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山下達郎 「POCKET MUSIC」 (1986)

だんだん蒸し暑くなってきましたね。
達郎さんの新譜も発表されるし、私もCDラックからついつい山下達郎をチョイスしてしまいました。彼のアルバムはエバーグリーンなクオリティを保っているので、いつ聴いても新鮮ですね。で、今回チョイスして聴いていたのは1986年発表の「POCKET MUSIC」です。

1986年というと、私は高校2年。まだまだ山下達郎の大人のポップスを満喫するには若く(笑)、当時は大江千里とか、渡辺美里とか熱心に聴いてました。ただ達郎さんの「Big Wave」っていうビーチボーイズのカバーを収録したアルバム(1984年発表)は、BB好きな私としてはホントに熱心に聴いてましたよ。そのギャップからなのか、この「POCKET MUSIC」ってアルバムはリアルタイムに聴いたのですが、ちょっと印象が弱かったんですよね。60年代ポップスとも違う、ちょっとムーディーな大人のポップスというか…、そんな印象でした。

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達郎さんにとっても本作は分岐点となった作品。
当時はアナログレコーディングからデジタルレコーディングへ移行していた時期で、その流れを受けて、本作も達郎作品としては初めてデジタルレコーディングにチャレンジした作品であり、どことなく打ち込み系、シンセ系の音が耳につくのはそのため。当時、熱心に聴かなかったのは、バンドサウンドが大好きな私としては、本作は異色作に映ったからでもありますね。

そうは言っても本作でも達郎さんらしいサウンドは楽しめます。
特に大好きなのが⑤「メロディー、君の為に」。ドラムは青山純、ベースは伊藤広規の黄金のリズム隊。イントロから伊藤広規の唸るようなファンク・ベースと、青山純のタイトなドラムが楽しめます。軽快なポップスなのに、重い手ごたえを感じるのは、このリズム隊のお陰。

これは本作でも有名な①「土曜日の恋人」、⑩「風の回廊」でも一緒ですね。「土曜日の恋人」は、あの「オレたちひょうきん族」のエンディングテーマでした。あの単純な面白さが大好きな番組でしたね。この曲はエンディングらしからぬ明るいポップスで、心地よい余韻を残してくれました。

⑩「風の回廊」は今聴いても素晴らしいポップスですよね。
イントロから達郎さんワールド全開、驚異のアカペラで圧倒されます。そしてエンディングでもカッコいい間奏アカペラ!こんな良質なポップスを緻密なアレンジで作れるのは達郎さんしかいませんね。ただここでのベースは打ち込み系、ドラムは青山純。ホンダのCMソングに使われました。確かインテグラだったような。

良質な大人のポップスの②「ポケットミュージック」。
ゆったりとした時が流れる日曜日の午後、まったりと聴きたい1曲。間奏のフリューゲル・ホルンが実に心地いい。曲の後半からはドラムがリズミカルにスネアを刻んでいきます。このドラムは上原裕

達郎サウンドのなかでは異色の社会派ソングの⑥「The War Song」。
当時の中曽根首相の不沈空母発言(アメリカを支援するために日本は太平洋における不沈空母とするといった主旨の発言)をきっかけに作った楽曲。重厚感のあるリズムは当然、青山&伊藤のコンビ。ギターソロは大村憲司。ギターソロの後ろの達郎さんのコーラス、すごく力強いですね。

アン・ルイスに提供した名曲のセルフカバーの⑦「シャンプー」。
ここでは土岐英史のソプラノサックスと達郎さん自身のキーボード、ドラムのシンプルな演奏をバックに、じっくり歌い上げてくれてます。

本作ではまだリズム隊ががっちり固めており、私の大好きな往年の達郎サウンドが維持されているって感じですね。達郎さんのアルバムは聴くたびにいろいろな発見があります。それだけクオリティが高いってことですね。






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