌を捧げて」のアウトロが受け継がれた形になってます。「歌を捧げて」は小田さんの楽曲ですが、「INVITATION」のクレジットは鈴木さんの作品。つまりこの前作からの流れを引き継ぐアイデアは鈴木さんのものですね。このアルバムでは特に鈴木さんの作品が秀逸で、個人的にはオフコースのアルバムの中でも一番鈴木さんが輝いていた時のものじゃないかなと思ってます。

小田作の②「思い出を盗んで」はサビが小田さんらしいポップチューン。
シンセがアクセントになってます。松尾一彦がバックに加入したことで、本作での小田さんはキーボードに専念したことで、こうした音作りにも可能になりました。楽曲の構成といい、かなりバンドサウンド的になってますね。

鈴木作の④「潮の香り」はボッサ・タッチの佳曲。
アコギのアルペジオが心地いいナンバーで鈴木さんらしい楽曲。また状況が思い浮かぶような詞と歌、これは次曲の小田さんの「秋の気配」と対比出来るような気がします。

小田作の超名曲の⑤「秋の気配」は意外と気付かないと思いますが、男性目線のキツイ内容の歌詞なんですよね。
以前、この曲を「飽きの気配」としてこちらの記事にも書きました。

 ♪ こんなことは今までなかった
  僕があなたから離れていく ♪

恋愛の歌、というよりも男性が女性を振っていく歌なんですよね。いや~、この時代にこんな曲を歌うなんて、なんて傲慢な男性なんだろう(笑)。
歌詞には「あの歌だけは 他の誰にも歌わないでね」ってあるので、コレ、小田さんの経験談なんじゃないかなと想像します。

ちょっとラグタイム調な鈴木作の⑥「変わっていく女」は私が大好きな楽曲。
メロディといいアレンジといい鈴木さんの佳曲のなかでも3本の指に入るくらい大好きなナンバーです。間奏の小田さんのエレピのソロも洒落ているし、清水さんの4ビートジャズ的なベースも素敵です。あとサビの小田さんのハーモニーも大好き。オフコースの楽曲でもこの曲が好きって方、意外と少ないかもしれませんが(苦笑)。

エンディングはなんと小田和正・鈴木康博の共作ナンバーの⑨「HERO」。
出だしこそメロディアスな小田さんらしいパートですが、続くサビへ続く導入パートはかなりプログレッシブ。これもバンド・アンサンブルが為せる技。5人で練っていったんじゃないかなと。そして続く軽快なパートが実にカッコいい。この展開は間違いなくポール・マッカートニー&ウィングスの「Band On The Run」からの影響が大きいでしょうね。松尾さんのギターソロもウィングスっぽい。
この歌詞、HEROとは誰か。「その頃彼は歌を恋人に捧げていた」…、一説には吉田拓郎さんとも云われています。オフコースと吉田拓郎は共に1970年にデビューした同期。ただしオフコースは「さよなら」がヒットするまで長く苦労していた時代が続いてました。もちろんこの当時も二人の立ち位置は雲泥の差だった筈。でもこの曲にはオフコース(特に小田さん)の吉田拓郎に対するリスペクトの念も感じます。
そして以下の歌詞には強く共感。新年、皆さんに向けて発信したいと思います。

 ♪ おまえの生き方に 間違いはない
  望むものはすべて その手をのばせば ♪

オフコースは結局本作でも商業的な成功は収められず、爆発的に人気を博していくのにはあと2年待たなければなりませんでした。但し、商業的な成功の代償は大きく、鈴木さんの気持ちがオフコースから大きく離れていくのですが…。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?