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Ozzy Ozbourne「Diary Of A Madman」(1981)

新年度に入りました。セカンド・キャリアの私にとっては、実際の業務上はあまり新年度を意識することもないのですが、こうした区切りがあると、やっぱり仕事にもメリハリがついて、いいものです。

さて先月3月19日、ランディ・ローズ没後40年ということで、ヤングギター4月号が渾身の120頁超に及ぶRR特集を組みましたが、それが非常に読み応えがあるものでした。
特にランディに想いを寄せるルディ・サーゾブラッド・ギルスイングヴェイ・マルムスティーンジョン・サイクスウォーレン・デ・マルティーニのインタビューは感慨深いものがありましたね。
ハードロックに興味がない、もしくはランディ・ローズをご存じない方も多いと思われますので、ランディの素晴らしさを知ってもらいたく、ランディ在籍時のオジー・オズボーンのアルバム「Diary Of A Madman」をご紹介致します。

ランディ・ローズは音楽一家に生まれ、実母が経営していた音楽教室「ミューソニア」は地元では知られた教室で、ランディもそこでギターを教えておりました(ちなみにランディがオジーのバンドへ加入が決定した後、なんとジョージ・リンチがその後を務めておりました)。後にランディは、名声を得てからのインタビューで「ライト・ジャズをやりたい」とか「アール・クルーのような音楽をやりたい」と語っていた通り、正直、彼のギタリストとしての嗜好はクラシックに向かっていたようですね。

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またオジーのオーディションにも、親友に請われて参加しただけで、それほどの熱意もなかったようでした(当時、クワイエット・ライオットにも在籍していたので)。それが、ランディが指慣らしをしていただけでオジーの直感で採用となり、1980年3月、すぐに「Blizzard Of Ozz」の制作に入ります。ランディのクラシカルなプレイが、オジーの考える様式にマッチしていたのでしょうね。同アルバムは1980年9月に発表され、ランディ・ローズのその斬新なプレイは瞬く間にエディ・ヴァン・ヘイレンと並び称されるものとして、ギターキッズに受け入れられました。そしてこのセカンドは翌1981年2月から制作に入り、1981年11月に発表されたのでした。

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前作に続き、本作の布陣はヴォーカルにオジー、ギターにランディ、ベースにボブ・ディズリー、ドラムにリー・カースレイク。但し本作発表を前にボブとリーは解雇され、代わりにルディ・サーゾトミー・アルドリッジが加入するのでした。正直、「Blizzard Of Ozz」にしても本作にしても、二人のプレイは素晴らしいものだったし、特にボブの作曲への貢献度は非常に大きかったと思います。後にオジーとこの二人の間で裁判沙汰になってしまったことは残念ですね~。
(③④以外はメンバーの共作。③④もオジー・ランディ・ボブの共作です。)

オープニングは本作からのセカンドシングルの①「Over the Mountain」。
キャッチーなナンバーですが、ここでのランディの切り刻むようなギターリフ、きめ細かいギターソロは圧倒されます。イントロにも象徴される3連タム連打はリーの得意技。彼のドコドコ煩いドラミングも結構好きです。

ファーストシングルの名曲②「Flying High Again」。この曲が大好きという方も結構いらっしゃるのではないでしょうか。オジーらしいポップなハードロック。
近年のオジーは下にアップしたようにYouTube向けの映像を積極的にアップされているようです。この映像はランディを追悼するもので、静止画をコラージュしたような映像ですが、結構楽しめます。この曲もランディのギターソロがめちゃめちゃ光ります。ライトハンド奏法も見事!

ちなみに下の映像はランディ在籍時の貴重な「Flying High Again」の演奏シーン。ベースは盟友ルディ・サーゾ、ドラムはトミー・アルドリッジの布陣。2分9秒過ぎからランディのギターソロが楽しめます。圧巻!

かなりブラック・サバスっぽい④「Believer」。
イントロがヴァン・ヘイレンの「Runnin' With The Devil」に似ていなくもない。やはり印象的なのはボブのベース。ボブのプレイはかなり曲にインパクトを与えるものが多いですね。そして3分過ぎからのランディの迫力ある速弾きギターソロに圧倒されてしまいます。ギターソロもカッコいいですが、ここでのギターリフも凝ってますね。

リーのドラムがかなり暴れまくっている⑤「Little Doll」。
ここでもボブのベースラインがかなり印象的です。実はここでのランディのギターソロは、ガイドライン・トラックだったとのこと。ランディはどうしてもこの曲にギターソロを乗せる気になれなかったようです。確かにここでのギターソロはあまり速弾きしていないし、メロディを普通に弾いている感じです。このアルバムの制作がかなりタイトに進められてしまい、最終的に仕上げるまでの時間がなかったんでしょうね。完璧主義者のランディからしたら特にこの曲は不本意だったようです。

シャッフル系のカッコいいハードロックの⑦「S.A.T.O.」。
この曲が好きだ…というファンは結構多いんじゃないでしょうか。マイケル・シェンカーにも似ていないもない楽曲。ランディのなんと華麗なギターソロ。サウンドが綺麗だし、プレイ自体にも圧倒されます。

アルバム・タイトル・トラックの⑧「Diary of a Madman」はオジーとランディの嗜好が合致したような楽曲。
イントロから非常に怪しげでドラマティックな雰囲気。後半でストリングスっぽい音が鳴ってきますが、これはドン・エイリーのキーボードでしょうか。エンディングにかけては仰々しいアレンジがオジーっぽい。
好き嫌いが大きく分かれる曲かと思いますが、アルバム全体の中でこうした楽曲がエンディングにくると、全体が引き締まります。

私自身は断然「Blizzard Of Ozz」が大好きだったのですが、このセカンドも聴き込むほどに味わい深い曲ばかりで、やっぱりランディ・ローズのプレイは魅力的だと痛感します。

最後に以前ヤングギター誌がランディ・ローズの第二の実家である「ミューソニア」を取材した映像をアップしておきます。ランディの姉であるキャシー、兄のケルが「ミューソニア」を紹介してくれます。



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