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存在が不確かな世界

ご飯が大好きで、食べ物には妥協しない。好きな人がご飯を食べる姿を見るのが好きだ。どきどきする。不快な食べ方をする人の近くではご飯は食べられない。

オレンジの輪切りが乗ったライ麦パンの中にはさつまいものペーストが入っていて、組み合わせが最高なパンだった。私は白パンよりも断然黒パンが好きだ。

最近、また宇宙について考えていた。宇宙についての本を読んでいるからだ。この世界は本当は幻想なのではないかと思えてくる。存在しない。週5で行かなければいけない仕事も、いじわるな人も、大好きな人も、やさしい雨も、気持ちのよい光も、渦巻く嫉妬も、全部全部本当は存在しない。

それがもし事実だとしたら、私はもっと気楽に生きられるだろう。可笑しなことに。

宇宙自体も、ずっと将来には終わりを迎えるらしい。いつかはみんな無になるのだ。その事実は私を落ち着かせる。変わらないように見えるものでも、絶えず変わり続けている。ある地点を境に急に変わるのではなく、絶えず少しづつ変わり続けている。

私は昔からよく、知らない人から話しかけられる。写真を撮るのを頼まれることが多くて、道を聞かれることもある。たまに食べ物をもらうこともある。

恋人ばかりの夜のタワーで、中国人だと思われるカップルに写真を頼まれた。男性は「写真を撮っていただけませんか」と言った。数枚写真を撮ってあげると、女性に「謝謝」と言われた。知らない人と言葉を交わすのはおもしろい。全く別の人生が1点だけ交わる気がする。自分の存在を確認できる。