絵画を生で「目撃する」ということ 〜 ちとりさんという絵描きの“いま” | 創作企画『Studio VARME Dialogue:対創作』Conversation
おはようございます。坂岡 優です。
オウンドメディア『Studio VARME Dialogue:対創作』にようこそ。本企画は、詩人、小説家、イラストレーター、カメラマン、映像作家など、多種多様な創作家を一か月かけて特集(=対話)し、主に文章メディア、時には作品や企画といった多様な形で、現在の“記録”として遺していく試みです。
初回となる9月期はイラストレーターのちとりさんを特集していきます。
今回はちとりさんの最近の活動と、直近のイベントをご紹介します。
【ちとりさんの主なSNSはこちらから!】
【前回の記事をまだご覧になられていない方はこちらのリンクからどうぞ!!】
「ちとりさん」という絵描きについて | 創作企画『Studio VARME Dialogue : 対創作』 Pre-Conversation(note)
Conversation:ちとりさんの“いま”
細やかな描画、特にひとつひとつの線がソーシャルメディアの解像度では潰れてしまうこともあるペン画を得意とされているちとりさんの作品は、展覧会で原画を見ると線の力の入れ方や強弱に至るまで、画像では見えない部分が溢れ出てきます。
Google Arts & CultureやHASARDをはじめ、現代では美術を気軽に鑑賞できる手段がいくつもあります。いま、あなたが使っているであろうXやInstagram、TumblrなどのSNSはその代表例といえるでしょう。しかしながら、どれだけ精巧に創られた作品も、本物にはかないません。
わたしが最初に兵庫県立美術館を訪れた際、有名な画家の作品が鑑賞できる特別展が開催されており、その特別展を目的に訪れました。ただ、実際にもっとも心を動かされたのは、不勉強ながら、常設展の解説で初めてその名前を知った、金山平三の作品でした。平日の昼過ぎに訪れたこともあり、ほとんど他に鑑賞者もおらず、自分のペースでひとつひとつの作品をじっくりと鑑賞できたのも大きな要素だったのでしょう。
そういった体験の中で、ちとりさんの作品を最初に展覧会で目撃した時も、言葉にならない心情の変化を感じました。心を言葉で説明するのは非常にむずかしいのですが、特別な思い入れを抱く作品に出逢った時、わたしはびゅーっと鑑賞への視点が変わるのです。
実は、最初に訪れる前にコロナ禍でオンライン開催だった展覧会の出品作品を拝見したこともあって、イメージとしてはまっさらではなかったのですが、スッと作品が心を吹き抜けていかない感覚が今も忘れられなくて。他の作品を観た後も、心の中では正面にすっくと立っているような、対話しているような、イメージとしてはこのような感じでしょうか。
ソーシャルメディアで出逢ったばかりの頃はごく限られた色相で作品を構築するペン画を主に投稿されており、緻密にひとつひとつの要素を積み上げていく構成に美学を感じ、心を動かされていました。その後に、いろいろな画風の作品を目撃し、その度にいろいろな感想を抱いていくわけですが、ひとまず、わたしのお話はこれくらいにしておきましょう。
近年、ちとりさんはSNSでの活動はもちろん、展覧会への出展にも力を入れられていて、前回の記事でご紹介した『ART COMPETITION "FLAG 2024"』をはじめ、他にもふたつの展覧会に出展されます。
まず、こちらの展覧会をご紹介します!
もともとは手作りの展覧会を開催したことから始まったつくしチームさんが主催の展覧会で、あらゆる絵描きの方に間口を広げた、小原画の大規模な展示・販売会となります。
つくしチームさんは2009年の立ち上げですが、各イベントへのこだわりやWebサイトの作り、掲載されているグラフィックがとても魅力的で、わたしも予定が合えば、ぜひ一度足を運んでみたいと思います。
また、年明けにはこちらの展覧会にも参加されます!
横浜赤レンガ倉庫では、その内外で音楽ライブやオクトーバーフェスト、クリスマスマーケットなど、年中様々なイベントが開催されていますが、こちらも500名以上の作家が参加する大規模な展覧会です。SNSのIDも作品とともに掲載されるそうなので、まだ見ぬ新鋭をあなたが発見するチャンスかもしれません。
ちとりさんの作品はもちろん観てほしいのですが、ぜひ、会場へ足を運べる方は、会場中を味わい尽くしていただきたいと思います。
生でこそ味わえない体験が必ずあります。
これからの掲載予定
当企画の初回となる9月期は、以下のようなスケジュールで進行してまいります。
今回は「絵画を生で鑑賞する」という切り口から、ちとりさんの直近の展覧会を簡単にご紹介してまいりましたが、次回からはいよいよインタビュー回の前編となります。
前編は主にちとりさんの「これまで」を中心に、なぜ絵を描き始めたのか、影響を受けた作家や時代、過去に描いた作品の中で特にお気に入りの作品など、主に現在に至るまでのちとりさんを掘り下げていきます。
なお、制作スケジュールの都合により、公開日が前後する可能性がございます。ご了承くださいませ。
次回もお楽しみに……!!
2024.9.15
坂岡 優
最後までお読みいただき、ありがとうございました。 いただいたサポートは取材や創作活動に役立てていきますので、よろしくお願いいたします……!!