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The Lovin' Spoonful「Daydream」(1966)

以前から読みたかった村上春樹の「走ることについて語るときに僕の語ること」。なんだか哲学的なタイトルですが、要はランナー村上春樹のマラソン・エッセイ。もともと音楽好きの村上氏の小説が大好きな私、ランニングを一応趣味としている私としては、この本はずっと気になっていた1冊。

とにかく第一章から「誰にミック・ジャガーを笑うことができるだろうか?」といった音楽好きの心をくすぐるタイトル。ミック・ジャガー(ローリング・ストーンズのヴォーカリストです)は若い頃、「45歳になって『サティスファクション』をまだ歌っているくらいなら、死んだ方がましだ」と豪語していたそうです。それと同じで村上氏も若き頃、今の自分を想像出来なかった・・・、つまりミックを笑うことなど出来ないと仰ってます。

そして「走る生活」を続けている・・・。この軽妙なエッセイ、早速第一章にラヴィン・スプーンフルの音楽を聴きながら走ることが描かれてます。ラヴィン・スプーンフルを知らない人にとっては全く意味を成さない文章だと思いますが、彼等を知る音楽フリーク(例えば私)が読めば、「やっぱりラヴィン・スプーンフル、いいんだよな~」と共感を覚えてしまいます。

村上氏は「デイ・ドリーム」と「ハムズ・オブ・ザ・ラヴィン・スプーンフル」をMDに入れて走ると書いてます。

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その「デイ・ドリーム」というアルバム、この本を読みつつ、ついつい聴き返してしまいました。
村上氏曰く、「ラヴィン・スプーンフルの音楽はいつ聴いても素敵だ。必要以上に自分を大きく見せようとしない音楽だ。」
仰るとおり。彼等の音楽は魔法のよう・・・、「Do You Believe In Magic?」っていう彼等のヒット曲は、自分たちのテーマソングのようです。

彼等の音楽の間口は広いです。セカンドアルバムのトップを飾る曲・・・彼等の別の意味の代表曲ともなった①「Daydream」。普通はカッコイイ楽曲を持ってくると思いますが、そこは一癖あるラヴィン・スプーンフルのこと、いきなりのどかな音楽です。

リーダーのジョン・セバスチャンは、よくウォッシュボードをかき鳴らしていましたが、この演奏スタイルがジャグと呼ばれるもの。そのタイトル通りの⑦「Jug Band Music」。別にジャグ・ミュージックって感じではないのですが、彼等らしいロックです。

名曲⑧「Didn't Want To Have To Do It」。このノスタルジックで物憂げなスローチューンをママス&パパスのキャス・エリオットがレコーディングしておりました。
アップした音源はキャスのバージョン。ラヴィン・スプーンフルのオリジナルに近い演奏ですね。

私の大好きな⑨「You Didn't Have To be So Nice」。この曲を聴くと元気が出てくるんですよね。
ジョンの非凡なメロディーメーカー振りを発揮する彼等の代表曲のひとつ。メロディからコーラスまで、すべてが輝いてます。


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