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Faces「First Step」(1970)

ロッド・スチュアートが在籍していたフェイセズ、前身がスティーヴ・マリオットが在籍していたスモール・フェイセズであることは周知の事実ですね。
スティーヴは1969年春に脱退。ハンブル・パイ結成に至ります。残された3人(ロニー・レイン、イアン・マクドナルド、ケニー・ジョーンズ)に利用価値はないと、当時のレコード会社も見放していたらしいのですが、そこに救いの手を差し伸べたのがロン・ウッド。彼がすぐに3人にアプローチをし、フェイセズに合流。そしてロンがリード・ヴォーカルにロッドを連れてきて、スモール・フェイセズは再始動することになります。

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ついでに申せばこのジャケット、Facesとなってますが、米国初回盤はSmall Facesとなってました。レコード会社もスモール・フェイセズで売りたかったのでしょうが、メンバーの意地でFacesとしたようです。
このデビューアルバムではまだまだ粗削りで、親しみやすいロックンロールというより、かなり渋い曲中心といった感じです。

デビューアルバム1曲目はボブ・ディランのカバーの①「The Wicked Messenger」。
ディランの1967年の作品「John Wesley Harding」に収録されていたナンバー。私はディランのオリジナルバージョンはあまり聴いたことがないのですが、ここに収録されたフェイセズ・ヴァージョンは、かなり荒々しいアレンジで、ディランらしさは全く見受けられません。とにかく演奏が力強い。後にザ・フーに加入することになるケニー・ジョーンズのパワフルなドラミングが印象的なナンバーです。

好き嫌いはあると思いますが、このアルバムに満ち溢れているブギー感覚が大好きです。③「Shake, Shudder, Shiver」はロニー・レインとロン・ウッドの共作。
ロンがスライド・ギターを弾きまくってます。ロッドのヴォーカルがもっとフューチャーされてもいいのですが、やっぱりこの時点では演奏が主役だったのでしょうね(実際アルバムジャケットもロッドは左端に追いやられてますね)。

フェイセズのもうひとつの魅力はアイリッシュフォークな味わいでしょうか。これはロニー・レインによるところが大きく、実際彼の単独作品である④「Stone」は完全にフォーキー&カントリーな世界です。
バックで鳴っているバンジョーはロッドの演奏によるもの。個人的にはカントリーが大好きなので、こうしたフェイセズも大好きです。

フェイセズは当初、ロッドの加入を躊躇っていたようです。それは花形ヴォーカリストに振り回された経緯があるから。今回もそうなるのでは・・・といった予感を感じていたようです(結局それはそういった形になってしまうのですが)。
ですからこのアルバムではまだロッドはバンドの一メンバーという形。実際⑦「Pineapple and the Monkey」ではロン作のインストナンバーですからね。
これはイアンのオルガンがフューチャーされたもの。これも結構いい味出しているナンバーです。

このアルバムのハイライトは何と言ってもエンディングトラックの⑩「Three Button Hand Me Down(邦題:3つのボタン)」。
イアン・マクレガンとロッド・スチュアートの共作。強烈なブギーですね。この曲に後のフェイセズの音楽性を垣間見ることが出来ます。
アップした映像はスタジオライヴですが、ロッド&ロン、かっこいいですね~。

こうしてフェイセズは始動するのですが、ロッド・スチュアートはソロとしての契約も交わしており、当然ながら、バンドとソロの活動が交錯していく訳で、当初予想とおりの結末を迎えてしまうのですが。
それはさておき、セカンド「Long Player」以降、フェイセズは名作を次々と発表していきます。

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