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音楽の杜がおススメする70年代洋楽

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人生の大半を音楽に注いできた「音楽の杜」がおススメする洋楽アルバム集
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#1972年

Carpenters「A Song for You」(1972)

何かあると聞き返してしまうアーチストの一組にカーペンターズがいます。完璧なまでのアレンジ、楽曲、そしてカレンの素晴らしいヴォーカル。艶やかなアルト・ヴォイスは心落ち着かせる安定感があります。 そんな彼らの1972年発表の4枚目。次作「Now&Then」に負けず劣らず、素晴らしいアルバムです。ジャケットも愛らしいですね。本作がカーペンターズのアルバムの中で一番好きだ…という方も多いのではないでしょうか? もう①~⑤まで一部の隙もないくらい素晴らしいポップスが続きます。 ①「

Raspberries「Raspberries」(1972)

ポップスをこよなく愛する私としては絶対に忘れられないバンドがエリック・カルメン率いるラズベリーズ。彼等は4枚のアルバムを発表してます。セカンドアルバム「Fresh」、サードアルバム「Side 3」も素晴らしい内容ですが、このデビューアルバムも非常に魅力的です。 1970年にクリーヴランド(オハイオ)で結成されたラズベリーズは、同年10月16日に初めてのライヴを行い、1971年にデモテープを作成。それがプロデューサーのジミー・イエナーの目に留まり、メジャーデビューに至ります。

Rolling Stones「Exile on Main Street」(1972)

当初このアルバムのイメージは「曲数が多いなあ」といったものでした。その曲数の多さと、所謂ポップ感覚溢れる曲があまりないとの理由から、聞き込むところまでいっていませんでした。やっぱりストーンズは60年代のサティスファクションだよな~、と思っていたクチです。 今ではこの最高傑作に位置づけされる本作、やはり私と同じように発表当時からそうした作品として見られていたわけではないようです。名盤というのはそういうものかもしれませんね。 確かに聴き返すと、絶妙にソウルとスワンプが交じり合っ

J.D. Souther「John David Souther」(1972)

初期イーグルスが大好きな私にとってはマストアイテムだったJ.D.サウザーのファーストソロ。 J.D.サウザーは、もともとはイーグルスのグレン・フライとデュオを組んでいた関係で、グレン、J.D.、そしてジャクソン・ブラウンの3人は一緒に住んでいた時期もあります。ジャクソン・ブラウンは一足先にアサイラム・レーベル創始者のデヴィッド・ゲフィンに見いだされ、グレンはリンダ・ロンシュタットのバックバンドを経て、そのジャクソンを頼りにイーグルスのメンバーとしてアサイラムからデビュー。J.

Stevie Wonder「Music of My Mind」(1972)

ソウル音楽の歴史を開拓し続ける偉大なるミュージシャンであるスティーヴィー・ワンダー。特に70年代の彼の作品は、ソウルをロック、ジャズ、フュージョン等とクロスオーバーさせる偉大な作品群です。 有名なところでは所謂3部作と称される『トーキング・ブック』(1972)、『インナーヴィジョンズ』(1973)、『ファースト・フィナーレ』(1974)、そしてその後の大作『キー・オブ・ライフ』(1976)が名盤として語られていると思います。 『トーキング・ブック』の衝撃度ゆえに、その前作『

Boz Scaggs「My Time」(1972)

ボズ・スギャッグスというとAORというイメージが強いと思われます。彼がスティーヴ・ミラー・バンドに在籍していたとか、スワンプやR&Bをやっていたというと、多くの方が驚かれるでしょうね。 しかもボズの1969年に発表されたセカンド(スティーヴ・ミラー・バンド加入前にアルバムを1枚発表しているのでセカンド・・・ですが、実質的なファーストですね)アルバムはマッスル・ショールズ・サウンド・スタジオで収録されてます。マッスル・ショールズ・・・、アラバマにあるサザン・ソウルの聖地ですね。

Deep Purple「Machine Head」(1972)

ハードロック界に燦燦と輝く名盤。もうバイブルといってもいいかもしれません。 ディープ・パープル第二期の作品、「In Rock」「Fireball」、そして本作と、どれも甲乙付けがたい名盤ですが、敢えて選ぶとすれば、やはり本作がベストと挙げる方々が多いのではないでしょうか? 本作はよりハードな音を追求すべく、スイスのモントルーでレコーディングを実施したものですが、そこで火事に遭ったり、あまりのバンドの音の大きさに近隣から苦情騒ぎを受けたり、スリリングなレコーディングだったよ

Steely Dan「Can't Buy a Thrill」(1972)

カーラ・ボノフが9月に来日すると思ったら、意外にも達郎さんの9月6日、NHKホール、当選致しました。実は過去に何回か抽選に応募していましたが、今回が初当選&初参戦。ご存じのように達郎さんのご発言が大きな波紋を拡げており、私自身もサンソンを聴いて暫くは複雑な心境でした。ただこの当選の報に接し、やっぱり私は達郎さんの音楽を生で聴いてみたいし、彼の音楽(特に「ARTISAN」まで)が大好きであることに変わりはなく、いつもと変わりなく聴き続けていくと思います。 さて、同じ職人気質の

B.J. Thomas「Billy Joe Thomas」(1972)

レコード・コレクターズは後になって貴重な資料となり得ることが多いですね。特集されるアーチストは表紙や背表紙に記載がありますが、実はここに記載がなく、小さく扱われていた記事の中にも、貴重なものが紛れていたりします。今回ご紹介するアルバムは、そういった小さなインタビュー記事に制作経緯が書かれていたものでした。答えていた方は本作のプロデューサーのスティーヴ・タイレル。記事は2006年4月号に掲載されてます。スティーヴ・タイレルという方、日本ではどれだけの方が認識されているでしょうか

Stephen Stills「Manassas」(1972)

唐突ですが強力なアルバムのご紹介です。当時CS&Nのリーダー格として知られるスティーヴン・スティルスも、ソロアルバムとしてはニール・ヤング等に先を越された感があったのですが、ようやくスゴイアルバムを発表しました。 この1972年当時のアメリカで流行っていた音楽、スワンプをベースに、サザンロック、カントリー、ラテン風味を効かせた素晴らしい楽曲が収められており、当時LP2枚組というボリュームに、それぞれA面「The Raven」、B面「The Wilderness」、C面「Con

Kenny Rankin「Like a Seed」(1972)

朝方は寒くなってきましたが、日中は心地よい日が続いてますね。 そういった心地いい日はこのアルバムを聴きたくなります。それは3曲目の「Peaceful」を聴くためなんですが…。 題名の通り、穏やかな気持ちにさせる曲。このPeacefulなムードが全体を貫いてます。本作はケニー・ランキンの3枚目のアルバムです。名盤!!! 実はケニー・ランキンは相当長いキャリアを持つアーチストです。 レコードデビューはなんと1957年! 当時はデッカに所属するも全くヒットに恵まれず、不遇の時代を

The Temptations 「All Directions」 (1972)

CD全盛期の頃、名盤が1,000円で発売されていたシリーズがあり、結構充実しておりました。なかでもビル・エバンスの「パリ・コンサート」とテンプテーションズの「オール・ディレクションズ」は良かったですね。いい時代になったものだ…と思ったものです(今ではサブスクでもっと簡易に名盤が聞けますが)。 さてテンプスの「オール・ディレクションズ」ですが、サイケデリック・ファンクの名曲③「Papa Was A Rolling Stone」を収録していることでも有名な名盤ですね。そしてプロ

Neil Sedaka「Solitaire」(1972)

唐突ですがニール・セダカはお好きですか? 多分、殆どの方はロカビリーブームに登場したアイドル歌手程度のご認識でスルーされているのではないでしょうか? でも60~70年代ポップスが大好きな私にとっては、ニール・セダカって神様的存在。モンキーズにも素晴らしい楽曲を提供しておりました。自身もシンガーとして売り出された一方で、優れた楽曲提供もしていったキャリアはキャロル・キングと一緒ですね。実はニールとキャロルは幼馴染。そしてキャロルも同様にモンキーズへの楽曲提供しておりました。

Jim Capaldi「Oh How We Danced」(1972)

気付けばもう3月も終わり…。今期もあっという間でした。油断していると歳のせいか(笑)、期の変わり目に気付かないくらいに時が流れてしまっているので、意図的に節目を感じないと気持ちの入れ替えが出来ませんね(苦笑)。 さて、今回のポストは前回のFreeからの流れを汲むものです。その意図に気付いた方はなかなかのマニアな方…。 今回の主役のジム・キャパルディですが、80年代洋楽をリアルタイムに過ごした私としては、1983年にスティーヴ・ウィンウッドのシンセが素敵だった「That’s