見出し画像

Rolling Stones「Exile on Main Street」(1972)

当初このアルバムのイメージは「曲数が多いなあ」といったものでした。その曲数の多さと、所謂ポップ感覚溢れる曲があまりないとの理由から、聞き込むところまでいっていませんでした。やっぱりストーンズは60年代のサティスファクションだよな~、と思っていたクチです。

今ではこの最高傑作に位置づけされる本作、やはり私と同じように発表当時からそうした作品として見られていたわけではないようです。名盤というのはそういうものかもしれませんね。
確かに聴き返すと、絶妙にソウルとスワンプが交じり合ったストーンズ・サウンドが完成されており、ミック・テイラーのスライドがそこに一役買っております。

画像1

このアルバムの①~④、そして⑤が昔のA面にあたり、昔ながらのロックンロールとブルースが織り交ざったストーンズサウンドが繰り広げられます。その総括が⑤「Tumbling Dice」。このアルバム、レイドバック感覚が心地いいのですが、そのレイドバック感覚をストーンズサウンドにうまく昇華された1曲がコレ。
ゴスペルライクな女性コーラスが適度にソウル感覚を感じさせながらも、相変わらずキースの弾くコードワークがルーズでストーンズしてますね。

ある意味⑥~⑨のB面が好きなれるか、なれないかで、このアルバムの評価は大きく変わってくるのかもしれません。
⑥「Sweet Virginia」はストーンズ流カントリーソング。
録音もライヴ感覚を大切にしているのか、ミックのヴォーカルなんか、その辺のバーで歌っているような感じに聴こえます。
このアルバムの制作途中、キースはグラム・パーソンズと深い交流がありました。グラム・パーソンズ、言わずと知れたカントリーロックの祖、教祖的存在の方ですね。こうしたB面の流れはグラムの影響もあるのでしょう。

私はどうしてもこのイントロを聴くとオールマンブラザーズの「Jessica」を連想してしまいます。それが⑨「Loving Cup」。
この力強いピアノはニッキー・ホプキンス。もちろんオールマンを連想させたのはイントロの一瞬ですが、この曲、エンディングに向かってブラスやらコーラスなど多彩な音が織り交ぜられ、圧倒的なパワーでもって迫ってきます。強力なサザンソウル感覚とでもいいましょうか。

このアルバムのなかでも有名な1曲、⑩「Happy」。
キースのリード・ヴォーカル曲として有名ですね。これぞ、ストーンズ、ストレートなロックンロールです。
アップした映像は当時のライヴですが、ジミながらも堅実な演奏のミック・テイラーの存在が気になります。後にミック・ジャガーは「ミック・テイラー在籍時のストーンズが、一番充実していた」といった類の話をしています。

ストーンズ流スワンプの最終形のような⑭「Let It Loose」。思いっきりレイドバックして、いつものキースらしからぬ繊細なギタープレイが印象的です。ホーンやコーラスなど、よく聴くと凝ってますね。

①「Rocks Off」よりも⑩「Happy」よりも大好きなロックンロールが⑮「All Down the Line」。
これはかっこいい。何がかっこいいかって、ミック・テイラーのスライド・ギターが心地いいんですよね。キースとミック・テイラーの組み合わせもいいと思うのですが。
アップした映像のミック・テイラーのレスポールがかっこいい。「All Down the Line」を聴いていると、エアロスミスの「Draw the Line」を思い出してしまいます、なんとなく。

このアルバムのエンディングは⑱「Soul Survivor」。サビがとても印象的で、ここでもミックのスライドがかっこいい。
ピアノでの間奏、カッティングして入ってくるギター・・・、そしてエンディングへ向かう部分がシビれますね。この当時のストーンズが音楽的にも最高に充実していたことがよくわかる瞬間です。

やはりミック・ジャガーが仰っていた通り、特にコンサートではミック・テイラーの果たした役割というのもかなり大きかったのかなあという気がします。
それにしてもこのアルバム、多様な音楽性が散りばめられているにも関わらず、どれもストーンズ臭がするのは流石。この70年代初期ストーンズの音楽的なパワーはすごいですね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?