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Def Leppard「On Through the Night」(1980)

NWOBHMの代表格といえばアイアン・メイデンかデフ・レパード。両方とも大好きなバンドですが、特にデフ・レパードは、私がハードロックに傾倒していくキッカケにもなったバンドです。ご多分に洩れず、そのキッカケとなったアルバムが「Pyromania」。邦題「炎のターゲット」ですね。「Photograph」、めっちゃ大好きでした。

ジョー・エリオットにフィル・コリン。そしてのちに不幸にも事故に遭ってしまったリック・アレンのその後にも感動…。「Adrenalize」くらいまではフォローしておりました。そして今、まさに来日中ですね…。
今回ご紹介するのは、そのデフ・レパードのデビューアルバム。
メンバーはジョー・エリオット(Vo)、スティーヴ・クラーク(G)、ピート・ウィルス(G)、リック・サヴェージ(B)、リック・アレン(Ds)。ピートの後釜となるフィルはまだ参加する前のアルバムです。本作発表時の1980年3月時点でジョーは20歳。リックに至ってはなんと16歳!
リックは15歳でデフ・レパードに迎えられ、わずか1年でメジャーデビューというシンデレラ・ボーイだったんですね。

プロデュースはジューダス・プリースト等の作品を手がけてきたトム・アロム。全11曲、すべてがメンバー作のオリジナル作品です。
まずは記念すべきデビューアルバムのオープニングナンバーの①「Rock Brigade」。
まだまだ若さが迸っているようなハードロックですが、分厚いコーラスとか、手拍子をアクセントにしたりとか、キャッチーなメロディは、既に後のアメリカで成功を収めるデフ・レパードらしさが溢れ出てますね。ピートのギターソロもコンパクトでカッコいい。但し楽曲自体は平凡な印象は否めません。

その平凡さの私の印象を一気に覆してしまった②「Hello America」。
あまりもキャッチー過ぎて、思わず仰け反ってしまいましたが、これが結構クセになってしまうのです。後にアメリカで大ヒットした「Photograph」を彷彿させるポップ・ロック。しかもタイトルがハロー・アメリカですからね(笑)。
アップした映像はライヴとスタジオ演奏等組み合わせたものですが、音源自体はライヴ・バージョンですね。スタジオ録音バージョンより数段迫力があり、カッコいい。間奏のジョーとハモッていたのはベースのリックだったんですね。

デフ・レパードとしては超高速な④「It Could Be You」。こういう曲もやっていたんですね。
イントロからジョーの絶叫が…、ジューダス・プリーストっぽい(笑)。この頃のデフ・レパードは、まだUFOとかシン・リジィとか、70年代ブリティッシュ・ハードロックの影響下のヘヴィメタルから抜け切れておりません。この曲に代表されるように、若さ溢れる荒々しさ、そしてキャッチーな点が本アルバムの魅力ですね。

本作発表前に発売されたシングルナンバーの⑦「Wasted」。
こちらも後のデフ・レパードからは想像出来ない正統派ヘビー・メタルなサウンド。ギターのリフも教科書的。デビューシングルだけあって、若さ溢れる力強いナンバー。ジョーとスティーヴの共作で、リードギターもスティーヴ。
この曲に象徴されるように、ファーストで見せていた70年代ハードロック的サウンドが徐々に変化・成長していったことは、この後のプロデューサーのRobert John "Mutt" Langeからの影響が大きかったのでしょうかね。

シャッフル・ナンバーの⑧「Rocks Off」はジョー、スティーヴ、リック、ピートの共作。
「Wasted」と同じくNWOBHM的な楽曲。歓声が入ってますが、こちらはライヴショー的に意図的に入れているもの。こんな曲もやっていたんですね。一番年下のリック・アレンのドラムも結構いいんですよね。

イントロ部分がまるでボストンのバラードのような楽曲の⑪「Overture」。
組曲風なアレンジで、デビューアルバムのエンディングとしてはかなりインパクトの強い曲。メロディが確りしているので、7分超の曲でも一気に聴かせてしまう力は流石です。コーラスなんかはアメリカン・ロックを彷彿させます。後のデフ・レパードからすると、ちょっと異色の楽曲ですが、中盤からはまるでシン・リジィ(笑)。通して聴くと、やっぱりブリティッシュ・ハードロックって感じがしますね。

デフ・レパードって、メンバーの結束が固いバンドですよね。ピートはアルコール中毒が酷くて解雇されてしまいますが、後任のフィル・コリンはずっと在籍しておりますし、スティーヴ・クラークもアルコール中毒で亡くなるまでメンバーでした。ちなみにスティーヴの後任がディオのギタリストだったヴィヴィアン・キャンベルというのも、当時ビックリでした。

そして今、まさに来日しているデフ・レパード、ジョー、フィル、ヴィヴィアン、二人のリック、不動のメンバーで来日中。ドラムのリックの事故が、メンバーの結束を更に強固なものにしたことは想像に難くないですね。彼等の新作も聴いてみようかな。

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