見出し画像

ゴダイゴ「MAGIC CAPSULE」(1979)

以前、クリス松村さんのラジオ番組でライヴ特集が組まれてました。スペクトラム、レイジー、ツイスト…。数々の70年代の日本のロックバンドのライヴ音源がオンエアされました。その中でも特に私が気になったのはゴダイゴの「銀河鉄道999」。スタジオバージョンよりも相当早いテンポ、かつすべて英詞…、カッコいい。

こちらの音源はゴダイゴのライヴ盤「MAGIC CAPSULE」からなんですが、このライヴ盤が相当中身が濃い。ちょうどゴダイゴがブレイクした直後の音源で、当時の人気が伺える内容です。

そもそもゴダイゴって、皆さんどういうイメージをお持ちでしょう。親しみやすいロックをやっているバンドっていうイメージでしょうか。

ゴダイゴは、ザ・ゴールデン・カップスで活動していたミッキー吉野がバークレー音楽院留学から帰国後、盟友スティーヴ・フォックス(B)とバンドを結成したことに端を発します。このバンドが1975年、タケカワユキヒデのソロアルバム作成に協力していく中でゴダイゴが結成されていくのですが、このゴダイゴの活動と同時進行で進んでいたのがミッキー吉野グループ。
当時はチャーとの共演が有名で、1978年7月に発表されたチャーの3枚目のアルバム「Thrill」のB面で共演。ゴダイゴからはトミー・スナイダー(Ds)、スティーヴ・フォックス(B)、ミッキー吉野(Key)が参加。その時の音源「Tomorrow Is Coming For Me」をアップしておきますが、後期ジミヘンのようなファンクチューン、それを支えているのがスティーヴのベースとトミーのドラム。寡黙な印象のスティーヴですが、そのベースプレイはかなりファンクしてます。実はゴダイゴは骨太なロックバンドなんですよね。

あの「ガンダーラ」が大ヒットしたのはこの後、1978年秋のこと。チャーとの共演時には、明らかにチャーの方が知名度は高く、一説にはゴダイゴにチャーが加入、との噂もありました(実際、そのような話が持ち上がった時、ゴダイゴのプロデューサーでもあったジョニー野村が断った話は有名)。…が、運命は皮肉なもので、この後あっという間にゴダイゴはスターの階段を駆け上がっていきます。

さて、例の「The Galaxy Express 999」ですが、シングル発表は1979年7月。もちろん映画「銀河鉄道999」の主題歌として有名ですが、この曲、もともとはプロデューサーのジョー野村の奥さんである奈良橋陽子さんが先に英詞を作り、そこにタケカワユキヒデさんがメロディを乗せたもの。但し最初の時点では、その楽曲はバラードだったらしい。アレンジを任されたミッキー吉野さんはてっきり力強い楽曲かと思ったので、困ってしまった…。そこでまず畳みかけるようなスピーディーなイントロを作り、そこからメロディを展開。最後に日本語詞を任された山川啓介さんは、サビのJourneyを繰り返す印象的な英詞を残し、日本語詞も前向きな歌詞 ♪ そうさ君は 気付てしまった やすらきよりも 素晴らしいものに ♪ に思いを込めた。そんな皆さんの思いが詰まった素敵なインタビュー動画もアップしておきます(この映像を見ると、ミッキー吉野のアレンジ能力の高さがよく分かります)。

やっぱり楽曲ってアレンジで大きく変わってくるんですよね(達郎さんがよく仰ってますね)。
その⑪「The Galaxy Express 999」…。クリス松村さんの番組でオンエアされていたバージョンはゴダイゴのライヴ盤「MAGIC CAPSULE」に収録されていたもので、そのライヴ盤は1979年10月に発売されたもの。トミーのスピーディーなドラムと、スティーヴのグルーヴ感たっぷりのベースが素敵です。ライヴではゴダイゴ・ホーンズも大活躍しております。

「MAGIC CAPSULE」にはゴダイゴの持つロック、フュージョン、ファンク…洋楽テイスト溢れる要素が満ち溢れてます。シングルバンドとは違う一面も聴けて、洋楽ファンも唸らせる内容なんですね。
そんな一面が聴ける③「Where'll We Go From Now」は1979年6月に発売されたシングルですが、このライヴならではのイントロが素晴らしい。スティーヴのチョッパーと豪快なホーン、シンコペーションの嵐。ちょっとスペクトラムを意識したアレンジでしょうか。それに続く本来の楽曲もポップさ。洋楽テイスト溢れる感覚がゴダイゴの魅力ですね。

ゴダイゴが起死回生の思いで発表した楽曲が⑩「モンキー・マジック」。この曲、ライヴで聴くと、そのグルーヴ感の凄さがよく分かります。ギターの浅野孝巳さんのカッティングとギターソロが素晴らしい。浅野さんもグループサウンズ出身で、安定感のあるギタープレイには定評がありました。今年5月に急逝されてしまったことが悔やまれますね。

アルバム・タイトルでもあり、CM(ベンザ・エース)ソングでもある①「Magic Capsule」もアップしておきます。タケカワユキヒデらしいキャッチーなメロディ。こちらの制作過程がYouTubeにアップされてますが、ミッキー吉野の包容力のある人間性も垣間見られる映像です。

英語詞といい、外人混成スタイルといい、ゴダイゴは今もオリジナリティが高く、後にも先にも日本にこんなバンド、実は居ないんじゃないかと思います。このライヴ盤を聴きながら、素晴らしいバンドだったんだなあとしみじみ感じております。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?