見出し画像

Bill Champlin「Runaway」(1981)

AORが好きな方であればお馴染みのビル・チャンプリン
1960年代からサンズ・オブ・チャンプリンを率いて活躍し、1977年にバンド解散後、翌年ソロアルバム「独身貴族」を発表。このファーストもなかなかの良作ですね。

本作は1981年12月の発表。本作発表の翌年は「TOTOⅣ」、「Chicago16」といったAORのベストセラーアルバムが生まれました。そしてビルがシカゴに加入したのも、ちょうどこの1981年の終わり頃。恐らく本作のプロデューサーが盟友でもあるデヴィッド・フォスターでもあったことから、その繋がりでビルはシカゴに加入していったわけで、そういった意味では本作は重要な作品。またこの時代、AORというカテゴリーの音楽が一部のコアのファンのものだった時代から、一気に一般大衆に広まった時代ですね。

本作はプロデュースが「Chicago16」と同様デヴィッド・フォスター。参加メンバーはTOTOからSteve Lukather、Jeff Porcaro。他Tom Kelly、Richard Page、 Kenny Loggins、 Jay Graydon、 Abraham Laboriel、ちょっと異色なのがLee Sklar、といった当時のAORオールスターズが参加した名盤です。

個人的には代表曲と見なされている①「Runaway」、②「One Wat Ticket」はちょっと商業ロックの香りがして好きになれません。

私が好きなのは③「Sara」⑪「The Fool Is All Alone」といったメロウな曲。ビルのソウルフルなヴォーカルが泣かせます。「Sara」は当時の貴重なライブ映像をアップしておきます(バックコーラスはリタ・クーリッジとタルマ夫人)。

如何にも後のシカゴのバラード風な④「Tonight Tonight」。というかこの時期のAORバラードの代表作。シングルカットもされた名曲です。

メロウといえば⑨「Gotta Get Back To Love」。これはAOR色満点ですね。バック・ヴォーカルはTom Kelly、Richard Page。ビルも含めたこの3人のコーラスはAORアルバムにはよく見かけますが、ハイトーンコーラスで迫力もあります。彼等がコーラスで関わる曲にハズレはないですね。あとジェイ・グレイドンらしいギタープレイも堪能出来ます。

⑥「Take It Uptown」はKenny Logginsとの共作で、この曲だけフォスター&ロギンスのプロデュースです。ケニー・ロギンスらしい、撥ねたリズムの明るい曲です。

本作、お分かりの通りデヴィッド・フォスター色の強いアルバムでもあります。そしてビルは前述の通りデヴィッドの誘いによりシカゴへと加入していきます。
本作はエアプレイ(1980)~TOTO・シカゴ(1982)を繋ぐ重要なアルバムでもあったのでした。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?