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今はまだ、この道をまっすぐ

私は筆まめなタイプではない。

友人と連絡を取る機会も少なく、せいぜい誕生日と年明けにメッセージを送るくらいだ。それにこの年齢になると同級生といえど状況は様々で、どうか元気で、と願ってそっとフェードアウトした友人も少なくない。

それでも最近、彼女どうしたかな、とふと気になった友人がいた。

「私、妊活してるんだ」

彼女に最後に会ったのは、今年の三月のこと。夫と二人で訪れた新居のリビングで、ごく自然にそう打ち明けてくれた。あれから半年ほど。もともと頻繁にメッセージをやりとりする仲ではないし、SNSも知らない。順調ならいいのだけど、万が一ということもある。気になりつつ、なかなか近況を聞くことができないでいた。


「久しぶり!元気?」

およそ半年ぶりに、彼女から来たメッセージ。このところ気になっていたのは、もしかしたら虫の知らせってヤツだったのかもしれない。

久しぶりに会いたい、という内容に逸る心を抑えつつ、私はメッセージを返した。

「いいね!……もしかして、何かいいことでも?」

良い予感は的中。彼女はママになっていた。

彼女は我々夫婦のキューピッドでもある。大学を卒業してから、今の夫と再会するきっかけを作ってくれたのが、彼女だ。洗い物をしてくれていた夫にすぐさま報告し、二人してまるで自分のことのように喜んだ。今までも友人の妊娠報告は受けたことがあったが、一番身近に感じた。

お誘いは嬉しいけれど、このご時世、身重の彼女と会うのはリスクが大きすぎる。体調のいい時にオンラインで、と約束してやりとりは終わった。


このところ、子供か、とぼんやり考える時間が増えた。帰省したことや、姪っ子に会ったりイトコの子供の話を聞いたりしたこともきっと影響している。

29歳という年齢は、タイムリミットまでそれほど余裕があるわけではない。体力のあるうちにと思うと、のんびり悩んでいられるのもせいぜい一、二年といったところか。

経済事情のこと、住居のこと、家事のこと、出口が見えない流行り病のこと、そして自分のメンタルや体力のこと。

考慮すべき点がたくさんあって、そしてそのどれもが不安要素でしかない。言わずもがな、子持ちのルートに乗ったらもう降りられないわけで、それは今の私にとって恐怖でしかない。

それでも、ふと――夫とソファに座ってテレビを見る時や、同じベッドで一日を終える時――想像してみる。ここに「もう一人」いる景色を。

三人で食卓を囲み、夫が一緒にレゴやカードゲームで遊び、自分はあまり行けなかった家族旅行に行く。そんな景色がぽわぽわと浮かんだりする。

よし作ろう、とは思えない。だけど「もしかしたら」。

これまでの人生にはありえなかった、もう一つの選択肢がある。そんな自分の変化を感じていた。





昨日までは。



昨夜、「ポケモンプレゼンツ」の配信があった。今後発売するタイトルの告知を行う、ポケモン公式の放送だ。

今回の目玉は、『ポケットモンスター ブリリアントダイアモンド・シャイニングパール』『Pokémon LEGENDS アルセウス』の続報。そしてここで公開されたアルセウスのトレーラーを見て、私は悟った。

まだまだ自分のことで忙しいわ、と。

舞台は、ダイパのシンオウ地方と呼ばれる前の、ヒスイ地方。そこでは野生のポケモン達が、ありのままに生きている。主人公は、野原を駆け回りポケモン達とバトル&ゲットしてポケモン図鑑の完成を目指す。

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(画像は公式サイトより)

ブレワイのような世界観で、モンハンのようなシステムで(未プレイだけど)、ポケモン達と思いっきり走り回れる。

これまでの捕獲・バトルシステムに新しい要素が加わり、この地方ならではの姿に進化したポケモンもいる。ストーリー面はまだわからないことも多いが、とにかくやることは多そうだ。

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(狛犬のような姿のガーディがかわいすぎる……!)


この半年間で、冒頭で話した彼女は旦那さんと協力して新しい命を迎えることができた。心身ともにしんどいことも多かったと思う。こうして声をかけてくれたのも、それらがやっと少し落ち着いたからだろう。

半年前私は、その時の決意表明としてこの記事を書いた。それから多少は迷うこともあったけれど、根本は全然変わっていない。そろそろゲームもアニメも卒業する頃合いなのかもしれないが、私はまだまだこのワクワク感に浸っていたい。何度だって任天堂に殴られたい。

現実は暗い話ばかりだけど、ディスプレイの中ではポケモンが、ゼルダが、カービィが待っている(来年はカービィ30周年。エアライドリメイクまだですか)。


「この日までは生きねば」。しょうもない世の中で、ゲームの発売日は数少ない生きる理由だ。

それに最も幸いなことに、隣にいるパートナーはそんな私を軽蔑するでも呆れるでもなく、むしろ私以上にキラキラした目で「発売日にポケセン行こうね!」と言ってくれるような人だ。趣味に理解があるだけでもありがたいのに、同じように楽しんでくれるなんて、こんなに嬉しいことはない。

やはり私はまだ、「親」のレールには乗れない。

好きなことを、自分で楽しむ。私が選んだレールは、次の駅が見えないほど、もっとずっと遠くまで続いているようだから。


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