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セバスチャン・ローブの衝撃 | YOU ARE MY SUNSHINE -私の熱狂したラリードライバーたち- 第八回

 こんばんは、坂岡 ユウです。
 第8回はついに、この人を取り上げます!!
 “アイスクール・セブ”こと、セバスチャン・ローブです。長年WRCのシトロエンワークスで活躍し、前人未到、破竹の9連覇を記録。パイクスピーク(世界最高峰のヒルクライム大会)でも、初参戦で従来のコースレコードを1分半も短縮する最速記録で優勝。ダカールラリーでも参戦二年目で優勝争いを演じました。
 ……はっきり言いましょう、名実共に、歴史上一番の化け物です。そんな彼の魅力を今日は五分でわかるようにご紹介します◎

“アイスクール・セブ”こと、セバスチャン・ローブの魅力!!

① 抜群の安定感でラリーを支配。“ミスター安定感”
 ラリードライバーとしてのセバスチャン・ローブの魅力は、この安定感にあります。どのラリーでも、どんな路面状況でも、セブはすごく速い。常に上位に顔を出してきます。(たまに致命的なミスをするのはご愛嬌)
 マーカス・グロンホルムやペター・ソルベルグなど、速いライバルも沢山登場してきましたが、最終的には安定感で勝るセブがタイトルを譲りませんでした。
 ただでさえリタイアしないのに、スピードもトップを取れるほど。もうこうなると、敵なしですよね。やばいですよ……。

② ラリー中はめっちゃクール。でも、普段はめちゃくちゃ自然体。
 そんなセブは、勝っても目に見えるような喜び方をあまりしません。喜びを爆発させるペター・ソルベルグなどとは対照的に、静かに喜びます。“アイスクール・セブ”という名前の由来もここから来ていますが、実は、セブはすごく感情豊かなんです。
 Wikiにも書いているように直前まで寝ていたり、奥様のセブリーヌに頭が上がらなかったり、クールな人ほど家族や仲間を大切にしているんですよね。
 本国ではあまり人気がないようですが、私はこういうドライバーが大好きです。

③ どんなクルマに乗せても、速い!
 セブの内面の話はこのくらいにしておいて、F1やツーリングカーをドライブさせても、セブは速かったという話もご紹介します。
 ル・マン24時間レースで総合2位に入ったり、レッドブルのF1マシンをドライブしたら全体8番手のタイムを記録したり、世界中のラリードライバーが集結するレース・オブ・チャンピオンズで幾度も優勝したり。もちろん、パイクスピークやXゲームでも良い成績を残しています。
 フランス人のドライバーは伝統的にターマック・スペシャリストが多いのですが、それを差し引いても、ここまで多くのカテゴリーで好記録を残せるドライバーはそういないです。
 実際、スカンジナビアン系以外がほとんど勝てないスウェーデンやフィンランドでも勝っていますから……。

最後に:セバスチャン・ローブは引退してからも凄かった!

 最後に、白状しましょう。セブが現役を引退する2012年まで、私はずーっと他のドライバーを応援していました。阪神と巨人の関係みたいに、ちょっと敵対視もしていた。(笑)
 でも、引退後に自由にラリーを楽しんで、しかも速いセブを見て、「こんな速いドライバーにみんな勝てるわけないよな」と彼の魅力を再確認させられました。そのきっかけとなったのが、2018年のラリー・スペインです。このラリーではシトロエンC3WRC(ものすごく速いが操縦しづらいことで有名。エースドライバーのクリス・ミークは何度も宙を舞った)でスポット参戦していたセブは、上位陣の混乱をくぐり抜け、なんと勝ってしまったんです!!
 パリダカの件もそうですが、今も第一線でラリーを楽しみ続けているセブ。2018年の末にPSAグループの活動縮小で行き場を失い、現在はヒュンダイからWRCに参戦しています。いつかきっと、セブの残した記録は伝説となって語り継がれるでしょう。ミハエル・シューマッハや同郷の後輩のセバスチャン・オジェなど、優れた記録を残したドライバーたちは沢山いますが、彼ほど偉大な記録を残し続けたドライバーは他にいません。デビューから引退まで、常に第一線で居続けています。彼が亡くなってからの語られ方が、今から楽しみです。もちろん、これから先も末長く活躍し続けてほしいです。

 というわけで、“もっとも偉大なラリードライバー”、セバスチャン・ローブをご紹介しました。ありがとうございました!!


【本日の一枚】
 セバスチャン・ローブの故郷、アルザス地方より。素敵な写真をありがとうございます!!

 2020.2.26
 坂岡 ユウ

最後までお読みいただき、ありがとうございました。 いただいたサポートは取材や創作活動に役立てていきますので、よろしくお願いいたします……!!