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Michael Schenker Group「One Night at Budokan」(1981)

邦題「飛翔伝説 MSG 武道館ライヴ」の方がしっくりくる熱いライヴアルバムです。
日本で先行発売されたもので、当時Michael Schenker Group(以下MSG)が如何に日本でも人気が高かったか、お分かり頂けるかと思います。

音源は1981年8月12日の日本武道館公演でのもの。MSGのセカンド「神話」が9月に発表されてますので、まだMSGはファーストしか発表していない中での日本武道館公演でした。マイケル・シェンカーの人気も相当なものでしたが、恐らくドラムのコージー・パウエルの加入も勢いに拍車をかけたものと思われます。

「渡り鳥」ことコージー・パウエルはレインボーを1980年8月に脱退。同じくレインボーを脱退したグラハム・ボネットのソロプロジェクトに参加し、翌年MSGに加入します。MSGのファーストはサイモン・フィリップスが叩いてますが、同じように叩けるドラマーということで、コージーが選ばれたようです。この時のMSGの布陣が最強のメンバーだったんじゃないでしょうかね。

 マイケル・シェンカー(G)
 コージー・パウエル(Ds)
   クリス・グレン(B)
 ゲイリー・バーデン(Vo)
 ポール・レイモンド(Key)

ゲイリーは歌が下手だということで「神話」発表後にクビに(笑)。コージーは盟友のグラハム・ボネットを呼び寄せますが、そのコージーがMSGを脱退。結局グラハムもMSGを脱退し、ゲイリーが元の鞘に…。
バンドって結局しっかりしたリーダーが不在だと、こんなドタバタが繰り広げられてしまうんですよね。それはともかくとして、このライヴアルバムは素晴らしいです。

コージーの趣味かと思いますが、イントロのワーグナー作「ワルキューレの騎行」から引き込まれます。観客も盛り上がってますね。ここからメドレーで繋がれる①「Armed and Ready」のイントロのギターのリフのなんとカッコいいこと。
もう最初からコージーのドラムが炸裂してます。こうして聴くと、ゲイリーもまずまずだと思うんですけどね。
しかしこのギターリフ、当時のギターキッズは誰もがコピーしたんじゃないですかね。この私でさえ、コピーしてました(笑)。「Smoke On The Water」に次ぐくらいの有名なイントロギターリフじゃないでしょうか。

②「Cry For The Nations」もよくドラムをコピーしました。
この曲も断然ライヴバージョンが素晴らしい。スタジオバージョンはサイモン・フィリップスが叩いてますね。サイモンのドラムも好みですが、こちらのコージーのドラムも素晴らしい。特にマイケルのギターソロを煽るような激しいドラムはコージーらしいですね。
ちなみにこの当時、直前までコージーは食中毒で苦しんでいたらしい。機内食に当たったらしく、ステージの幕が上がる直前まで吐いていたと本人が述懐しておりましたが、そんな感じが全くしませんね。

素晴らしいハードロックのインストナンバーの⑥「Into the Arena」。
こちらの音源はメンバー紹介があり、そして怒涛のInto The Arenaへ。この演奏も熱いですね。
このマイケルのギター、大好きなんですよね。激しさとメロディアスさが同居している素晴らしいナンバーです。

UFO時代のナンバーの⑫「Doctor Doctor」。
こうしたシャッフルナンバーは大好物です。1974年、UFO時代、マイケルがまだ若干19歳の時に作った曲。こちらも色褪せない名曲ですね。

エンディングは⑬「Are You Ready to Rock」。
MSG流のロックンロールナンバー。こうして聴くとマイケルって、本当にキャッチーなギターリフを作る人ですね。そして革ジャンにフライングVを弾き姿に誰もが憧れたものです。
このギターソロも実にスリリングだし、またコージーのドラムもカッコいい。


この当時、水面下ではいろいろな状況が発生しておりました。コージーはMSGを立て直すべく動いていたのですが、結局はデヴィッド・カヴァーデイルに引き抜かれる形で脱退(実はコージーはグラハム・ボネットに声を掛ける前に、デヴィッドをMSGに引き入れようとしていた事実があります)。「神話」のプロデューサーであったロン・ネヴィソンの仕事にも不満があったコージー。結局、断腸の思いでMSGを脱退。取り残されてしまったグラハム・ボネット…。この当時の人間模様は複雑ですね。

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