チョコレートが繋ぐ友情
毎年一度だけ、チョコレートを交換することでお互いの平穏を確かめる友達がいる。その友達は東京で大学生をしていて、普段はあまり会話を交わすことはない。たしか、芸能関係に携わっていたはず。周りの人からは「不思議だ」といわれるような距離感。しかし、今のこの距離感が結構好きなのだ。
別に恋人でも親友でもない。クラスメイトでもなかったし、同じ学校でもなかった。しかし、恋心や親愛とは似ているようで違う、暖かすぎず冷めすぎず。
私は友達付き合いをあまり熱心にする方ではない。飲みには行かないし、遊びにも一緒に行くことはない。人をなるべく避けてるのもあるし、学生によくある大人数が苦手なのもあるけど、そんな中でも関係が続く友達は自ずと良い関係になる。
最初の一年はいろいろと考えて、私が好んだお店のチョコレートを送ったが、次の年からは明治の板チョコレートを送るようになった。友達曰く「形崩れしてたら申し訳ないじゃん?」とのこと。あー、確かにそうだよねと納得させられた。
本当は人は嫌いじゃないんだよ。むしろ、好きになると止まらなくなるから。離れて、淋しくなって、落ち込んで。同じことを何度も繰り返してしまって、今は人と距離を縮めない方がいいのかなって。いつかは変えなきゃいけないとわかってる。わかってる、わかってるんだけどさ、変えることが怖くて。
この関係性も私が人間関係を怠けていることの象徴なのかもしれない。そう思うと、ちょっと申し訳ない気持ちになってきたな。
まあ、とにもかくにも、今年はどんなチョコレートが来るんだろう。ハイミルクなら嬉しいんだけど。元気でありますように。健やかに過ごしててくれたら良いかな。
2022.1.24
坂岡 優
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