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いくつもの偏愛と向き合いながら

 大学に入学してから、私の内面にある偏愛と向き合ってきました。好きなものに対しての愛情と、お仕事に対しての知性と。これらをどうコントロールするかを学んだのも大学生活のいち側面だと思っています。

 普段は余程のことがないと喜びませんし、怒りも表に出さない方なので、最近繋がった方の中にはそういった部分を想像できない方もいるかもしれませんが、私は情熱で生きている人間です。情熱がないと何もできませんし、それを失った瞬間に全てが崩れていくタイプの人間です。

 ただ、仕事やプロジェクトのリーダーがそれでは不味いですから、普段の文章や喋りにはなるべく含ませないように努力しています。しかしながら、漏れ出ている部分、溢れ出る部分は少なくないようで、近い人にはわかっているようですね。

 何度かエッセイでも綴りましたが、大学一年生から二年生にかけて、かなり流動的な精神状態に陥っていました。最初は「ちょっと普段と違うな……」と思っていたのですが、日を重ねるうちに頑張れなくなって、ついには何も仕事が手につかなくなりました。そういった部分を打ち明けるための信頼に値する人が周りにいなかったので、なんとか仕事に穴を開けるまいと必死になっているうちに、どんどん悪化しました。

 そこで、いわゆるコロナ禍と呼ばれる期間に入って、周りの人との関係性が一気に離れました。関係性が離れると同時に、自分自身と向き合う時間が生まれました。がむしゃらに仕事や物事を覚えようと駆け回っていた十代の私にとって、小学生以来の休息期間だったかもしれません。

 数年の時を要しましたけれども、「頑張れない私」と真摯に向き合っていく決意を固めました。

 大学三年生の時に企画したコンサート・プロジェクト『Singer/Song/Writer』は乾癬の治療を始めた時期で難しい舵取りを迫られましたが、私のマネジメント面における分岐点となりました。時に同級生と衝突し、思い通りに行かないこともあった中で、すべての物事に無理に関わろうとしない勇気を学びました。ここから先は去年の四月からのことなので、まだ全てを語るべき段階ではないと思います。

 それでも、今年度の大学に対しての関わり方は、「頑張れない私」が組織の中できちんと一員として動けることが確認できて、個人的には満足のいく一年間でした。個人や作品ではなく、企画のための物作りがそれなりに上手くいっていて、とにかくスタートラインには立てたのではないかな……と。

 特撮、歌謡曲、アイドル、デザイン、カレーライスと愛が深すぎるものはたくさんありますし、創作もその中のひとつに含まれています。そういった情熱を上手くコントロールできるのも大人の証だと思うんですよね。

 今日は「偏愛」から綴ってみましたが、内面と向き合い続けた四年間であったことも少しはお伝えできていたら嬉しいです。

 2023.3.22
 坂岡 優

最後までお読みいただき、ありがとうございました。 いただいたサポートは取材や創作活動に役立てていきますので、よろしくお願いいたします……!!