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Earth Wind & Fire 「I Am」 (1979)
ソウルとAORがクロスオーバーした名作
ここ最近、70年代ソウルを愛聴しております。スライ&ザ・ファミリーストーン、テンプテーションズ、スピナーズ・・・。それから忘れてならないのはアース・ウィンド&ファイアー(EW&F)、70年代ソウル・ファンクを語る上では欠かせないグループですね。そして私は大のAOR好きですので、なおさらEW&Fは欠かせません。
本作は1979年の作品ですが、ソウルとAORがクロスオーバーした名作。邦題「黙示録」。
モーリス・ホワイトを中心に1970年に結成されたファンクバンド。アフリカン・パーカッションとホーンを武器にジャズ・ファンク的な色彩が濃いバンドでしたが、徐々にメロディアスな楽曲がフューチャーされるようになり、1978年に発表されたシングル「September」は大ヒットを記録しました。
そしてその翌年に発表されたのが本作。このアルバムの特徴は、AORファンの間では知られた存在であったデヴィッド・フォスターが作曲に大きく関わっているという点。全9曲中、6曲に彼が関与しております。ですから本作はAORファンにも楽しめる内容となっております。これは逆に言えば、従来からのファンクなEW&Fが好きであったファンにとっては不評であったとも言えます。
ファンファーレの如く、高らかにホーンが歌う①「In the Stone」はEW&Fらしいファンキーでありながらも、ポップなチューン。リズムの切れ味がいいですね。ドラムのフレッド・ホワイトはもちろんモーリスの実弟ですが、あのダニー・ハザウェイの「Live」アルバムでドラムを叩いていた人物で、セッションミュージシャンとしても著名な存在。その彼のリズミカルなドラムが冴えてます。
続く②「Can't Let Go」はノリが「September」そっくり。スタジオ音源では感じられませんでしたが、アップしたライブ映像では強烈なグルーヴが感じられます(映像と音の質は悪いですが)。特にドラムとパーカッションだけになる間奏では凄まじい疾走感が感じられます。
言わずと知れた超名曲の③「After the Love Has Gone」。フォスター、ジェイ・グレイドン、ビル・チャンプリンの共作。
EW&Fが作曲に関わっていない曲でもあり、曲調はファンキーな要素は全く感じられないバラードであったことから、従来からのファンは失望したのではないでしょうか。でも逆に新しいファンを獲得していったことも事実です。AORの楽曲としては最高の出来栄えですからね。
そして⑤「Boogie Wonderland」。③と⑤がシングルカットされ、ヒットしたのですが、両曲ともメンバーの楽曲ではないんですよね。その辺はモーリスは割り切っていたのでしょうかね。「Boogie Wonderland」はモーリスがプロデュースしたエモーションズの3人がヴォーカルで参加してます。しかしここまでディスコサウンドに迎合するとは、誰が想像したでしょう。往年の黒いアースを知っている人達からしたら、複雑な思いだったでしょう。ただ楽曲は純粋に楽しめます。
本作はどちらかというとA面に華やかな楽曲が多いだけに、⑤から始まるB面は⑤でお終い・・・と思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。でも個人的には⑥「Star」からがこのアルバムの魅力ではないか、と思ってます。
イントロは静かに始まる⑥「Star」はアル・マッケイの軽快なカッティングギターと、ハイトーンなフィリップ・ベイリーのヴォーカルが印象的なポップチューン。AOR寄りなファンクチューンとも言え、私のお気に入りの1曲でもあります。
そして⑧「Rock That!」は強力なインストナンバー。イントロのホーンはよくBGMで使われています。エンディングの⑨「You And I」なんかは完全にAORソングですね。私は大好きです。
本作のプロデュースはモーリスとアル。デヴィッド・フォスターはそこまでは関与してません。EW&Fにとって、デヴィッドの存在は大きかったと思われますが、逆にデヴィッドにとってもEW&Fの影響は大きかったのではないでしょうか。そして本作はソウル、ファンクとAORの架け橋となった貴重なアルバムです。今聴いても、全く色褪せてないですね。素晴らしい・・・。
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