見出し画像

Free「Free」(1969)

各地で猛威を振るっている台風10号ですが、皆さんお住まいの所は大丈夫でしょうか。

さて、フリーといえば、やはりサードアルバムの「Fire And Water」をベストに挙げられる方が多いと思われます。
私もそうだったのですが、最近(遅ればせながら)このセカンドのブルースロックからハードロックへの端境期的な様式に魅了されておりまして、ひょっとしたらこちらの方が彼等らしいかなとも思ったりしております。
本作は全曲が彼等のオリジナルであり、ポール・ロジャース&アンディ・フレイザーのコンポーザー能力がセカンドにして、十分発揮された1枚です。

当時の英国はレッド・ツェッペリンが人気を博しておりましたが、レッド・ツェッペリンのデビューアルバムが1969年1月、フリーのデビューアルバムが1969年3月に発表と、両バンドは同時期に活動していたわけで、双方ブルースをベースとしながらも、全く違った個性的な音作りをしておりました(フリーの方がバンド結成は早いですが)。そして実はこのセカンド、ゼップのセカンドと共に1969年10月に発表されております。

アイランド・レコードの創設者でもあるクリス・ブラックウェルのプロデュースです。アイランドも相当気合が入っていたんでしょうね。

それはオープニングの①「I'll Be Creepin」から十分伝わってきます。
スタジオライヴをアップしてみました。
この時、ポールは若干19歳!19歳に見えますか(笑)。ポール・コゾフの感情剥き出しのギター。チョーキングが凄いです。それにしてもこのフリー独特の隙間、間合いというか、すごく緊張感ありますよね。

迫力満点の②「Songs of Yesterday」。
本作中、一番ハードな、これでもハードなナンバー。スタジオ録音バージョンですと、隙間を埋めるようにパーカッションが入っているので感じませんが、やはりライヴですとスカスカ感はありますね。
それでも隙間を縫うようなアンディのベースは凄い。ポールのブルージーナギターソロ、それに合わせて足踏みしまくるポール、煽りまくるサイモン・カークのヘビーなドラム。これぞフリー、といった感じでしょうか。
そして何度も申しますが、ポールは19歳、アンディに至っては17歳!!

フォーキーな③「Lying In The Sunshine」。
ブリティッシュフォークにブルースをベースにしたようなアレンジ。ブルースロック一辺倒ではない、フリーの器用さがよく表れている1曲。
ポールの表現力豊かなな味わい深いヴォーカル、シャウトしないポールのヴォーカルも素敵です。それからアンディのメロディアスなベースも流石ですね。地味な曲なんですが、このアルバムでは結構重要なポジションにある曲と感じます。

④「Trouble On Double Time」のみメンバー全員の共作です。
4人でジャムりながら曲を作っていったのでしょうかね。
やっぱり間奏のポールのギターソロが圧倒的にカッコいい。これを支えているアンディのベースも独特のフレージングだし、シンプルながらもパワフルなサイモン・カークのドラムも魅力的。4人の共作らしく、フリーらしい楽曲です。

かなりブルージーなロックの⑥「Woman」。
ギターのリフがかっこいいですが、これはベースもユニゾンで弾いているので、アンディが作ったリフでしょうね。
2番からはシャウト気味に歌うポール…。特にこの渋い曲なんかを聴くと、フリーのメンバーって早熟だったんだなあと感じます。ほぼほぼ10代のメンバーが奏でるようなサウンドじゃないですよね。

ちなみにフリーですが、1973年に解散後、ポール・ロジャースとサイモン・カークはバッド・カンパニーを結成し、レッド・ツェッペリンのレーベル、スワンソング・レコードと契約することとなります。やっぱりゼップとは深い縁があったんですね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?