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Rolling Stones「Emotional Rescue」(1980)

前回、ロン・ウッドのアルバムをご紹介したので、やはりストーンズを紹介しないわけにはいかないですね。

私が洋楽を聴き始めた頃は「Tatoo You」がリリースされた時期と重なり、あのジャケットが強烈に印象に残ってます。でもその前作である「Emotional Rescue」の印象となると全くありません。
ストーンズのアルバムは相当数リリースされてますが、オリジナルアルバムのジャケットはなんとなくどれも記憶の片隅に残ってます。でもなぜか「Emotional Rescue」のジャケットは全く記憶にすら残ってない(苦笑)。恐らくそれくらい語られることの少ないアルバムってことなんでしょうね。

音楽評論家の中山康樹氏も「ミックも自分の歌をどう変化させていけば全体が自在に乗っていけるのか…、そんな中での葛藤機が「女たち」や「エモーショナル・レスキュー」だったのかも」と仰っている通り、吹っ切れず、試行錯誤といったところだったのでしょう。だってミックの裏声って、聴きたいですか(笑)。

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と言いつつ、本作をじっくり聴いてみると、結構魅力的なアルバムと感じます。実際本作はUKでもUSでも1位を獲得していますしね。
前作ではディスコやレゲエの影響が垣間見られましたが、本作でも新境地的サウンドをストーンズ・サウンドに昇華してます。その典型例がオープニング・ナンバーの①「Dance (Pt. 1)」。
ディスコやレゲエを下敷きとした完全なストーンズ・サウンド。各メンバーがいろいろと工夫しております。
出だしからミックがラップ調で叫んでますね。ファンキーなベースはロン・ウッドでしょうか(クレジット上はビル・ワイマンですが)。またここでのチャーリー・ワッツのドラムは、珍しくスプラッシュ・シンバル(残響音のするシンバル)を用いてますね。

ストーンズ流ロックンロールの②「Summer Romance」。
単純なリフの繰り返しだけで聞かせてしまうストーンズ。大いなるワンパターンなんですが、やっぱりキースとロンのギターがカッコいいですね。

こちらもスピーディーな⑥「Where the Boys Go」。
キャッチーなサビが印象的。エンディング近くにかけての女性コーラスが実にチャーミングでいいですね~。女性コーラスがこのように絡んでくるのは、ストーンズにしては珍しいんじゃないでしょうか。

アルバム・タイトル・トラックでもあり、ある意味問題作の⑧「Emotional Rescue」。
ディスコ・サウンドをうまくストーンズとして昇華したものがこの作品。エンディングにかけてはミックがラップ(のようなもの)を披露してきます。しかし出だしからミックの裏声、凄いなあ~。個人的にはこのサウンドは好きになれないんですが、妙に印象に残るんですよね。
曲のキーとなっているベースはクレジットではロンですね(PVではビル・ワイマンが弾いてますが)。スタジオで、ミックがエレピでこの曲を練り上げていた時に居たのがロンとチャーリーで、その場でリズムトラックを仕上げたとのこと。

セカンドシングルにもなった⑨「She's So Cold」。
このアルバム制作時、キースの調子は冴えていなかったようです。この曲も悪くないですが、リフにキレがないですね。
実際、本作の殆どは前作のアウトテイクが中心のようですし、ミックとキースは音楽的に対立することも多かったようです。

音楽的には80年代のストーンズってあまり聴き返さないですね~。本作も悪くないけど、なんかパッとしない印象…。80年代のストーンズは1989年に発表した「Steel Wheels」でまた復活するのですが、「Steel Wheels」もあまり聴いてないなあ。
私的にはやっぱり70年代のスワンプなストーンズが最高…。今度は(少し間をおいて)70年代ストーンズをご紹介します。

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