見出し画像

推しは、普段何気なく通っている道さえも特別にしてしまう

「え、鹿児島がある……」

6月に発表された、和楽器バンドのホールツアー開催のお知らせ。鹿児島県「宝山ホール」の文字を見つけた時は、夢でも見ているんじゃないかと思った。

2015年のツアーから行っているが(4年くらいコロナや仕事の関係で行けていなかったけど)、今まで鹿児島に来ることはなかったし、正直これからもないだろうなと思っていた。九州で開催するのであれば、来場客数や交通、規模を考えると自然と福岡が選ばれる(実際に福岡公演が多かったし、違う場所であれば熊本が選ばれていた)。


だから、鹿児島(地方)に住む私にとってライブに行くことは旅行と変わらない。何か月も前から飛行機や新幹線、宿泊先を手配し、当日は普段より早起きをして、キャリーを引きずりながら目的地へ向かう。これが私にとっての「ライブへ行く時の普通」だった。


でも今回は、この過程がない。当日はいつも通りの時間に起きて、家事をすませ、普段使っているカバンだけを持ち自宅を出た。重たいキャリーを、ゴロゴロといわせながら引きずらなくてもいい。身も心も軽い状態で会場へ行けることに感動したと同時に、ライブが開催される機会の多い都市に住む人は、毎回こんな気持ちで向かうのかと少し羨ましくなった。


いつも利用しているJRに乗り、見慣れた天文館の通りを歩く。普段は何も考えずに目的地まで歩くだけなのに、その日はツアーTシャツを着ていたり、限定のタオルを持っていたりする人と高頻度で遭遇する。それだけで、いつもの道が特別なものに見えた。地元の、見慣れた道なのに。推しってすごい。


会場となった宝山ホールも、自分の成人式が行われた場所だ。そういった思い出のあるホールで、好きなバンドの演奏を聴くのも不思議な感じがする。今回は、ワケあってメインボーカル不在だったけれど、普段歌わないメンバーが歌ったり面白いMCが聴けたりと、いろいろな意味で特別な鹿児島初ライブになった。

大人げない自覚はあるし、初の鹿児島公演で浮かれていたのもあるけれど、本当に些細なことでも特別に感じた。次は、宝山ホールのあの舞台で、8人揃ってパフォーマンスをする姿を見たい。

最後まで読んでいただきありがとうございました。