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小野リサ「Dream」(1999)

音楽フリークの私にとって、iphoneのアプリで重宝しているのが「TuneIn」というネットラジオ。全世界のネット放送局が無料で聴けるアプリですが、その中でも私が愛聴している放送局が「Radio Bossa Jazz Brasil」です。ブラジルのボッサ専門の放送局で、朝にも夜にも気持ちのいい音楽を聞かせてくれます。当然流れてくる音楽は、心地の良いボサノバ中心ですが、たまに日本人アーチストの音楽もかかります。そのアーチストこそ小野リサ。日本が生んだボッサのスターですね。彼女、もちろん日本人ですが、ブラジル生まれブラジル育ちの女性で、声もちょっとハスキーでボサノバぴったり。

学生時代はよく彼女のデビューアルバムや、セカンド・サードアルバムを愛聴してましたが、ここ最近、そういえば熱心にアルバムを聴いていなかったなと。で、チョイスしたのがジャズのスタンダートナンバーを彼女なりに解釈してボッサアレンジに仕立てた作品集「Dream」。このアルバム、ボサノバのアルバムとしては異例の20万部を超えるセールスを記録したらしい。知らなかった…(苦笑)。

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プロデューサーはボサノバ界の重鎮、オスカー・カルロス・ネヴィス(この方も2013年に亡くなっていらっしゃいます)。本作は1920年~40年代の古き良きジャズのスタンダードを、軽快なボッサで聴かせてくれる好盤です。
その典型的な1曲がアルバムトップを飾る心地よいボッサの①「On The Sunny Side Of The Street」。ベニー・グッドマン、フランク・シナトラとかルイ・アームストロング等にカバーされたスタンダード・ナンバーですが、原曲の持つポップなメロディを、見事にボサノバに仕立てたアレンジのセンスに脱帽。

②「Moonlight Serenade」は言わずと知れたグレン・ミラーの超名曲&超有名ナンバーですね。このカバーは確かCMに使われていたような記憶があります。小野リサのカバーソングの中でも、一番有名なナンバーかもしれませんね。原曲はスローな、ちょっとノスタルジックなナンバーですが、ここではメロディを生かして、ジョビン風のピアノ&ギターを中心に、ミディアムテンポのボッサとして小野リサのオリジナルみたいな感じに仕立ててます。これもいいですね。

邦題「二人でお茶を」で有名な④「Tea For Two」。ドリス・デイの主演で映画にもなりました。原曲よりもムーディーな感じですね。正直、原曲よりも小野リサバージョンの方が好きですね。

アルバムタイトルの⑩「Dream」は1944年、ジョニー・マーサーの作品。YouTubeにこの曲の素敵なバージョンがあったので、ご紹介しておきます。映像はなんと大江千里さんとのコラボ映像。NHKのトップランナーという番組での映像ですね。当時はまだ千里さんもジャズに専念されていなかったと思いますが、改めてこの映像を見ると、やっぱり千里さん、ジャズをやりたかったんだなあと思ってしまいます。小野リサさんのギターも、さすが上手いですね。

⑫「Sentimental Journey」も有名なスタンダードナンバーですね。この曲と次の「Chattanooga Choo-Choo」は60年代のソフトロックバンドのハーパーズ・ビザールもカバーしているので、私としてはその印象が強烈にあります。あの「Sentimental Journey」がどうボサノバに仕上がるのかなと思ってましたが、実際に聴いてみると完全に小野リサワールド全開。彼女のヴォーカルも、独自の世界観ありますね。

これからの季節にピッタリのボサノバ、如何だったでしょうか。小野リサさんのアルバムも名盤が多いんですよね。


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