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Tommy Bolin「Private Eyes」(1976)

お盆連休、如何お過ごしでしょうか?
台風は問題なかったでしょうか。
私は昨日から夏季休暇に入り、来週1週間、まるまる休みです。予定はないので音楽三昧といったところでしょうか…。

ということで以前からストックとして聴き漁っていたアルバムから、今日はトミー・ボーリンをチョイス。
トミー・ボーリンについては、以前彼のファーストアルバム「Teaser」に詳しく書かせて頂きましたが、簡単にご紹介しておくと、ハードロックからファンク、ジャズ、フュージョンまで器用にこなす天才ギタリストで、1975年6月に請われて第四期ディープパープルに加入します。彼のファーストソロの「Teaser」と第四期パープルの「Come Taste the Band」は同じ月に発表されているんですよね。
ところがそのファンキーな作風、そしてトミー自身の体調不芳な状況から、結局1976年3月にディープ・パープルは解散を決めます。本作はそれから3か月後、1976年6月に制作、そして9月に発表されたアルバムです。

このジャケット、そして邦題「富墓林」(富の時が違いますが)から、どうしてもB級アルバムと勘違いしてしまいますが、内容は非常に秀逸。トミー・ボーリンのギタリストというよりも、多彩なソングライティング・センスに驚かされます。

まずはオープニングからかなりブラックフィーリング溢れる①「Bustin' Out for Rosey」をどうぞ。これを聴くと、第四期ディープ・パープルがよりファンキーになった理由がよく分かります。決してデヴィッド・カヴァーデイルとグレン・ヒューズだけではなく、トミーの嗜好も大きく反映されていたことがよく分かる1曲です。サックスや女性コーラスが絡んでくる間奏からエンディングにかけて、ここでの聴き所はやはりトミーのギターソロでしょう。縦横無尽に弾きまくっている感じですね。

トミーのメロディアスな一面がよく分かる②「Sweet Burgundy」。
この曲が好きだという方も結構いらっしゃるのではないでしょうか。曲にマッチしたスライドギターもいいですね。ドラムの音がやけにベタっとしている点が少し残念ですし、全体的にサウンドの解像度が悪いような気もします。

クリームの「Sunshine Of Love」風なギターリフがカッコいい③「Post Toastee」。トミーの熱いヴォーカルも堪能出来る9分にも及ぶ熱いナンバー。レジー・マクブライドの骨太なベースが印象的です。レジーはレア・アースのベーシストだった方で、スティーヴィー・ワンダーとのセッションにも参加していた方。
この曲はかなり長尺な楽曲ですが、全く飽きさせない、聴き所満載なナンバーです。この曲のハイライトはやっぱり中盤以降のインスト部分でしょうか。ロックフィーリング溢れるフュージョンとでもいいましょうか。とにかくトミーが弾きまくってます。

かなりヘビーな④「Shake the Devil」。
こちらもブラックフィーリング溢れるナンバー。この曲もトミーのギターソロが最大の聴き所です。特にエンディングにかけての熱いギターソロは必見。感情剥き出しのギターという印象です。

本作中、もっとも意外な、トミーってこんな楽曲やっていたの?っていう楽曲が⑤「Gypsy Soul」でしょう。
このボッサなアレンジ、トミーのアコギプレイも洒落た感じだし、何よりトミー自身のヴォーカルが素晴らしい。間奏のノーマ・ジーン・ベルのサックスも雰囲気出てますね。2分38秒辺りからのトミーのため息に続く、リズミカルなボッサの展開、アレンジも粋でいいですね。こんなプレイもサラっと出来てしまうトミーって多彩ですね。 

デイヴ・メイスン風な⑥「Someday, We'll Bring Our Love Home」。
乾いたギターがアメリカン・ロックといった感じでしょうか。
この曲には強烈なギターソロはありませんが、トミーのメロディセンスが冴えわたっている1曲かと思います。

本作発表後にトミーは自らのバンドを率いてツアーに出ますが、12月、ジェフ・ベックの前座を務めていた中、オーバードースにより亡くなってしまいます。
このアルバムからでもお分かりの通り、トミーは多彩なソングライティング・センス、そしてギターテクニックを持つミュージシャンであり、もしもっと長く生きていれば、ジミ・ヘンドリックスのような存在になっていたかもしれません。本当に残念です。

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